今、日本の緑茶、とりわけ抹茶が海外でブームになっています。抹茶と言えば、飲用のほかスイーツなどの料理用にも幅広く使われている人気のアイテム。今回、編集長アッキーが気になったのは、ほかにはない組み合わせが魅力的な「ミルクジャムと茶こし付き宇治抹茶セット」です。商品を監修した株式会社ちきりやは、京都で江戸時代に創業したお茶の老舗。緑茶文化の普及活動にも力を入れる代表取締役社長の米内政明氏に、商品の開発エピソードやお茶への思いなどを取材陣が伺いました。

株式会社ちきりや 代表取締役社長 米内政明氏

－米内社長のご経歴を伺えますか。

米内　1960年大阪府堺市の生まれで、1982年に大学を卒業し、当時ちきりやの親会社だった関西茶業株式会社に入社しました。創業者は、大阪府バレーボール協会会長も務めた高橋哲雄さんという方で、私のいとこの祖父にあたります。京都出向やイトーヨーカドー関西一号店のテナント出店で店長を務めたのち、京都に戻り今に至ります。いろいろな人に巡り会えたことが、素晴らしい財産となっており、人とのご縁は大切にしないといけないなと感じています。

安政元（1854）年、法衣業を営む五代目秋山覚兵衛が、三条通室町西入で山城宇治銘茶の販売を手掛けたことに始まる同店。
現在は、お茶の小売販売、業務用の茶葉や茶器などの卸販売、お茶を使った商品の企画開発など、
業務内容は幅広く、海外への販売も積極的に行っている。

－代表に就任されてから経営するうえで一番大切にされていることは。

米内　やはり商売ですから信用です。過去に食品業界においては、産地偽装や賞味期限の改ざん等で、お金では買えない大切な「歴史」や「信用」を一瞬にして失ってしまう結果が散見されました。常々社員には「お客様(お取引先)には正直に、一日一日の積み重ねが信用を生む」と伝えています。

－今回ご紹介の「ミルクジャムと茶こし付き宇治抹茶のセット」のご説明をお願いします。

米内　まず「ミルクジャム」ですが、京都はいろいろなお茶屋さんがあって、抹茶を扱ったスイーツに特化しているところもたくさんあります。私どもはその点では出遅れていて、何かしないといけないということで抹茶の商品を調べていくなかで、ほかにはなかったジャムをやってみようということになったんです。ただ、抹茶ジャムは熱を加えると鮮やかな緑色が退色していくんですね。だから、すごく難しかったのですが抹茶の一定の色を保てるようにして、北海道産の牛乳でミルクジャムを作ってもらいました。トーストに塗ったり、抹茶ラテを作ったり、いろいろ汎用性があるので、国内外で非常にお客様の支持をいただいているありがたい商品になっています。

同社監修の人気商品「ミルクジャム」は、濃厚な抹茶が香る「宇治抹茶」と、
香ばしい京都府産ほうじ茶使用の「京ほうじ茶」の2種類。
北海道産牛乳と砂糖を手作業で約2時間じっくり煮詰めたあとにお茶を加え、
熱でお茶の風味や色合いが損なわれないように見極めながら作られているという。
無添加・無着色で、やさしい甘味がお茶の豊かな風味を引き立てている。

まろやかで贅沢な味わいが好評の「ミルクジャム」。とろりとしたペーストで、パンやクラッカーに塗ったり、
デザートのソースやトッピングにしたり、牛乳や豆乳で割ってラテにしたりと、いろいろアレンジして使える。

－「茶こし付き宇治抹茶」についてはいかがですか。

米内　お抹茶って、どうしても湿度や乾燥したときの静電気などによってダマになるんです。それを解消しようということで、容器の上部に網とキャップをつけました。それで振りかけていただいたら、いつもサラサラの抹茶が出てくるという商品です。今は空前の抹茶ブームで、出荷調整させていただいているぐらい人気があります。

石臼挽きの宇治抹茶が手軽に楽しめる「茶こし付き宇治抹茶」（実用新案登録商品）。
中のキャップが茶こしになっており、細かい抹茶がいつもサラサラの状態で出せるというスグレモノ。
これを使えば抹茶の楽しみ方も広がりそう。国内だけでなく海外でも人気が高い商品で、日本にわざわざ買いに訪れる人もいるとか。

自宅で使うほか、お茶好きの方へのギフトにもおすすめのセット。
同社の女性スタッフが担当したというミルクジャムのラベルデザインもおしゃれ。

－ちきりやさんがお茶に関してこだわっている点は。

米内　日本の緑茶の生産量は昭和50年代と比べて3割以上減っていて、消費量も減少しています。

当社には修学旅行生がよく企業訪問に来られますが、そのとき「皆さんでお茶を淹れてみてください」と言っても、わからない人が増えており、ペットボトルが普及している中、リーフ茶は浸透しづらくなっています。お茶は淹れ方によって味が変わるので楽しい一面もあります。そういったところを講座やSNSなどを通じて発信し、緑茶のもつ魅力を伝えています。

－本日は貴重なお話をありがとうございました！

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞

米内政明（株式会社ちきりや 代表取締役社長）
1960年大阪府堺市生まれ。2009年、株式会社ちきりや社長就任。2021年、関西茶業株式会社社長兼任。祇園祭・鷹山の町内でもあることから、公益財団法人鷹山保存会の評議員も務め、地域への貢献活動にも取り組んでいる。

＜文／山本真由美　 MC／藤井ちあき　 画像協力／ちきりや＞