
三代続く専門店の味。香りと鮮緑の「抹茶入くき茶」と、お茶請けに最適な落花生「千葉半立」
2025/10/23
忙しい毎日でも、ほっと一息つく時間は大切にしたい。そんな願いを叶えてくれる、とっておきのお茶とお茶請けをご紹介します。舞台は千葉県八千代市の商店街に佇む、お茶と千葉名産の専門店「宗吾郎」。三代にわたって「味」を追求し続ける、地域で愛される名店です。
今回、編集長のアッキーが注目したのは、手軽に本格的な味わいが楽しめる「抹茶入くき茶」と、千葉が誇る最高品種の落花生「千葉半立」です。そのおいしさの裏に隠された、作り手の熱い思いと実直な探求の物語に迫ります。取材陣が、株式会社宗吾郎 代表取締役の寺尾奈起氏に伺いました。

株式会社宗吾郎 代表取締役の寺尾奈起氏
―まず、お店の歴史についてお聞かせください。
寺尾 宗吾郎のルーツは、初代店主である柏木太郎が、1970(昭和45)年、戦後の混乱期に千葉県習志野市でお茶の小売を始めたことに遡ります。 食糧事情も厳しい時代でした。初代はお客様にささやかな喜びを届けたい一心で、行商をしながら地道に商売を続けたのです。
その思いを胸に、当時のお茶屋としては「異端」とも言われた3つの商品、「落花生」「焼きのり」、そして「深蒸し茶」の販売に挑戦します。 周囲の反対もあったそうですが、初代の先見の明は的中し、いずれもお客様から人気を集めました。
そしてその挑戦の遺伝子は、二代目へと受け継がれていきました。
二代目は、産地や品種の異なるお茶を組み合わせる「合組(ごうぐみ)」と呼ばれるブレンド技術をとことん磨き上げました。そして「味の宗吾郎」としての評判を確固たるものにしたのです。
―三代目の寺尾社長は、どのようないきさつで事業を継承されたのでしょうか。
寺尾 私は二代目の娘婿でして、元々はお茶に関して全くの素人でした。 妻の実家であるこの店で、初めてエプロンをつけてお客様の前に立ったのが始まりです。
最初は何もわかりませんでしたが、お客様との何気ない会話や、帰り際にいただく「おいしかったよ」の一言に、これまでにない喜びとやりがいを感じるようになりました。
「もっとおいしいものを届けたい」という思いが日に日に強くなり、義父である二代目の下で合組の技術を習得。さらに知識を深めるために独自で「日本茶インストラクター」の資格も取りました。 初代と二代目が築いてきた「味への探求心」を胸に、毎日お客さまと顔を合わせることが、今では一番の幸せです。


商店街に店を構える「宗吾郎」は、現在三代目。
地域の人々に長年愛されてきた。
―今回ご紹介いただく「抹茶入くき茶」は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。
寺尾 このお茶の開発テーマは、「香ばしい香り」と「美しい緑色」という、ともすれば相反する要素を両立させることでした。
香ばしさを追求して火を入れすぎると、お茶の色は茶色っぽくなってしまいます。 逆に色を求めれば、香りが物足りなくなる。
開発当初は失敗の連続でしたね。 香りを立てれば色が犠牲になり、色を求めれば香りが物足りない。そんなジレンマの中、何度火入れの時間と温度を調整したかわかりません。試行錯誤の末、ついに「香りを最大限に引き出しつつ、美しい緑色を保つ」という理想の火入れ加減を見つけ出したのです。 妥協しない作り手の探求心が、この一杯の美しい緑色と豊かな香りを生み出しました。
―「抹茶入くき茶」のこだわりや、おいしい楽しみ方を教えてください。
寺尾 このお茶の最大の魅力は、水出しでも美しい色と豊かなうまみが出ることです。 急須に茶葉とお水を入れてすぐに出しても、抹茶の鮮やかな色と茎茶の香ばしい風味がしっかりと感じられます。 忙しい毎日にも、手軽に本格的なお茶の時間を届けたい、そんな思いを込めています。まさに「うまみ重視の味」ですね。
暑い季節には、マイボトルに茶葉と冷水を入れるだけの「水出し」が特におすすめです。 オフィスに着く頃には、ひんやりと体に染み渡る極上の冷茶が完成しています。肌寒い日には、80度くらいの温かいお湯で淹れてみてください。熱すぎると渋い味がでてきしまうので、甘みと渋みのバランスがちょうどよくいただけるのが80度です。立ち上る香ばしい香りが、心と体をやさしく解きほぐしてくれます。手頃なサイズ感と確かな品質で、大切な人への「ちょっとした贈り物」としても喜ばれていますよ。
―もう一つの商品、落花生「千葉半立(ちばはんだち)」は、どのような経緯で販売を始められたのでしょうか。
寺尾 まず第一に、ここ千葉県が全国一の生産量を誇る名産地だったからです。千葉の落花生は上品な甘みと豊かなコクを備えています。
お茶請けにも、遠方からの方へのお土産物にもぴったりだと考えたのでしょう。最高のお茶の時間を提供するためには、それに寄り添う最高のお茶請けが欠かせない。その思いが、現在の宗吾郎のもう一つの看板商品に繋がっています。

