
話題の”究極の親子丼”は手塩をかけて作られた、この卵ならでは!「八ヶ岳卵」
2025/10/29
八ヶ岳連峰、甲斐駒ヶ岳、南アルプスなど日本を代表する美しい山々に囲まれた山梨県北杜市。今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、豊かな自然と名水の採水地として知られるこの地で大切に育まれている「八ヶ岳卵」です。品質の確かさで一流ホテルから引っ張りだこであるだけでなく、”究極の親子丼”で全国から注目を集めるこの卵を生産する、株式会社勝栄 中村農場 代表取締役社長の中村努氏に取材陣がお話を伺いました。

株式会社勝栄 中村農場 代表取締役社長の中村 努氏
―御社の成り立ちについてお聞かせください。
中村 私の父である中村小太郎が、戦後、満州から戻り、ここ山梨県北杜市に開拓者として入植。1946年に「中村農場」を創業し、高原野菜栽培と酪農、養豚を始めました。私も子どもの頃から手伝っていたのですが、高校卒業後は、東京の専門学校に進学。そのまま東京で飲食店に就職し、10年働きました。
この農場に戻ってきたのは1997年。そして28歳になったタイミングで、有限会社勝栄として法人化し、まずは野菜販売の直売所としてスタートしました。当初、養鶏はしていませんでした。鶏は飼っていましたが、それはあくまでもペットとして。とても広い農場で、子どもの頃からウサギ、ヤギを飼っていたんです。
あるとき、烏骨鶏を2羽飼い始めたのをきっかけに、いろいろな品種の鶏を育ててみたく
なって、一気に70羽まで増やしたんです。そうしたら、毎日卵がたくさん採れて、家族で食べきれなくなってしまいました。人にあげても、まだ残る。それで、直売所の店先に並べたんです。それが、卵の販売の始まりです。そんなわけで、鶏に関してまったくの素人からのスタートでした。

八ヶ岳山麓の標高1,050mの地にある中村農場は約10ha。
夏場でも冷涼な気候で鶏たちが快適に過ごせる環境。ここで10品種以上、約35,000羽を育てている。
―それが、今や一流シェフたちに「中村農場の鶏、卵でなければ」と言われるほどに成長されました。外資系の一流ホテルからも引っ張りだこだと伺っています。その理由は何だとお考えですか?
中村 趣味のような感じで鶏を飼い始めたのですが、直売所に来てくれるお客さんにいろいろと指摘してもらっているうちに、本気で卵を作ってみようと。そこから独学で、全国から情報を集め、「いい」と言われることはすべて試してみました。一般的には、鶏を生産している人は1〜2品種くらいの鶏を扱うのが普通ですが、当農場ではこれまでに50品種以上、飼育しました。
たくさん育てればいいというものではないのですが、鶏のどういう血統がどういう肉質でどんな味になるのか、実際に育ててみないとわかりません。血統ごとに、最適な出荷のタイミングと食べ方を追求して、現在は10品種ほど飼育しています。
販路に関しては、飲食店に勤めていた頃にできた様々な人脈が、役に立ちました。また、当農場の鶏肉や卵を使ってくださった飲食店さんやシェフの皆さんの間で「中村農場の鶏と卵、いいよ」という話が広まって、取引先が増えていきました。

鶏に可能な限りストレスをかけず、丁寧に育て、ベストなタイミングで出荷している。
―中村農場オリジナルの鶏も生まれたそうですね。
中村 あれこれやっているうちに偶然、オリジナルの種類の配合ができました。現在、
とくに評判がいいのが、甲斐路軍鶏(かいじしゃも)と八ヶ岳名水赤鶏(やつがたけめいすいあかどり)です。
―卵については、いかがですか?
中村 当然、卵も鶏の品種によって味や香り、色が大きく違います。当農場では、お客様のさまざまな食シーンに対応できるよう、複数の品種の卵を扱っています。濃厚で甘みと旨みたっぷりで、色も濃い卵から、お菓子づくりに最適な黄身の白い「パール卵」という卵も作っています。
私が心がけているのは、臭みがなく旨みのある卵を作ること。旨み=おいしさですが、旨みを追求すると臭みが強くなるんです。飼料の種類や配合を研究し、「旨みたっぷりでありながら臭みのない卵」をお客様にご提供しています。

鶏を育てる上で最もコストがかかるのが餌。
中村農場では「お客様に笑顔になっていただく」ために餌代を惜しまず、ベストな配合で与えている。
―今回、ご紹介させていただく「八ヶ岳卵」は、どのような卵なのでしょう?
中村 日本在来の地鶏「横斑(おうはん)プリマスロック」を親にもつ「岡崎おうはん」という鶏の卵です。以前は、横斑プリマスロックを使っていたのですが、白身が水っぽくなるのが難点でした。岡崎おうはんはその点が改良されたためこちらに変更し、さらに旨みと甘みと後味のおいしさがプラスされるよう、餌を作っています。黄身のオレンジ色を出すために、パプリカやカニや鮭の色素であるアスタキサンチンを使用。いずれも価格が非常に高いのですが、八ヶ岳卵には欠かせません。
この卵の特徴は、普通の卵よりも黄身の割合が大きいということ。どんな料理にも向いていますが、個人的には、加熱しすぎず半熟くらいの状態で召し上がっていただくのがおすすめです。

