香り高く口溶けも抜群。そのおいしさに、和菓子の職人さんから一般のお客様まで、多くのファンがいる向井珍味堂の「京きな粉」。今回、編集長アッキ―こと坂口明子は、そんな「京きな粉」に注目。業務用のきな粉の取り扱いはなんと約60種類。株式会社向井珍味堂 代表取締役の髙見政暁氏と松村進一氏に、開発秘話を取材陣が伺いました。
笑顔になって健康になる。香り高く口溶け抜群なおいしい「京きな粉」を全国へ。
2024/07/03
株式会社向井珍味堂 代表取締役の髙見政暁氏
―御社は今年で77年目になります。
髙見 向井珍味堂は、1947年に創業しました。当時から主軸商品は、きな粉や香辛料、青のりです。創業時、きな粉は各家庭で作られるものでした。大豆を自分の家で煎って石臼で引く。それが普通だった時代に、業務用として製造・販売を始めました。香辛料に関しては、「これからの時代、業務用の香辛料は商売になる」と取り扱いをスタートしたと聞いています。
戦後の日本で家庭に普及していたきな粉。
向井珍味堂は業務用に開発・販売をしたルーツを持っている。
―経営を受け継ぐ中で大切にしていることは?
髙見 食べ物を扱っている会社なので、安心安全。それは基本中の基本です。皆様が口にするもの。シンプルで当たり前のことですが、従業員みんなで取り組んでいますし、一番大切なことだと思っています。また、きな粉などの原料は天然素材です。生産者さんの声や産地の状況を常に確認しながら製品作りを進めることも大事にしています。
取り扱う「きな粉」は60種類ほど。大豆の煎り方、
粉の細かさなどがそれぞれに違うそう。
―現在「京きな粉」は市販されています。
髙見 コロナ禍をきっかけに、「京きな粉」を当社の看板商品として一般販売するようになりました。長年、「京きな粉」は業務用として製造販売しております。
向井珍味堂は昔からプロの職人さんたちの要望に合わせて、きな粉を製造してきました。気づけば約60種類製造しており、その中でも「京きな粉」は牛乳やヨーグルトにあうとご家庭でも楽しんでもらえるのでは!?と商品化しました。
当社の「京きな粉」の特徴としては、香りが非常に高いこと。それから、砂糖を使わなくても十分に自然な甘みがあることです。
松村 「京きな粉」とは「もともと京都の和菓子に合うように深煎り焙煎できめ細かいきな粉」のことを言います。よく勘違いされるのですが、京都産の大豆を使う、京都の会社が作るというものではありません。
―特色を出すためのこだわりとは?
髙見 詳細は企業秘密なので言えないのですが、原料をブレンドして甘みを立たせるなど、様々な工夫をしています。
松村 社長が大豆を仕入れる際、大豆を見て、当社の「京きな粉」に合うかを見極めています。大豆も育つ環境や保管状態で風味や甘みが変わります。
乳製品との相性もぴったりな京きな粉。
ほんのりと甘いのでヨーグルトにかけてもおいしい。
―おすすめの食べ方は?
髙見 ひとつは、お味噌汁です。違和感があるかもしれませんが、お味噌も元は大豆。簡単に栄養素を足せますし、すごいコクが出ておいしいです。また、カレーの隠し味に、深みが増します。
それから、白米にかけるのもおいしいです。子どもの頃、おやつ代わりによく食べました。ご飯にかけるときのポイントはちょっと塩を入れることです。京きな粉に塩をちょっと合わせると甘みが出るので、よりおいしくなります。驚かれる方もいるのですが、おはぎをイメージしていただければ。ふりかけのようにかけていただくと食べやすいです。
また、近年、大豆が健康食品として注目されています。大豆を原料とするきな粉にもタンパク質やイソフラボンなどが含まれている。大豆イソフラボンは女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをするといわれています。こうした栄養分をストレートに取れるのがきな粉です。
腸内環境を整えたり、善玉菌を増殖させたりするとも言われているため、ヨーグルトに混ぜて食べていただく。バナナにかけていただく、牛乳に混ぜるなどもおすすめです。きな粉は植物性のタンパク質。毎日取り入れることで、健康な体づくりにつながると思います。
―「京きな粉」を食べるお客様の反応は?
松村 香り、味、口溶け。この3つは、今まで食べてきたきな粉と全く違うと言ってくださる方が多いです。
髙見 和菓子屋さんなどの声も同じで、香りと味の良さを褒めていただくことは多いです。うれしかったのは「向井さんのきな粉じゃないと、この味は出せない」と言ってくださること。市販も含めて、多くの皆様にご愛用・ご好評いただいているのは、ありがたい限りです。
―今後の目標や展望を教えてください。
松村 「きな粉と言えば向井珍味堂」と言っていただけるように、情報発信も含めた商品作りをしっかりやっていきたいと思います。
髙見 加えて、食べて「おいしい」という言葉が出る商品を作っていくこと。「おいしい」と言っている人は、自然と笑顔になっています。そういう笑顔を作れるような商品を引き続き作っていきたいです。当社の製品で「おいしい」笑顔で幸せになってもらい、健康にもなってもらえたらと思います。
まだまだ全国的に当社の製品の知名度は高くありません。でも商品の魅力が上がっていって指名買いをしていただけたらうれしいですし、そういう会社になっていきたいと思います。
―貴重なお話をありがとうございました。
「京きな粉」(110g)
価格:¥216(税込)
店名:向井珍味堂
電話:06-6791-7337(08:30~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.mukai-utc.co.jp/?pid=155465795
オンラインショップ:https://mukai-utc.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
髙見政暁(株式会社向井珍味堂 代表取締役)
1968年大阪府生まれ。大阪経済大学卒業。1998年に向井珍味堂に入社、製造部門できな粉の製造に従事する。原料購買部門を経て2015年取締役、2023年4月から同社代表取締役に就任。香辛料などの国産原材料の確保のため、産地作りに尽力中。
<文/青柳舞子 MC/伊藤マヤ 画像協力/向井珍味堂>