
広島・三次(みよし)の霧が育む黒ぶどうの芳醇な白ワイン「TOMOÉピノ・ノワール白夜」と「TOMOÉマスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤード」
2026/05/11
今回、編集長のアッキーが注目したのは、広島県・三次(みよし)の気候風土により育んだ贅沢なワイン「TOMOÉピノ・ノワール白夜」と、農家との絆が結実した「TOMOÉマスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤード」です。
広島県北部に位置する三次市は、早朝に街を包み込む「霧の海」で知られる幻想的な盆地で昼夜の寒暖差が大きいぶどうの産地。この地で、地域の農業を守り、ワインを通じて故郷を元気にしたいと願う造り手たちの物語が、一滴一滴に凝縮されています。黒ぶどうから贅沢に仕立てた白ワインの芳醇な香りと、完熟ぶどうの驚くべき凝縮感は、まさに三次の風土が育んだ宝物といえるでしょう。
取材スタッフが、広島県に本社を構える、株式会社広島三次ワイナリー 代表取締役の山縣隆氏にお話を伺いました。

株式会社広島三次ワイナリー 代表取締役の山縣隆氏
―まずは、こちらのワイナリーが設立された背景について教えてください。
山縣 広島県三次市では、昭和30年代からぶどう栽培が始まり、昭和50年代には「ピオーネ」を三次市の特産品として産地化しようという動きが本格化しました。その過程で、どうしても出てしまう規格外のぶどうを有効活用し、高付加価値のある加工品としてワインを造ろうという「ワイナリー構想」が持ち上がったのです。当時の市長の発案で、農業振興と地域活性化を目的とした第3セクターとして、1991年(平成3年)に設立しました。
ブランド名の「TOMOÉ(トモエ)」は、市内の3つの川が合流する地点が「巴(ともえ)」の形を描いていることに由来しています。この巴状の地形は三次のシンボルでもあり、そこから生まれる霧、雲が雨となり大地を潤し、おいしいぶどうを育んでいるのです。単なる製造業ではなく、三次のぶどう農家を守りたい、地域を元気にしたいという自治体と農家の共同プロジェクトとして、私たちの歩みはスタートしたのです。


昭和30年代に始まったぶどう栽培を背景に、地域一丸となって設立されたワイナリー。
ブランド名の「TOMOÉ(トモエ)」は、3つの川が交わる巴の地形と、自然と人が共生する循環を象徴している。
―ご自身は、どのような経緯でワイナリーに携わることになったのでしょうか。
山縣 私は三次出身なのですが、以前は広島市内の大手食品卸会社に勤めていました。その企業が経営する子会社で、産業給食や、居酒屋などレストラン経営の現場を約5年ほど任されていた時期があったのです。まさに「食の最前線」でお客様と接する日々の中で、お酒やワインについても学んできました。
そんな折、故郷の三次にワイナリーができるという話を聞き、立ち上げメンバーに応募し入社したのが、1994年のことです。以来、30年以上この場所で三次の魅力をお伝えし、お客様に喜ばれる体験を追求してきました。
―今回ご紹介いただく「TOMOÉピノ・ノワール白夜」の開発にはどのような思いがあったのですか。
山縣 「赤ワインの女王」と呼ばれるピノ・ノワールという黒ぶどうを使い、あえて白ワインを造るという贅沢な挑戦から生まれたのがこの一本です。私たちが目指したのは、北極圏の「白夜」のように、太陽が沈んだ後も明かりが残るような、長く心地よい余韻が続くワインでした。ピノ・ノワールは皮が黒いので、通常通りに絞ると赤い色素が出てしまいます。そこで、色がつかないようにあえて緩く絞り、搾汁を本来の半分程度で止めてしまうという、効率度外視の決断をしました。三次の風土を吸い上げたぶどうの、最もピュアでリッチな「一番搾りの果汁」だけを贅沢に使っているのです。まだ誰も知らないピノ・ノワールの美しさを引き出したいという、私たちの探求心の結晶といえますね。

黒ぶどうの色素がでないよう本来の半分程度しか搾汁しない、希少性の高い一本。
―味わいやデザインの特徴についても詳しくお聞かせください。
山縣 発酵には、フランス産の樽を使用しています。大きなタンクに比べ、樽の成分が効率よくワインに溶け込むのが特徴です。さらに、小樽のなかでも、新しい樽を贅沢に使用しているのですよ。
また、乳酸発酵(酸味をまろやかにする工程)を施すことで、リッチで複雑な厚みのある味わいに仕上げています。グラスに注ぐと、和梨のコンポートや焼きリンゴを思わせる芳醇な果実の香りに、百合のような花の香りが重なり合います。口に含めば、カラメルのような香ばしい旨みと微かな苦みが、静かに長く続いていくのを感じていただけるはずです。
また、ラベルには霧や川を象徴する「水の循環」をデザインしています。三次の霧という特有の自然環境が、この一滴一滴を育んでいることを表現しました。手間暇をかけて引き出した味わいをゆっくりと味わっていただければ幸いです。
―このワインを、どのようなシーンで楽しむのがおすすめでしょうか。
山縣 お祝い事や記念日はもちろん、一日の終わりに自分を慈しむ「ご褒美」の時間にこそ開けていただきたいワインです。食事とのペアリングであれば、クリームパスタや牡蠣のクリーム煮など、白いソースを使った料理が特におすすめですね。ワインのふくよかな果実味が、クリームのコクと一層引き立て合います。また、週末の午後に柿やチーズを添えて、ゆっくりと香りの変化を愛でるのも豊かなひとときになるでしょう。白いお料理と黄金色のワインがテーブルに並ぶだけで、いつもの日常がふっと特別な景色に変わる、そんな喜びを提案できればと思っています。

