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被災地から「恩返し」。能登の海産物をあますところなく使った「なまこうどん」と「ふぐの花削り」

2026/05/11

今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、日本有数の漁場である石川県能登の「なまこうどん」と「ふぐの花削り」です。水産加工品は冷蔵や冷凍でのお届けが多い中、環境負荷を減らす観点から常温で送れるものにしたいと開発された商品です。2024年1月に起きた地震で大きな被害があった奥能登で、魚介類・水産物加工、卸、販売に携わってきた「すぎ省水産」の三代目・笹本和茂氏にお話を伺いました。

―御社の成り立ちを教えてください。

笹本 戦後間もない1948年に、初代が「カネシゲ商店」を創業し、能登の漁師が獲った魚を築地市場などへ卸していました。七尾市に公設市場ができたタイミングで、現在の会長である父が「すぎ省水産」を立ち上げ、2015年に「株式会社かねしげ(元「カネシゲ商店」)」と合併しました。仲卸業として地元の飲食店や宿泊施設、東京にある能登をコンセプトにした飲食店へ商品を卸しています。地元の水産業者と寄り添っていきたいというこだわりがある会社です。

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能登には古くからの自然・景観が残り、その中で昔ながらの農業・漁業や、伝統工芸などの豊かな文化が息づいている。
2011年には能登の里山里海が世界農業遺産に認定されている。

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「かねしげ」はブランド名として残っている。戦後まもないころから全国の地方市場へ魚を送り届けており、
長年の信頼と実績により築地市場では「かねしげの魚は品質がいい」との声も多い。

―社長に就任なさった経緯を教えてください。

笹本 妻の実家だった会社を継いだというのが経緯です。私で3代目になります。
私自身は千葉県の出身で、大学・大学院では水産について学び、水産関係の企業で働いていました。海外でのボランティア活動を経て、東日本大震災の際には東北の漁業者の支援を行いました。8年ほど前、そういった仕事に区切りがついたところで、能登へ移住しました。

―2024年の地震の影響は?

笹本 その前に、コロナ禍の影響がありました。能登の飲食店や宿泊施設が大打撃を受け、やっと回復しつつあった時に地震が起こりました。私たちの自宅は大規模半壊となってしまい、営業所は地盤沈下により建て替えの必要を余儀なくされています。仕入先である輪島港や珠洲港の被害が大きかったため、現在も仕入れは以前の8割程度にしか回復していません。

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ふぐやえびのほか、なまこ漁が盛んな七尾市石崎漁港。なまこの珍味「このわた」「くちこ」の生産に古くから携わってきたそう。
一つ一つ手作業で丁寧に作り上げる伝統的な手法が受け継がれている。

―今回ご紹介いただいている商品について教えてください。

笹本 なまこうどんは、10年くらい前に、今の会長である父が始めた商品です。海産物はどうしても規格外のものが出てしまうのですが、それを有効活用したいという思いがありました。
常温の商品というのは、水産加工品としては挑戦的な試みです。魚関係というのはほとんどが冷蔵や冷凍にしてクール便で発送しなければならないのですが、環境への配慮という点ではあまり良くありません。そのため、常温にしたいと思い、なんとか製麺会社さんのご協力があって実現できました。
私たちのところで生のなまこを茹でて乾燥させたものをパウダーにし、それを製麺会社でうどんに練り込んでいます。なまこにはコラーゲンが非常に豊富なので、美容を気にする方にもおすすめです。味や匂いがするわけではないのですが、なまこのおかげか、つるつるとした食感が特徴的です。
お得意先の飲食店へ納品させていただいたり、お土産品として店頭に並べていただいたりしています。自社のネット通販でも購入可能です。

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6〜7分お湯で茹でるだけで、つるつるで艶やかな細めのうどんが出来上がる。
水でぬめりをとって、ざるうどんとしていただく。
そうめんに近いような軽い口当たりで、喉ごしがよく、いくらでも食べられてしまうおいしさ。
暑い夏の昼食などにぴったり。

―贅沢にフグを使った商品も?

笹本 「能登ふぐ」という地域ブランドを作って、今PR活動をしているところです。
フグの漁獲量で見ると、石川県は現在2〜3位なのですが、十数年前までは全国1位が続いていました。そして、その主な漁場というのが能登です。
でも、全国的にいうと山口県が有名ですよね。ですが、実は能登や石川のふぐも山口に持っていったりしています。そこを、地元のものは地元のものとして扱っていきたいと思いました。そういうこともあって、「能登ふぐ」というネーミングをしてピーアールをするようになりました。

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能登で水揚げされる天然ふぐを地域の宝ととらえ、
漁業者・流通事業者・水産加工会社・卸売業者・小売業者・飲食店・宿泊施設など
さまざまな事業者が連携し、地域一丸となって「能登ふぐ」のブランド化に取り組んでいる。

―商品は「ふぐ花削り」という削り節ですね?

笹本 これも環境不可を減らせないかという発想で、ふぐをあますところなく使った常温の商品にしたいという思いから生まれました。弊社でふぐの煮干しを作って、それを削り節屋さんに削ってパック詰めしてもらっています。
これには、「ふぐの恩返し」というラベルが貼ってあります。これは、震災後にラベルを変えたものになります。まだまだ復興が見えない中で、さまざまな人にご支援をしていただきました。それをどういう形で返していけばいいのかわからなかったんですが、このような商品を増やすことで会社として立ち向かっていきたいですし、支援くださった方たちに恩返ししたいと思っています。
味の方は、鰹節と比較すると、ふぐは白身ですから優しい味わいで、後からフワッと味が出てくるような感じです。そのまま素材の味を楽しんでいただきたいです。

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そのままつまみとして食べても、ふぐらしい味わいを楽しむことができる。
冷奴やおひたし、サラダなどの上品なトッピングとしても◎。
筆者は卵かけごはんにかけてみたが、高級感が出て絶品になった。

―今後の展望をお聞かせください。

笹本 日本全国そうだと思うのですが、魚の漁獲量はやはり減ってしまっています。そこをどのように乗り越えていくかというのが課題です。弊社は、生産者に寄り添っていくというのが長い間の伝統ですから、漁業者の皆さんが獲ってくるものはできる限り仕入れたいという気持ちがあります。ですから、その本当の魅力を知ってもらえるような商品を作っていきたいと考えています。水産業はこれから大事な産業だと思いますが、そういったことも消費者の方に伝えられるような商品ができればいいなと思っております。

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日本でも珍しいトラフグの産卵が確認された能登。
たまごから稚魚が生まれ、九州まで泳ぎ、また帰ってくる。
そんな天然ふぐのスタート地点だからこそ、稚魚放流を進めているという。

―復興が進むことを心から祈っております。貴重なお話をありがとうございました!

能登なまこうどん・ふぐ花削りセット

「能登なまこうどん・ふぐ花削りセット」
価格:¥3,888(税込)
店名:すぎ省水産
電話:0767-53-0055 (5:00~15:00 水曜、日曜を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.sugisyo.co.jp/product/udon_kezuri/
オンラインショップ:https://www.sugisyo.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

笹本 和茂(すぎ省水産株式会社 代表取締役社長)
千葉県出身。大学では水産学を学び、卒業後は水産関連会社に勤務。海外青年協力隊を経て、東日本大震災の際には東北の漁業の復興に携わる。妻の生家の家業を引き継ぐため、石川県・能登へ移住。「能登ふぐ」のPRや、復興支援への気持ちを込めて「ふぐの恩返し」と名づけた商品の開発に力を入れている。

<文/尾崎真佐子 MC/田中香花 画像協力/すぎ省水産>

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