
江戸時代からの天然木桶醸造醤油が生む贅沢だし醤油「紫峰(しほう)」
2026/05/21
今回、編集長のアッキーが注目したのは、100年以上使い込まれた木桶が育む究極のだし醤油「紫峰(しほう)」です。蓋を開けた瞬間に広がるふくよかな香りと驚くほどまろやかな旨み。それは、創業330余年の熟練の技が生んだ、まさに至高の一滴とその背景には、330年の伝統を背負いながらも、現代の食卓に寄り添おうとする柴沼醤油の飽くなき情熱がありました。取材スタッフが、茨城県に本社を構える、柴沼醤油醸造株式会社 代表取締役社長の柴沼秀篤氏にお話を伺いました。

柴沼醤油醸造株式会社 代表取締役社長の柴沼秀篤氏
―まずは、御社の歩みについて教えてください。
柴沼 私たちの蔵がある茨城県土浦市は、かつて江戸の食文化を支えた醤油の名産地でした。1688年(元禄元年)の創業以来、この地で330年以上にわたって醤油造りを続けています。当時は川を利用した舟運が盛んで、土浦は江戸城へ醤油を届ける御用蔵として栄えていたのです。実は私たちの醤油に付けた「紫峰(しほう)」という名前も、その歴史に深く関わっています。江戸時代、徳川家の方々が江戸城から筑波山の方角を眺めると、夕暮れ時には山肌が美しく紫に染まって見えたのだそうです。その美しい景色にちなんで、土浦から献上される最高級の醤油は「紫」と呼ばれ重宝されました。筑波山の雅称である紫の峰、すなわち「紫峰」という名は、私たちが守り続けてきた正統性と信頼の証でもあるのです。



「紫峰」の名は、夕日に映える筑波山に由来する。
330年以上にわたり、伝統的な醤油づくりを守り続けてきた。
―18代目である社長ご自身は、どのような経緯で家業を継がれたのでしょうか。
柴沼 大学で醸造学を学んだ後、一度は大手食品メーカーに就職しました。そこで7年間にわたり国内の営業を担当し、緻密なデータ分析や資本力を生かした大規模なものづくりのあり方を学びました。転機が訪れたのは29歳のときです。父の病気をきっかけに、家業に戻ることになりました。
戻った当初は、大手のシステム化された環境との違いに戸惑うこともありましたね。しかし、職人の手仕事や、100年以上も使い込まれた杉の木桶が並ぶ光景を改めて目にしたとき、ここにしかない唯一無二の価値に気づかされたのです。外の世界を知ったからこそ、効率化では決して再現できない伝統の尊さがわかりました。大手の大量生産とは異なる、老舗だからこそできる小回りの利いた、お客さま一人ひとりに寄り添うものづくりをしていこうと決心したのです。
―看板商品である「紫峰」は、どのようにして生まれたのですか。
柴沼 「料亭で味わう板前さんの味を、そのまま家庭の食卓へ届けたい」という先代の願いがきっかけでした。300年以上の歴史をもつ老舗として、プライドをかけて開発に取り組んだのです。
味に妥協を許さない板前さんは、ベースとなる醤油にだしやみりんを加え、その料理に最も合う状態へと調合します。そのプロの技と感性をどうにか一本の瓶に閉じ込められないかと、試行錯誤を繰り返しました。そうして誕生したのが、板前仕立てというコンセプトの「紫峰」なのです。
ただ便利な調味料というだけでなく、忙しい毎日のなかで料理を担う方が、これ一本でプロの味を再現できる安心感。それによって生まれる心のゆとりを大切にしたいと考えました。発売以来、多くの方から「一度使ったらもう手放せない」というお声をいただけるようになったのは、本当にありがたいことだと感じています。

「板前の味を家庭で」というコンセプトで開発された「紫峰」。
―お味の決め手となる「こだわり」について詳しくお聞かせください。
柴沼 最大の秘密は、100年以上使い続けている大きな木桶にあります。この古い木桶には、約100種類もの微生物が棲みついていて、それがステンレスのタンクでは決して出せない、驚くほどまろやかで深みのある旨みを生み出してくれるのです。機械任せにするのではなく、職人が気温や湿度の変化を感じ取りながら、微生物たちの声に耳を傾けて熟成を見守ります。こうして造られた生醤油をベースに、厳選された鰹節から贅沢に引いた一番だしと、昆布やみりんを独自の配合で重ね合わせているのです。塩味のカドが取れた、ふくよかな旨みで食べさせる設計は、土浦の豊かな自然と長い時間が育んだ、私たちにしかできない仕事だと自負しています。

250年続く木桶醸造に棲みつく微生物によって、まろやかで深みのある旨みをもつ醤油に。
―ぜひ試してほしい使い方はありますか。
柴沼 まずはシンプルに、つけ・かけ醤油として味わってみてください。冷奴にひと回しするだけで、いつものお豆腐がたちまちごちそうになるのを感じていただけるはずです。また、お刺身の繊細なおいしさを引き立てるなど、素材に寄り添うような優しい口当たりも特徴です。煮物もこれだけで味が決まるので、だしを取る手間なく、まるでプロが仕上げたような深みのある味わいになります。バターと合わせた和風パスタもおすすめです。フライパンで少し熱を加えると、香ばしい香りが立ち上り、食欲をそそる一皿になります。
―お客さまや審査会からは、どのような評価を受けているのでしょうか。
柴沼 ありがたいことに、食のプロである板前さんや、舌の肥えた著名人の方々からも指名買いをいただく機会が多いのです。かつてテレビ番組の醤油グランプリで優勝をいただいた際も、日本中から集まった数多くの醤油のなかから選んでいただけたことは大きな自信になりました。長年使い続けてくださっているファンの方からは、「この醤油じゃないとお料理の味が決まらない」と、つくり手冥利に尽きるお言葉をいただくこともあります。ご家庭用としてはもちろんですが、「贈りものとして選べば間違いない品」として高い信頼を寄せられているのも、330年の歴史を背負う私たちにとって誇らしいことです。大切な方へと選んでいただくことで、おいしい輪が広がっていくのが何より嬉しいですね。
―これからの展望についてお聞かせください。
柴沼 「本物の日本食を世界へ」という思いを胸に、現在は63カ国へ向けて輸出を行っています。海外のシェフたちとも対話を重ね、日本の木桶文化が持つ奥深さを伝えていくことが私たちの使命だと考えています。また、2025年には東京の新橋に自社運営の和食店「新橋 柴沼」をオープンしました。ここでは3種類の醤油の食べ比べなど、醤油を主役にした体験を提供し、お客さまの生の声を商品づくりに生かしています。醤油を単なる調味料で終わらせず、次世代に誇れる日本の豊かな食文化として、これからも楽しみながらアップデートし続けていきたいです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「紫峰 1L」
価格:¥842(税込)
店名:柴沼醤油醸造株式会社
電話:0120-44-2124(8:00~17:00※土日祝日を除く)
商品URL:https://www.shibanuma.com/order/#shiho
オンラインショップ:https://www.shibanuma.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
柴沼秀篤(柴沼醤油醸造株式会社 代表取締役社長)
1979年茨城県生まれ。東京農業大学応用生物科学部醸造化学科卒業後、大手食品メーカー勤務を経て2009年に家業へ。2012年より海外輸出を本格化し、現在は63カ国へ展開。2017年海外輸出部門を分社化し株式会社柴沼醤油インターナショナルを設立。2020年農林水産大臣賞を受賞。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/柴沼醤油醸造>




























