
凛とした白さと魚の旨み、唯一無二の弾力。創業100年の老舗が守る、焼き抜きかまぼこ「白銀(はくぎん)」
2026/04/30
今回、編集長のアッキーが注目したのは、雪のような美しさと、力強い弾力が特徴のかまぼこ「白銀(はくぎん)」です。熟練の職人が直火でじっくりと焼き上げる「焼き抜き」製法が生み出すのは、気品ある佇まいと凝縮された魚の旨み。その確かな品質は、70年以上にわたって宮内庁御用を賜り、公式行事でも供され続けていることでも証明されています。
伝統の重みを守りながらも、現代の食卓に溶け込む新しい楽しみ方を提案する背景には、4代目社長が大切にする「本物への一途な思い」がありました。取材スタッフが、山口県に本社を構える、株式会社杉本利兵衛本店 代表取締役社長の杉本洋右氏にお話を伺いました。

株式会社杉本利兵衛本店 代表取締役社長の杉本洋右氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
杉本 弊社の歴史は、1919年(大正8年)に創業者の杉本利兵衛が山口県防府(ほうふ)市でかまぼこ・ちくわの製造販売業を始めたことに遡ります。創業者は、当時同じ山口県防府市にあった魚卸業「かわとめ」で蒲鉾作りの修業を積んでいました。そこで培った職人魂を胸に独立し、以来100年以上にわたり「かまぼこ作り100年」という不変の精神を貫いています。時代が変わっても「いい魚でおいしいかまぼこを作り、手ごろな価格でお客さまに喜んでいただく」という思いは変わりません。地域に根ざした信頼を大切にしながら、本物を提供し続ける老舗としての誇りを、今の代まで大切に引き継いできたのです。




100年以上の歴史を誇る杉本利兵衛本店。
現在は4代目の杉本洋右氏が舵を取りながら、伝統の製法と品質を次世代へと繋いでいる。
―社長ご自身は、どのような道のりを経て代表に就任されたのでしょうか。
杉本 私は地元防府で生まれ育ち、幼いころから体を動かくすことは好きで、中学・高校まではバレーボールに打ち込む日々を過ごしていました。大学は福岡へ進み、卒業後は家業を継ぐ前に外の世界を経験しようと、1年間の専門学校を経て、食品関係の会社で営業職に就きました。実はもともと事務職を志望していたのですが、採用試験の際に「営業になってくれないか」と社長さんに言われたのがきっかけでした。当初は少し戸惑いましたが、外での厳しい経験や、商売の現場で直接お客さまの声を聞けたことは、今の経営にも非常に役立っていると感じています。2004年に家業へ戻り、創業100周年の大きな節目を迎えた2020年8月、父からバトンを受け取り代表取締役社長に就任しました。
―看板商品である「白銀」の名前の由来を教えてください。
杉本 「白銀」という名称は、1936年に当時の外務大臣・松岡洋右氏によって命名されました。山口県防府市の三田尻にて療養されていたお母さまを訪ねて来られた際、弊社の蒲鉾を召し上がった松岡氏が、その雪のような純白さと光沢に深く感銘を受けられたのがきっかけです。その凛とした色艶のよさを称え、直々に「白銀」という名を授けてくださいました。山口県の伝統製法を応用し、理想を追求して完成させた最高級かまぼこにとって、それは単なる商品名を超えた気高い称号のようなものでした。以来、多くの著名人や文化人に愛され、その名に恥じない品質を守るために歴代の作り手が努力を重ねてきたのです。


