愛知県で自社での米作りからこだわった希少なお酒、純米大吟醸「ほうらいせん摩訶」

2026/01/09

今回、編集長のアッキーが注目したのは、愛知のお酒、純米大吟醸の「ほうらいせん摩訶(まか)」です。グラスに注ぐと広がる、洋ナシのような華やかな香り。口に含めば、絹のように滑らかな舌触りとともに、お米の中心部分だけを使った贅沢な旨みが、優しく心に染み渡ります。その背景には、伝統を守るためにあえて最新技術を取り入れ、米作りから手がけた造り手の情熱がありました。取材スタッフが、愛知県に本社を構える、関谷醸造株式会社 代表取締役の関谷健氏にお話を伺いました。

関谷醸造株式会社 代表取締役の関谷健氏

―まずは御社のルーツについてお聞かせください。

関谷  私たちの蔵は、江戸末期の1864年(元治元年)に、自然豊かな愛知県の奥三河・設楽町で創業しました。長い歴史の中では何度も危機がありましたが、特に昭和恐慌の時代、世の中が安価な酒に流れる中でも、当時の当主は「品質本位」を貫く決断をしました。そこで立ち上げたのが、現在も続く「蓬莱泉(ほうらいせん)」というブランドです。苦しい時こそ、品質を落とさず本物を追求する。その精神は、私たちの蔵のDNAとして今も深く根付いています。また、「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」という言葉をモットーにしており、蔵人のチームワークの良さがいい酒を造り、そのいい酒が飲む人の和を醸すと信じて酒造りに励んでいます。

江戸末期、元治元年の創業以来、奥三河の地に根ざしてきた関谷醸造。
「ほうらいせん吟醸工房」では、オーダーメイドの酒造り体験ができる。

―7代目として家業を継がれるにあたり、どのような思いやご苦労があったのでしょうか。

関谷  私は大学で醸造を学び、試験場での勤務を経て実家に戻りました。その時直面したのが、長年酒造りを支えてくれたベテランの杜氏や職人たちが、高齢で引退されていくという現実でした。伝統の技をどう継承するか。そこで私が取り組んだのが、職人の勘や経験を徹底的に「データ化」することです。温度管理や発酵の経過を数値で見える化することで、経験の浅い若い社員でも、安定して高品質な酒を造ることができる環境を整えました。機械化というと手仕事の温かみが失われるように感じられるかもしれませんが、人間がやるべき創造的な仕事に時間を割くために、あえてテクノロジーの力を借りる。それが、これからの伝統の守り方だと考えたのです。

―今回ご紹介する「ほうらいせん摩訶(まか)についてお聞かせください

関谷  「摩訶」はもともと、創業150周年を記念して「自社栽培の米を使って今できる最高の酒を造ろう」というコンセプトで生まれた、特別な一本でした。実は当初、記念の年だけの限定酒として、一度きりで終わる予定だったのです。ところが、お飲みいただいたお客様から「あのお酒はもうないのか」「どうしてもまた飲みたい」という、本当に熱烈な声をたくさんいただきました。その思いに背中を押され、奇跡的に定番化が決まったという経緯があります。商品名の「摩訶」は、般若心経の冒頭にある言葉で、「偉大なる」「大きい」という意味を持ちます。一度は幻となりかけたお酒ですが、その名に恥じないよう、私たちの覚悟を込めて送り出しています。

創業150周年の記念酒として誕生した「摩訶」。
ファンの熱い要望に応えて奇跡の復活を遂げた、蔵の自信作。

―「今できる最高」を目指したという味わいについて、そのこだわりを詳しく教えてください。

関谷 最大の特徴は、原料へのこだわりです。私たちは「アグリ事業部」を立ち上げ、自分たちの手で米作りから行っています。この「摩訶」には、自社の田んぼで育てた酒造好適米「夢山水(ゆめさんすい)」の中からその年一番出来のいい米だけを厳選して使用しています。自社栽培だからこそ、肥料を抑えてゆっくり乾燥させるといった、酒造りに最適な健全な米を育てることができますお米の素性や、育ってきた環境を私たちが一番よく知っているからこそ、そのポテンシャルを最大限に引き出す酒造りができるのです。

