
なめらかな口溶けと味噌のコク。「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」と「とまとみそクリームチーズ」
2025/10/29
今回、編集長のアッキーが注目したのは、お漬物の概念を覆す新感覚のおつまみ「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」と「とまとみそクリームチーズ」です。東日本大震災という大きな困難を乗り越え、老舗の革新力によって生み出された商品の裏側に隠されたストーリーとは。株式会社菅野漬物食品 代表取締役社長の菅野行雄氏に取材スタッフがお話を伺いました。

株式会社菅野漬物食品 代表取締役社長の菅野行雄氏
―まずは、会社の歴史と菅野社長が家業を継がれるまでの道のりについてお聞かせください。
菅野 弊社は、私の祖父が1940年に福島県南相馬市で創業しました。もともとは130年ほど前に魚屋として始まり、仕入れた魚や乾物を扱う傍ら、山の卵を町で売るなどしていました。地元では「玉子屋」の屋号で親しまれていたそうです。しかし、戦争が始まり時代の状況が大きく変わる中で魚屋の経営は厳しくなり、祖父は漬物業への転業を決意しました。当時は海軍や炭鉱へ梅干しなどを納めていたと聞いています。
私自身は、幼い頃から「いつかは自分が継ぐのだろう」と自然に考えていましたね。大学卒業後は、見聞を広めるために東京の大きなお漬物屋で3年間、営業として修業を積みました。その後、南相馬に戻ると、まず製造工程の現代化に着手。しかし、長年受け継がれてきた伝統的な製法をすぐに変えることは簡単ではなく、多くの試行錯誤を重ねました。この時の苦労が製造の知識を深め、後の新しい商品開発に繋がる貴重な経験となっています。
―ターニングポイントとなった出来事があれば教えてください。
菅野 やはり、2011年の東日本大震災です。幸い津波の直接的な被害は免れましたが、原発事故による影響は甚大でした。「なんで南相馬で漬物を作っているんだ」というお電話が毎日事務所にかかってきて、事務員は涙ながらに商品の安全性を説明していました。売上は激減し、本当に苦しい日々でしたね。
さらには、震災の影響で、それまで作っていた「豆腐のみそ漬」の原材料である豆腐が手に入らなくなってしまったのです。そんな時、「豆腐のみそ漬って、チーズみたいだね」とお客様から言われた一言がヒントになりました。「それなら、チーズそのものを漬けてみよう」。最大の危機が、最大のチャンスになりました。この逆転の発想が、「クリームチーズのみそ漬」誕生のきっかけです。震災を機に、BtoB中心だった商売から、お客様に直接商品を届けるBtoCへと舵を切る覚悟も決まりました。

震災を乗り越え巡ってきた新たなチャンスとなった
「クリームチーズのみそ漬」。
―商品のこだわりについて、詳しくお聞かせください。特に「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」はメディアでもよく拝見します。
菅野 ありがとうございます。こだわりは、日本の発酵文化(和)とクリームチーズ(洋)を掛け合わせている点です。主役となるのは、数ある中から選び抜いたオーストラリア産のクリーミーで口どけのいいクリームチーズです。
そのチーズを包み込むのが、創業以来の技術を結集した秘伝の味噌床です。京都の白味噌など個性豊かな3種の味噌をブレンドし、さらに米麹や酒粕、黒糖などを加えて奥深い味わいの土台を築いています。
「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」は、この特製の味噌床で、粗挽きの黒胡椒をまとったクリームチーズをじっくりと低温熟成させて作ります。こうすることでチーズの旨味が凝縮され、まるで上質なレアチーズケーキのようにねっとりと、なめらかな食感が生まれるのです。
一口食べると、味噌の芳醇な香りとチーズの濃厚なコクが広がります。さらに味噌床の複雑なうま味が一体となり、最後に黒胡椒の爽やかな刺激が全体を引き締めます。発酵食品同士が織りなす、まさに奇跡のマリアージュです。
赤ワインや日本酒との相性も格別です。薄くスライスしてそのままでも、クラッカーやバゲットに乗せても楽しめます。手軽ながらも食卓の主役になる贅沢な一品です。

「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」はそのまま食べやすく切って、
ビール、ブランデー、ウィスキーのおつまみにも。
―新商品の「とまとみそクリームチーズ」は、どのように開発されたのですか。
菅野 「クリームチーズのみそ漬」がご好評をいただいたことを受け、特に若い女性に喜んでもらえるような新しいフレーバーを作りたいと考えました。オリジナルの味噌床にトマト、ガーリック、バジルを加えて作った「とまと味噌」にクリームチーズを漬け込んでいます。濃厚なトマトの酸味と味噌のコクが絶妙にマッチし、バジルの爽やかな香りがアクセントになっています。

パスタに絡めたりピザの具材にしたりと、
お料理にも幅広く活用できます。
野菜スティックのディップソースにするのもおすすめです。


「とまとみそクリームチーズ」は、
バジルとガーリックの香りが食欲をそそる。
―今後の展望についてお聞かせください。
菅野 漬物業界は、お米離れなどにより厳しい状況が続いています。だからこそ、私たちは伝統を守りながらも、新しい挑戦を続けていかなければなりません。今後は、海外への販路拡大にも力を入れていきたいと考えています。「世界では作れないものを、日本独自の調味料を使って生み出す」。これが私たちの強みです。
日本の素晴らしい発酵文化を、私たちの商品を通して世界中の人に伝えていきたいですね。また、社内には女性社員が中心の「ウーマンアイデアプロジェクト(WIP)」があります。このプロジェクトなどを通じ、女性ならではの視点を活かした商品開発も進めていきます。

福島県南相馬市にある「みそ漬処 香の蔵」本店。
商品を通して、日本人の食の伝統と新たな食文化の発信地となっている。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「黒胡椒クリームチーズのみそ漬」
価格:¥648(税込)
店名:みそ漬処 香の蔵 オンラインショップ
電話:0120-058-509(9:00~17:30 ※1月1日は除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kounokura.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=297004&cat=101
オンラインショップ:https://www.kounokura.com

「とまとみそクリームチーズ」
価格:¥648(税込)
店名:みそ漬処 香の蔵 オンラインショップ
電話:0120-058-509(9:00~17:30 ※1月1日は除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kounokura.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=297086&cat=101
オンラインショップ:https://www.kounokura.com
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
菅野行雄(株式会社菅野漬物食品 代表取締役社長)
1954年生まれ。大学卒業後、東京の漬物会社で3年間の修業を経て、家業である株式会社菅野漬物食品へ入社。1998年に3代目として代表取締役社長に就任。東日本大震災を乗り越え、伝統の漬物製法を活かした「クリームチーズのみそ漬」を開発し、数々の賞を受賞。伝統を守りつつ、常に新しい挑戦を続けることで、日本の食文化の可能性を国内外に発信している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/菅野漬物食品>




