ぷるんとした力強い弾力と、真っ白な見た目が特徴の「白銀」。
―他にはない「白銀」ならではの、製法や素材へのこだわりはどこにあるのでしょうか。
杉本 最大の特徴は、山口県独特の「焼き抜き」という伝統技法にあります。一般的なかまぼこは蒸して加熱しますが、焼き抜きは板の下からじっくりと直火で焼き上げます。火入れは2段階に分け、約1時間をかけることで、焼き目をつけずに純白な肌を保ったまま、魚本来の旨みと力強い弾力が凝縮されるのです。
素材には、厳選されたスケソウダラとキントキダイのすり身を独自の比率で配合しています。美しい白い色を守るため、熟練のスタッフが目視で小さな魚の皮一本まで手作業で取り除く、丁寧な工程も欠かせません。でんぷんなどのつなぎを極限まで減らし、低温で寝かせることで、独特のプリプリとした食感を引き出しています。季節や気温に合わせ、長年の勘と経験で火力を微調整しながら、100年前と変わらぬ「本物」を追求しているのです。


伝統の「焼き抜き」という技法で、焼き色をつけずじっくりとかまぼこを焼いていく。
―おすすめの楽しみ方を教えてください。
杉本 まずは何もつけず、5ミリ程度の薄切りにして、魚本来の甘みと伝統の技が生んだ深い味をダイレクトに楽しんでいただきたいですね。まさに「お刺身」感覚で。そのあとは、わさびを添えて板わさにするのが最も贅沢な食べ方です。キリリと冷えた山口県の地酒とは最高の相性ですし、意外かもしれませんが、辛口の白ワインとも非常によく合います。白ワインと合わせる際は、5ミリ程度に切った白銀にオリーブオイルとブラックペッパーを添えてみてください。洋風のアレンジによって、かまぼこの新しい魅力が広がり、日常の食卓が少し贅沢な時間に変わるはずです。ぜひ熱を通さず、新鮮な食感をそのままお召し上がりください。


夕食の一品や酒の肴に。
日本酒はもちろん、ワインとも相性がいい。
―皇室をはじめ、多くのお客さまから長年支持されているとお伺いしました。
杉本 ありがたいことに、1952年より宮内庁御用を賜っており、現在も「講書始(こうしょはじめ)」や「歌会始(うたかいはじめ)」といった皇室の公式行事の際に納品させていただいています。70年以上にわたり変わらぬ信頼をいただけていることは、作り手として大きな励みになっています。
近年では、声優の安元洋貴さんがご紹介してくださったことをきっかけに、若い世代の方々からも「今までにないプリプリした食感」と驚きや喜びの声をいただくようになりました。山口出身の方が「大切な贈り物にはこれ」と郷里の名品として決めてくださっていたり、リピーターの方から温かなエピソードをいただいたりすることも多いです。伝統を守り抜く姿勢が、時を超えて幅広い層のお客さまに届いているのを実感し、感謝の思いでいっぱいです。
―今後の展望についてお聞かせください。
杉本 100年の歴史を背負いながら、次の100年も「白銀」が食卓の笑顔の中心にあるために、変わり続ける勇気を持ちたいと考えています。社内が一丸となって、伝統をどう磨いていくかを共に考える温かな文化を大切にしていきたいですね。これからは現代のライフスタイルに合わせた小ぶりなサイズの商品の提案や、SNSでのアレンジレシピ発信などを通じて、若い世代にもかまぼこ文化を継承していきたいです。地域への感謝を忘れず、誠実なものづくりを通じて幸せを発信できる企業として成長し続けていきたいと願っています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「白銀」
価格:¥896(税込)
店名:白銀本舗 株式会社杉本利兵衛本店
電話:0835-22-0391(9:00~17:00※日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.hakuginshop.jp/view/item/000000000001?category_page_id=ct16
オンラインショップ:https://www.hakuginshop.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
杉本洋右(株式会社杉本利兵衛本店 代表取締役社長)
1977年山口県防府市生まれ。大学卒業後、福岡県にて食品関連企業の営業職を経験し、現場の厳しさと商売の基礎を学ぶ。2004年に家業である株式会社杉本利兵衛本店へ入社。創業100周年の節目となる2020年8月、4代目代表取締役社長に就任した。伝統製法「焼き抜き」を守りつつ、SNS活用や新ブランド構想など、次代に向けた老舗の刷新に尽力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/杉本利兵衛本店>




