当時は珍しくも、今ではお土産屋・お茶屋で当たり前に扱われるようになるまでになった落花生。
―「千葉半立」という品種には、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
寺尾 「落花生にも、お米のように品種があるってご存知でしたか?」とよくお客様にお話しするんです。 宗吾郎が扱うのは、数ある千葉県産落花生の中でも最高品種の「千葉半立」だけです。これはお米でいう「コシヒカリ」のような品種と称されます。
さっぱりとした味わいの品種に比べ、「千葉半立」は豊かな「コク」と、後を引く「甘み」が特徴です。 天日干ししたのち、炭火風味で香ばしく炒るという昔ながらの製法が、豆本来の味を最大限に引き出しています。 「一度食べたら、もう他のは食べられない」と言ってくださるお客様も多いんですよ。
また、殻付きで販売している理由は殻をむいてしまっている商品よりも、香りや風味が良いためです。
―おすすめの食べ方や、お客様からの反響はいかがですか。
寺尾 おやつやお酒のおつまみはもちろん、健康のためにと毎日10粒ほど召し上がる常連さんもいらっしゃいます。 実は、私の妻も「美容にいいから」と毎日欠かさず食べているんです。
作り手の家族がその価値を実感し、愛用していることこそ、何よりの品質の証かもしれません。
また、新豆が出回る年末には贈り物としても人気です。 お正月にご家族や親戚が集まる食卓の真ん中に置いてみてください。一つ、また一つと殻を剥きながら交わす会話が、場を和ませてくれるはずです。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
寺尾 正直なところ、急須のないご家庭が増え、私たちのようなお茶の専門店にとっては厳しい時代です。 日本中のお茶屋さんが、どんどん姿を消しています。でも、私は未来を悲観していません。日本人なら誰でも、お茶のおいしさや、ほっとする感覚を知っているはずです。
どんなに時代が変わっても、「本物のおいしいお茶を飲みたい」と求める人は必ずいる。 その信念を胸に、これからも味の追求を続けていきたいです。 そうして、いつか「日本で生き残りのお茶屋さん」になるのが夢ですね。 この一杯のお茶、一粒の豆が、日本の素晴らしい食文化の価値を未来に繋いでいくと信じて、これからも笑顔でお客様をお迎えします。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「抹茶入くき茶 100g」
価格:¥1,080(税込)
店名:老舗 宗吾郎
電話:047-483-1249(9:30~18:30 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.sogoro.jp/items/63531527
オンラインショップ:https://shop.sogoro.jp/

「千葉半立 300g」
価格:¥1,728(税込)
店名:老舗 宗吾郎
電話:047-483-1249(9:30~18:30 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.sogoro.jp/items/65039962
オンラインショップ:https://shop.sogoro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
寺尾奈起(株式会社宗吾郎 代表取締役)
1977年生まれ。東京の老舗お茶屋で2年間の修業期間を経て宗吾郎へ入社。お客様との触れ合いの中で仕事のやりがいを見出し、義父である二代目店主の下で技術を学ぶ。日本茶インストラクターの資格などを取得したのち代表取締役に就任し、三代目として店の暖簾を守っている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/宗吾郎>




























