
三河みりんの正統を継ぐ「九重櫻」と甘すぎず、しっとりで人気の「みりん屋さんのバームクーヘン」
2026/03/13
煮物の味がなかなか決まらない、照りやツヤが物足りない。そんな日々の料理の悩みを、一振りで解決してくれる魔法のような調味料があります。今回、編集長のアッキーが注目したのは、プロからも厚い信頼を得る「九重櫻(ここのえさくら)」とみりんならではの甘さを活かした「みりん屋さんのバームクーヘン」です。お米由来の旨味が凝縮された上品な甘みが特徴で、一流の料理人からも絶大な信頼が寄せられています。
その背景には、250年以上にわたって伝統を守りつつ、若手社員の感性を活かした新しい挑戦を続ける老舗の姿がありました。取材スタッフが、愛知県に本社を構える、九重味淋株式会社 代表取締役の石川総彦氏にお話を伺いました。

九重味淋株式会社 代表取締役の石川総彦氏
―まずは、御社の歩みについて教えてください。
石川 九重味淋は江戸時代、1772年(安永元年)に現在の愛知県碧南市で創業しました。私の祖先である石川 八郎右衛門 信敦(いしかわ はちろうえもん のぶあつ)がみりんの製造を手がけてから、250年以上の月日が経っています。三河みりんの発祥といわれるこの場所で、代々、品質本位の醸造を受け継いできました。私たちの誇りは、今も現役でみりんを熟成させる醸造蔵「大蔵」です。築300年を超えるこの蔵は、国の登録有形文化財にも指定されています。少しずつ修繕を重ねながら、大切に守り続けています。


三河みりん発祥の地で、250年以上変わらぬ品質を守り続けている。
―社長ご自身は、プロのミュージシャンとして活躍されていたという、非常にユニークな経歴をお持ちですね。
石川 幼い頃から家にはレコードがあり、3歳頃には勝手に触って音楽を聴いていたそうです。中学時代からはオーケストラでトロンボーンを吹き、高校からはバンド活動に熱中しました。テレビの中の人に憧れ、プロのベーシストとしてデビューも果たしたのですが、現実は厳しく、音楽だけで食べていくことの難しさに直面したのです。そんなとき、父から「会社に入る前に勉強してこい」と言われ、経営コンサルタントの方に弟子入りすることになりました。そこで学んだのは、「お客さまが何に困り、何を欲しがっているかを深掘りしなさい」ということでした。その後、1988年に家業に入ったのですが、当時の社内はまだ、問屋さんや酒屋さんばかりを見ていて、実際に商品を使うお客様への意識が欠けていました。職人も、自分が造ったものが誰にどう喜ばれているのかを知らないまま作業をしていたのです。それではいけないと思い、少しずつ意識改革を進めてきました。
―看板商品である本みりん「九重櫻」は、どのような経緯で誕生した商品なのでしょうか。
石川 実は「九重櫻」は、一度失われかけた伝統を蘇らせた復刻版なのです。かつて業界全体で効率やコストが優先され、安価なみりん造りが主流になった時期がありました。私たちもその波に飲まれそうになったのですが、「これではダメだ、本来のみりんの姿を取り戻さなければ」という思いが湧き上がってきたのです。そこで、もち米、米こうじ、本格焼酎という、江戸時代から変わらぬ原材料だけで造る伝統製法に立ち返りました。本物のみりんの価値をもう一度食卓へ届けたい。その一心で、昔ながらの魅力を復活させた一本なのです。

黄金色の輝きは、伝統と時が醸し出した努力の証だ。
―「九重櫻」の製法には、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
石川 一番の特徴は、原料となる焼酎に粕取り焼酎を使っていることです。これは酒粕を蒸留して造られる希少な焼酎で、独特の豊かな香りと深いコクを引き出してくれます。また、熟練の職人が二昼夜かけて細心の注意を払いながら育てるこうじは、酵素の力が強く、お米のデンプンから甘みや旨味を引き出します。その後、仕込まれたもろみを約2カ月かけてゆっくりと糖化熟成させ、さらに長期貯蔵することで、あの美しい黄金色と芳醇な香りが生まれます。お米由来の旨味が凝縮された、スッと引くような上品な甘みが特徴です。アルコール度数が高いため素材への浸透も早く、いつもの煮物や照り焼きに使っていただくだけで、食材の臭みを消しながら、深いコクと照りを出してくれますよ。



原材料はもち米、米こうじ、本格焼酎のみ。
―まずは、そのまま味わってみてほしいというお話も伺いました。
石川 料理に使う前に、ぜひそのまま口に含んでみてください。まるで極上のリキュールのような、豊かでまろやかな風味に驚かれるはずです。この驚きこそが、砂糖などでは決して得られない「お米由来の上品な甘味」の証なのです 。
照り焼きでは、「九重櫻」をひと振りすることで、見た目においしそうなテリとツヤを与え、綺麗な焼き色を付けてくれます。また煮物では、素材を引き締め煮崩れを防いでくれ、他の調味料ともよく馴染んで互いの良さを高めてくれます。いつもの料理がプロの味に変わる喜びを、この一滴から感じていただけると思います。

