秋田湯沢で400年以上の歴史が生み出す優しい味わい。メロンのように香る純米吟醸「福小町」

2025/10/16

ふわりと香る上品な香り、口に含めば広がるお米の優しい旨み。忙しい毎日の食卓に、そっと寄り添ってくれる「間違いない」一本があったなら。今回、編集長のアッキーが注目したのは、そんな願いを叶えてくれる秋田県湯沢市の地酒、「純米吟醸 福小町」です。手がけるのは、創業から400年以上、この地で実直な酒造りを続けてきた株式会社木村酒造。飲む人の心を解きほぐす、奥ゆかしい味わいの秘密を、代表取締役社長の米山忠行氏に取材スタッフが伺いました。

株式会社木村酒造 代表取締役社長の米山忠行氏

株式会社木村酒造 代表取締役社長の米山忠行氏

―まずは、木村酒造の長い歴史についてお聞かせください。

米山 弊社の創業は元和元年の1615年で、今年で410年目になります。そのルーツは、豊臣家の重臣であった木村重成の一族が、この土地の恵みを活かして酒造りを始めたことにあります。以来、天下泰平の江戸時代から令和の現代に至るまで、400年以上この地で酒造りを続けてきました。創業から受け継がれてきた酒造りへの思いは、今も蔵の中に確かに息づいています。

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400年の歴史が息づく木村酒造の酒蔵。

米山社長は、どのような経緯で社長に就任されたのでしょうか?

米山 私はもともと全く違う業界で働いていました。しかしいつかは地元で働きたいという気持ちがあり、親会社であったナショナル物産に転職したのです。当時、木村酒造はその中の一事業部で、私はそこの事業部長を務めていました。2013年に木村酒造が分社化するタイミングで、そのまま社長になったという流れです。

「純米吟醸 福小町」という優雅な名前には、どのような由来があるのですか?

米山 「福小町」という銘柄の歴史は、昭和の初めごろから続いています。そのルーツは、さらに明治時代にまで遡ります。明治天皇がこの地を訪れた際、侍従の徳大寺様が当蔵を民泊で利用された際に当蔵のお酒を献上しました。すると、その優しい味わいを賞賛され「福娘」という名を賜りました。この秋田県湯沢市は、平安時代の歌人・小野小町の生誕の地であるという伝説があります。それにちなんで「娘」を「小町」に改め、「福小町」という名が誕生しました。

「純米吟醸 福小町」の、人を惹きつける味わいの秘密はどこにあるのでしょうか。

米山 日本酒造りの王道は、悪い部分を削ぎ落とし、嫌味のないきれいな味わいに仕上げることだと考えており、私たちが目指している姿です。弊社ではいわゆる「普通酒」は一切造りません。純米酒や本醸造酒といった「特定名称酒」と呼ばれる高品質なお酒のみを製造しています。

その土台を支えるのが、丁寧な原料処理です。「いい酒ほど米を削る」と言われますが、この「純米吟醸 福小町」では、酒造好適米を元の大きさの55%になるまで磨き上げています。雑味のもとになる米の外側を丹念に取り除くことで、クリアな味わいを築くのです。

醸造の工程では人の手が大事になっています。酒造りの要は「一麹、二酛(もと)、三造」と言われる麹造りです。職人が寝ずの番で温度や湿度を管理し、最高の麹を育て上げます。そして、東北の厳しい寒さを活かした「低温長期発酵」も私たちの強みです。

厳しい自然環境さえも味方につけ、酵母にゆっくりと仕事をさせることで、雑味のない、なめらかでキメの細かい味わいが生まれるのです。こうした惜しみない手間とこだわりが、福小町ならではの特徴に繋がっています。それが「とにかく優しく」「飲み飽きしない」味わいと、メロンのような吟醸香です。

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磨き上げた米を、職人が醸造していく。
これが「福小町」のなめらかで甘いくちどけの理由。

温度によって表情が変わるそうですが、おすすめの楽しみ方を教えていただけますか?

米山 このお酒は、温度帯によって多彩な表情を見せてくれるのが大きな魅力です。キリッと冷やした「花冷え(約10℃)」では、香りは穏やかになります。味わいが引き締まってすっきりとしたキレを楽しめると思います。素材の味を活かしたお料理と合わせると、互いの良さを引き立て合うでしょう。常温では、このお酒が持つ米本来の旨みと優しい香りのバランスが最もよく感じられます。まさに「どんな料理にも合う」万能の食中酒として、日々の食卓で活躍してくれるお酒です。

そして、ぜひお試しいただきたいのが「ぬる燗(約40℃)」です。温めることで香りが華やかに開き、味わいがふっくらと膨らんで、お米の優しい甘みが際立ちます。ちなみに私個人が一番好きなのは、41〜42度くらいに温めて飲むスタイル。心も体もじんわりと温まりますよ。

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温度で味わいが変化する、飽きないおいしさ。

お客様からは、どのようなお声が届いていますか?

米山 品質という点では、フランスで一流のソムリエたちが審査員を務める日本酒コンクール「Kura Master」での受賞が大きな自信になりました。2021年に純米酒部門最高賞の「審査員賞」を受賞。2024年には「プラチナ賞」に輝いています。

しかし何より嬉しかったのは、お取引のある飲食店さんから聞いた言葉です。そのお店の店主が、「うちの店の合言葉は『福小町は間違いない』なんだよ。お客さんがみんなそう言うんだ」と教えてくださって。これには本当に感動しましたね。これ以上の褒め言葉はないと思っています。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

米山 今、多くの酒蔵がそうであるように、私たちも米の価格高騰という大きな課題に直面しています。来年以降、これまでと同じようにお酒を造り続けられるのか、正直なところ不安もあります。しかし、どんな状況であっても、この400年の歴史と品質を守り、次の世代にしっかりとつないでいかなければならない。その想いは変わりません。これからも純米酒を主軸とした、木村酒造らしい実直な酒造りを続けていきたいです。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

純米吟醸 福小町

「【Kura Master2024プラチナ賞受賞!!】純米吟醸 福小町(720ml)」
価格:¥1,815(税込)~
店名:木村酒造
電話:0183-73-3155(10:00~17:00 ※土日、祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.fukukomachi-shop.com/SHOP/jyunmaiginjyo720ml.html
オンラインショップ:https://www.fukukomachi-shop.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

米山忠行(株式会社木村酒造 代表取締役社長)
1967年、秋田県生まれ。2002年にナショナル物産株式会社木村酒造事業部に入社。2013年5月、同事業部の分社化に伴い株式会社木村酒造が設立され、代表取締役社長に就任。400年以上の歴史を持つ蔵の伝統を守りながら、品質を第一とした酒造りを牽引している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/木村酒造>

 

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