13℃程度に冷やして飲むのがおすすめ。
和食なら出汁を効かせた煮物、洋食ならバターを使ったムニエルなど、素材の味を活かした料理と相性抜群。
―世界的なコンクールでも高い評価を得ているそうですね。
山縣 ありがたいことに、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)やDWWA(デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード)といった世界的な審査会で、毎年のようにシルバーやブロンズを受賞しています。「日本でも珍しい黒ぶどうから造られた白ワイン」として、希少性の高さも注目されています。世界が認めたクオリティでありながら、まだ多くの人が知らない「隠れた名作」としてのプレミアム感がありますので、ワインに詳しい方へのギフトとしても、自信を持って選んでいただけると思います。
―もう一つの商品「TOMOÉマスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤード」についても、誕生の物語をお聞かせください。
山縣 このワインは、ニュージーランドで経験を積んで弊社に入社した醸造長と、地元のベテラン栽培家である木津田礼氏によって生まれました。醸造長が「これまでにない最高のぶどうを造ってほしい」と熱心に働きかけたところ、最初は難色を示していた木津田さんが、その熱意に応えて「1年だけやってみよう」と言ってくださったのです。ぶどうの凝縮感を高めるために、通常よりも収穫を3週間遅らせ、さらに一房あたりの質を高めるために、あえて他の実を切り落として数を制限。そうして出来上がったのがこのワインです。農家さんにとっては非常にリスクの高い決断でしたが、その挑戦があったからこそ実現した、まさに奇跡の一本なのです。

見た目の淡い色合いからは想像できない、力強い果実味とキレのある酸が特徴。
―味わいについても教えてください。
山縣 木津田農園の単一畑で育ったマスカット・ベーリーAのみを100%使用した地産ワインです。見た目は淡く透明感がありますが、味わいはとても濃密なのが特徴です。いちごジャムのような甘い香りにハーブのニュアンスが寄り添い、まさに「日本ワインの誇り」を感じさせてくれます。面白いのは、お好み焼きやすき焼き、さらには「おはぎ」といった甘めのタレや餡を使った和食ともよく合うことです。お好みソースの甘みとワインの果実味が共鳴する瞬間は、新しい発見になると思います。
―日本ワインコンクールでの金賞受賞という実績も、その品質を裏付けていますね。
山縣 このワインは、弊社の歴史の中でも初めて日本ワインコンクールで金賞をいただいた記念碑的な商品です。山梨で行われた公開テイスティングでは、多くの造り手の方々から「なぜこの淡い色で、これほどまでの味わいが出るのか」、「色と味わいのギャップがすごい」と驚きの声をいただきました。フランスワインの模倣ではなく、日本独自の品種のポテンシャルを最大限に引き出したことが認められたのです。専門家が驚いた「常識を覆す味わい」を、ぜひ皆さまにも味わっていただきたいですね。農家さんと私たちが一体となって追求した本質的なクオリティが、このボトルに詰まっています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
山縣 現在、自社農園をさらに拡大しており、来年や再来年には新しい収穫が始まります。私たちの目標は、この物語のあるワイン造りに共感し、三次に集まってくれるような若い人材を育成していくことです。また、三次の霧という独特の気候を逆手に取り、この気候風土によって菌が付着する「貴腐ワイン(きふわいん/最高級の甘口デザートワイン)」のような、より高みを目指した商品開発も進めています。ワイン造りは、単なる製造ではなく「まちづくり」そのものです。訪れた方が「三次はいいところだね」と喜んでくださり、この街全体の価値が高まっていく。そんな未来を、ワインという飲み物を通じて描き続けていきたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「TOMOÉピノ・ノワール白夜」
価格:¥6,600(税込)
店名:広島三次ワイナリーオンラインショップ
電話:0824-64-0200(9:30~17:30)
定休日:1月・2月の第2水曜日、12月29日~1月1日(※祝日により変更有)
商品URL:https://www.miyoshi-winery-online.shop/product/116
オンラインショップ:https://www.miyoshi-winery-online.shop/

「TOMOÉマスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤード」
価格:¥2,530(税込)
店名:広島三次ワイナリーオンラインショップ
電話:0824-64-0200(9:30~17:30)
定休日:1月・2月の第2水曜日、12月29日~1月1日(※祝日により変更有)
商品URL:https://www.miyoshi-winery-online.shop/product/17
オンラインショップ:https://www.miyoshi-winery-online.shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
山縣隆(株式会社広島三次ワイナリー 代表取締役)
1965年東京都生まれ。広島県三次市出身。広島市内の大手食品卸会社にてレストラン経営などを任された後、1994年の広島三次ワイナリー設立を機に故郷へUターン。オープン準備室から30年以上にわたり、支配人、取締役などを歴任。2021年に代表取締役に就任。「ワイン造りはまちづくり」という信念のもと、地域の農業振興と三次ワインの品質向上に尽力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/広島三次ワイナリー>




