調味料の枠を超えた、極上のリキュールのようなまろやかさ。
料理に一振り入れれば、プロが仕立てたような上品な照りと、食欲をそそる芳醇な香りが立ち上がる。
―プロの料理人たちからも、絶大な信頼を寄せられているそうですね。
石川 ありがたいことに、「九重櫻」は大正から昭和にかけての全国酒類品評会で、日本で唯一「名誉大賞」という最高の名誉に輝きました。江戸時代から続く鰻屋や蕎麦屋、寿司屋の料理人さんたちから、何代にもわたって「九重さんのみりんでないと、うちの味が出ない」「仕事をちゃんとしてくれるのは九重櫻だけだ」という言葉をいただいています。プロの厳しい目で見極められ、選ばれ続けてきたという事実は、私たちの大きな支えです。最近ではSNSなどを通じて、料理愛好家の皆さんからも「一度使うと他のものには戻れない」という嬉しい声をいただくことが増え、身の引き締まる思いです。
―一方で、新名物となっている「みりん屋さんのバームクーヘン」の開発には、若手社員の活躍があったと伺いました。
石川 バームクーヘンを開発したのは若手の女性社員です。彼女は「みりんに馴染みのない若い世代にも、このおいしさを伝えたい」という切実な思いを持っていました。私たちのような老舗にとって、伝統を守ることはもちろん大切ですが、時代に合わせて新しい形を提案することも同じくらい重要です。何度も試作を重ねて完成させました。発売直後から大きな話題を呼び、一時は品切れが続くほどの反響をいただきました。みりんを一本贈るのは少し重いと感じる場面でも、このバームクーヘンなら気軽なギフトとして喜ばれます。まさに、九重味淋の新しい可能性を切り拓いてくれた、挑戦の象徴といえる商品ですね。

「みりんに馴染みのない世代へ」。
伝統をスイーツという形で届ける、老舗の新しい挑戦。
―味わいや、おすすめのシーンについても教えてください。
石川 みりんにはお米由来の上品な甘さがあるので、砂糖を主体にしたお菓子よりも後味が軽やかで、深いコクが楽しめます。30代から40代の女性からは「甘すぎず、しっとりとしていておいしい」と好評です。自分へのちょっとしたご褒美にはもちろん、バームクーヘンは「長く続く幸せ」を願う縁起物でもありますので、出産祝いや内祝いなどの慶事にもふさわしい仕上がりになっています。普段あまり料理をしない方や、一人暮らしの友人への手みやげとしても、みりんの魅力を知っていただく入り口になってくれるはずです。


そのままでももちろん、少し温めるとみりんの香りがより一層引き立ち、焼きたてのような風味が蘇る。
―最後に、未来のビジョンをお聞かせください。
石川 私が最も大切にしているのは「時流」という言葉です。どんなに優れた技術や歴史があっても、その時代に合っていないものは淘汰されてしまいます。時代の変化に合わせて、冷凍食品やスイーツなど、今の暮らしに寄り添う新しい姿に変えて価値を届けていきたいのです。また、入社2年目の社員が自由に商品開発に挑む「2年目研修」も続けています。若い世代の新鮮な発想が会社に新風を吹き込み、社員自身が自社の商品に愛着を持つことで、いい流れが生まれています。将来的には、みりんを「体験」できるテーマパークのような場所を作るという構想もあります。250年先も、みりんのある豊かな食卓を守り続けるために、私たちはこれからも驚きと幸せを届ける企業であり続けたいと考えています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「本みりん 九重櫻(500ml)」
価格:¥1,241(税込)
店名:九重味淋株式会社
電話:0120-59-9939(9:30~12:00、13:00~16:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kokonoe-shop.com/c/gr1/gr2/16383
オンラインショップ:https://www.kokonoe-shop.com/

「みりん屋さんのバームクーヘン」
価格:¥1,500(税込)
店名:九重味淋株式会社
電話:0120-59-9939(9:30~12:00、13:00~16:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kokonoe-shop.com/c/gr1/gr7/20002
オンラインショップ:https://www.kokonoe-shop.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
石川総彦(九重味淋株式会社 代表取締役)
1962年生まれ。幼少期から楽器演奏に才能を発揮し、中学時代からフルオーケストラに参加。大学卒業前にメジャーデビュー。プロベーシストとして活躍後、経営コンサルタントに従事。1988年に家業である九重味淋株式会社に入社し、2004年に代表取締役社長に就任。「伝統と革新」を掲げ、エンドユーザーに向けた多彩な商品開発や事業展開を牽引している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/九重味淋>




