「八ヶ岳卵」M〜L(10個パック)。ほかにMSサイズ(10個パック)も。

オレンジ色がかっていて、ぷっくりとした黄身。白身も水っぽくない。
―「中村農場」の名前が一般の人に広く知られるようになったきっかけは、直営の食事処で提供されている「親子丼」が全国丼グランプリで金賞を受賞したことだそうですね。それも、10連覇とか!
中村 うれしいですね。自慢の「八ヶ岳卵」と「甲斐路軍鶏」を使っていますから、おいしいですよ。
肉用の鶏と卵用の鶏の両方を飼っている養鶏場は、ほとんどないんです。その点、当農場の親子丼は、卵も鶏肉も私がおいしいと思うものを使い、しかもお客様においしく召し上がっていただけるようベストな調理法で仕上げています。それが、当農場の親子丼の強みであり、多くの方に支持していただける理由だと思います。

「八ヶ岳卵」の名を世の中に知らしめた「中村農場の親子丼」。
農場自慢の甲斐路軍鶏の鶏肉と八ヶ岳卵を同時に味わえる逸品。ジューシーな鶏肉&とろーり半熟の卵がたまりません!
―自社で育てた鶏肉と卵で親子丼を作り、直営の食事処で提供されているように、中村農場では生産・処理・卸・販売・小売・飲食のすべてを自社で一貫して行っていらっしゃいますね。
中村 はい。すべてを自社で経営する養鶏場は、全国で弊社だけです。自分では、畜産の6次産業化の先駆けだと思っているんです。
野菜や果実などを作っている会社は比較的簡単に6次産業化を進められるのですが、畜産の6次産業化は不可能に近いとされてきました。でも、私はやりたかった。というのも、「命をいただいている」からです。
私は、もともとペットとして鶏を飼い、かわいがっていたので、肉用の鶏を育てることに抵抗があったんです。だからこそ、家畜としての鶏も大切に育てたい。家畜は、人間に自分の命を捧げるために生まれてくるんですよね。だったら、生産性を優先するのではなく、手間と時間をかけ、自分が本当においしいと思える鶏だけを心をこめて育てて、それをお客様に食べてもらって「おいしい」と言っていただけるまで一貫して責任を持つことが、鶏に対しての供養だと思っています。
もう一つ大きな理由としては、生産・処理・卸・販売・小売・飲食のうちのどれか一つ抜けても、鶏が無駄になってしまいかねないこと。たとえば、もも肉は売れるけれど胸肉やささみはなかなか売れないとか。そのほかの部位もおいしく食べられるのですが、お客様が料理の仕方をご存知なくて売れないとか。私は、いただいた命を無駄にしたくない。お客様には、それで、加工品を作ったり飲食店をやったりしているのです。
オンラインショップにも様々な商品が揃っていますので、ぜひ覗いてみてください。これからの季節、「甲斐路軍鶏鍋セット」がおすすめです。

究極の親子丼をおうちでも!「中村農場特製親子丼セット」(5人前)¥4,536はオンラインショップの人気商品。

カフェでもネットショップでも超人気「八ヶ岳卵のプリン」¥486(税込)。

鍋が恋しくなるこれからの季節に。「甲斐路軍鶏鍋セット」¥5,400(税込)。
―最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?
中村 農場自体は好調なのですが、近年、周囲に別荘や住宅が増えてきて、だんだん畜産をやりづらい環境になってきました。臭いや騒音の問題ですね。なので、今の仕事に関してはもうこれ以上、広げられないのではと思っています。
今後は、うちの鶏や卵を使った鍋や焼き鳥を提供する本格的な鶏料理の店を出したいです。それから、宿泊施設の運用も考えています。農場の一角に、富士山から南アルプス、八ヶ岳を見渡せる、景色のいいところがあるので、そこにホテルを作りたいと思って。農場内にはいろいろな動物たちがいるので、アニマルセラピー的な意味合いを持たせたホテルです。大人限定かつ会員制にして、普段忙しく過ごされている方にほんのひとときでも、ゆったりと心を癒していただけるような施設が作れたらと思っています。
―素晴らしい景色を見ながら動物たちとゆっくり過ごせるホテル、想像するだけでうっとりします。楽しみです!本日は、貴重なお話をありがとうございました。

「八ヶ岳卵」(M〜Lサイズ 10個入)
価格:¥1,296(税込)
店名:中村農場
電話:0570-014-129(10:00-17:00 火曜・水曜除く)
定休日:オンラインでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://nakamuranojo.net/item-detail/1353210
オンラインショップ:https://www.nakamuranojo.net/?utm_source=officialsite&utm_medium=refferal&utm_campaign=officialsite
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
中村 努(株式会社勝栄 代表取締役社長)
山梨県北杜市生まれ。高校卒業後、バイオ系専門学校に進学のため上京。卒業後は東京で飲食店に就職。1998年に北杜市に戻り就農。農産物直売所「中村農場」開店。その後、5年以上の歳月をかけ養鶏、採卵をスタートし、現在に至る。
<文/鈴木裕子 MC/藤井ちあき 画像協力/中村農場>




























