
京うどんの名店の味を食卓へ!だしが主役の「しっぽくうどん」
2025/07/28
今回、編集長のアッキーが注目したのは、利尻昆布とかつお節で丁寧にとっただしが主役の「しっぽくうどん」です。湯葉や煮付けしいたけといった京都らしい具材が彩りを添え、優しく奥深い味わいは、どこか懐かしさを感じさせます。多くの人を虜にする京うどんの魅力と、商品に込められた想いについて、株式会社冨美家 代表取締役の藤田健氏に取材スタッフがお話を伺いました。

株式会社冨美家 代表取締役の藤田健氏
―まずは、会社の沿革についてお聞かせください。
藤田 1946年に祖父が創業しました。創業当時は甘味処でしたが、地元のお客様に愛される看板商品となるものを作ることをずっと思い描いていたそうです。そんな中、当時は高価だった鍋焼きうどんを手軽に食べることができたら、お客様に満足していただけるのではないかと思い立ち、1963年に鍋焼きうどんを始めました。これが人気商品となり、今の冨美家(ふみや)となっています。

京の台所として有名な錦市場に本店を構え、今も昔も変わらぬ味を守り続けている。
―社長は幼い頃から、家業を継ぐことを意識されていたのでしょうか。
藤田 物心ついた頃から会社の手伝いをしていました。高校時代は春休みも夏休みも返上して製造のアルバイトに励み、まさに生活の一部でした。他のうどんでは物足りなく感じるほど自社の味が好きで、継ぐという意識より、商品への強い愛着の方が大きかったように思います。2011年に入社し、製造、販売、商品開発、飲食店運営とすべての部署を経験し、その後、先代の父から事業を引き継ぐ形で、2021年に代表取締役に就任しました。
―冨美家さんのうどんの一番の特徴を教えてください。
藤田 一番は「だし」です。京都のうどんは、他のうどんとは異なり、だしが主役なんです。よくある讃岐うどんのように麺のコシを味わうというより、だしの繊細な旨みを楽しむ文化が根付いています。私たちは、京都の料亭でもよく使われる利尻昆布とかつお節から、丁寧にだしをとっています。この昆布が生み出す、優しくて甘みのある味わいを邪魔しないように、麺はあえて柔らかめに仕上げているんです。だしと麺が一体となったときの香りや喉ごしも含めて、「おいしい」と感じていただけるのが、京うどんならではの魅力だと思います。
―今回ご紹介いただく「しっぽくうどん」は、どのような商品ですか。
藤田 弊社のパック商品の中で、通年で一番の人気を誇るのがこの「しっぽくうどん」です。湯葉や煮付けしいたけといった、京都らしい具材をあっさりと味わえるかやくうどんで、特に40代から60代くらいの女性のお客様に多く支持されています。弊社の店舗でもお出ししているメニューで、リピーターの方が非常に多いです。「冨美家の味」として長年親しまれている、自慢の一品です。

京都らしいうどんと人気のしっぽくうどん。
―温かみのあるパッケージも印象的です。デザインにはどのような想いが込められているのでしょうか。
藤田 百貨店の売り場で、豆腐やお揚げのような日配品はデザインにあまり手がかけられていないと感じたのがきっかけです。きちんとデザインすれば、商品の価値がもっとお客様に伝わるはずだと。私たちのうどんは日々の食卓に並ぶ「庶民の味」ですから、高級感よりも、どこか懐かしく馴染みのある雰囲気を大切にしたいと考え、版画で表現しました。既存のフォントは使わず一文字ずつデザインし、冨美家らしい温かみが伝わるようにこだわっています。

こだわりの書体が目をひくパッケージ。
―お店の味をそのままパックにしてご家庭に届けるのは、簡単なことではなかったのではないでしょうか。
藤田 おっしゃる通り、お店で提供する味を量産化するのは、とても難しい作業です。特に、うどんに入れる具材の食感や風味を、お客様の手元に届くまでそのまま保つことには苦心しました。何度も試作を重ね、製造現場のスタッフとも意見を交わしながら、どうすればこの繊細な味を再現できるかを突き詰めていきました。細かいトライアンドエラーの繰り返しですが、そのおかげで今の味があります。
―お客様との関係性を深めるために、工夫されていることはありますか。
藤田 一度買ってくださったお客様に、いかにしてファンになっていただくかを重視しています。LINEの公式アカウントでは、会員様限定の特典をお届けしたり、新商品の情報をいち早くお伝えしたりしています。商品に同梱する案内の紙にもこだわっていて、紙質や手触り、コピーの一つひとつまで、デザイナーと突き詰めて作っています。こうした細部までのこだわりを通じて、ブランドの世界観を感じていただけたらうれしいです。
―創業から約70年。錦という食の激戦区で、長く人気店であり続けられている理由はどこにあるのでしょうか。
藤田 「いつの時代もお客様に喜んでいただくことを第一に考え、手間を惜しまない姿勢を貫いてきたこと」に尽きると思います。例えば、今でこそ当たり前になったうどんのパック商品ですが、私たちはスーパーにまだ並んでいなかった頃から販売していました。また、ご家庭で店の味を楽しんでいただけるお取り寄せ通販も、冷蔵配送が普及する前からいち早く始めています。こうした取り組みは全て、お客様から寄せられた「こんなものがあったら嬉しい」という声を一つひとつ形にしてきた結果です。お客様に心から喜んでいただくことこそ、何よりの宣伝になると信じています。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
藤田 食品業界の仕事は、製造や販売など地道な努力の積み重ねです。私はこの14年間、携わってきて、こうした日々の営みがもっと評価されてしかるべきだと感じています。商品に込められた想いや背景をきちんとお伝えし、適正な価値でお客様に届ける。そして従業員みんなでその味と品質を守り、未来へつないでいきたいと考えています。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「しっぽくうどん」(1人前)
価格:¥540(税込)
店名:冨美家
電話:0120-238-041(9:00~17:00)
定休日:なし(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
商品URL:https://www.kyoto-fumiya.co.jp/shopdetail/000000000001/
オンラインショップ:https://www.kyoto-fumiya.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
藤田健(株式会社冨美家 代表取締役)
1983年京都市生まれ。2011年に株式会社冨美家に入社し、製造、販売、商品開発、飲食店運営とすべての部署にて経験を積む。2021年に代表取締役社長に就任。現在も冨美家錦店にてキッチンに立ち、日々お客様の声に耳を傾けている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/冨美家>