酒造りは米作りから始まる。
手塩にかけて育てた酒米「夢山水」の中から、その年最高の出来栄えを誇る米だけを厳選。

関谷 精米歩合は30%。お米の中心にある宝石のような部分だけを使う贅沢な造りですが、ただ削ってきれいにすればいいわけではありません。お米本来の旨みや甘みをしっかり残すよう、緻密な設計図を描いて醸しています。仕込み水にはミネラル分がきわめて少ない「超軟水」を使用。これにより、酸が少なく、女性の方にも「飲みやすい」と言っていただける、驚くほど柔らかく優しい口当たりになります。吟醸らしい洋ナシのような華やかな香りと、雑味のないすっきりとした飲み口、そしてキレのいいさわやかな甘み。自らの手で土から育てた米と、奥三河の清らかな水、そしてデータに裏打ちされた技。これらが融合して初めて生まれる、私たちの自信作です。

緻密な設計図に基づく酒造り。
健全に育てた米を極限まで磨きあげ、洗練された味わいに。

―社長おすすめの飲み方や、ペアリングがあれば教えてください。

関谷  このお酒は、優しく繊細な甘みを持っていますので、同じく甘みのある魚介類と非常によく合います。例えば、ホタテや甘エビのお刺身などは最高ですね。素材の甘みを、お酒がふんわりと包み込んでくれますよ。飲み方としては、冷やしてワイングラスのような香りの立つ器で楽しんでいただくのがおすすめです。せっかく丹精込めて造ったお酒ですから、一番おいしい温度と、香りを楽しめる器で、じっくりと味わっていただきたいですね。直営店では、このお酒のために陶芸家の方に作っていただいた専用の器で提供しています。

―非常に希少なお酒だと伺っています。

関谷  はい。最高品質の米を選りすぐり、手間と時間をかけて造るため、どうしても生産本数が限られてしまいます。現在は年に1回、11月のみの限定出荷とさせていただいています。ありがたいことに、毎年この時期を楽しみにしてくださるファンの方も多く、予約開始を心待ちにしていただいています。なかなか手に入りにくいかもしれませんが、ご自分へのご褒美や、大切な方へのとっておきの贈り物として選んでいただければうれしいですね。

刺身などの和食はもちろん、繊細な料理の味わいをより一層深めてくれる。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

関谷  私たちは、奇をてらって急拡大するのではなく、米作りから酒造り、そして販売までを一貫して行う現在のスタイルを、着実に深めていきたいと考えています。最近では、お客様に田植えや稲刈り、酒造りを体験していただく機会も増やしています。単に「モノ」としてお酒を飲むだけでなく、その背景にある物語や、酒造りの楽しさという「コト」も含めて味わっていただきたいのです。そうして関谷醸造のファンになってくださった皆さんと一緒に、日本の美しい田園風景や酒文化を未来へつないでいければ、これほどうれしいことはありません。

―素敵なお話をありがとうございました!

「ほうらいせん摩訶」純米大吟醸720ml
価格:¥6,930(税込)
店名:関谷醸造株式会社
電話:0536-62-0505(平日 9:00~17:00  土日祝を除く)
定休日:土日祝(オンラインショップは24時間受付)
商品URL:https://netshop.houraisen.co.jp/products/detail/65
オンラインショップ:https://netshop.houraisen.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

関谷健(関谷醸造株式会社 代表取締役)
1971年愛知県生まれ。東京農業大学醸造学科卒業後、肥料会社・米農家・兵庫県農業総合試験場酒米試験地での研修を経て、1997年に関谷醸造合資会社(現・関谷醸造株式会社)に入社。2010年より代表取締役に就任。「和醸良酒」をモットーに、伝統技術のデータ化や自社での米作りなど、革新的な酒造りに取り組んでいる。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/関谷醸造>

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