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360年の歴史ある老舗が作ったヒット作!進化する名古屋名物「ひとくち生ういろ」

2023/10/23

名古屋名物といえば、ういろうですが、その成り立ちなどはあまり知らない人も多いのでは?取材班は、名古屋で初めてういろうを販売した「餅文総本店」にお話をお伺いしてきました。昔ながらの製法を守りつつ、新しい味や形を追求して、今も貪欲にヒット商品を作り続ける老舗の姿に、人気の秘密を発見しました。

株式会社餅文総本店 副社長 石塚慎吾氏
株式会社餅文総本店 副社長 石塚慎吾氏

―餅文総本店は、現社長で16代目。名古屋でういろうを初めて販売したと言われる老舗ですね。

石塚 弊社の歴史としては、360年以上あります。先祖は、今の繁華街・栄地区錦のあたりで御用商人をしていました。尾張藩の初代藩主・徳川義直が1610年に名古屋城を作るときに、京都から陳元贇という知識人を招いたところから、名古屋でのういろうの歴史が始まります。この人は、尾張が文化を作るときの知恵袋として活躍し、医学とか武術、書道、焼き物なんかも伝えたのですが、その中の一つにお菓子がありました。我々の初代・水谷文蔵がその作り方を伝授され、2代目藩主・徳川光友に献上したのが、この商いの始まりだと言われています。
1659年から1965年(昭和40年)まで、水谷が商いをしていましたが、その後従兄弟に譲り、瑞穂区伝馬町、南区豊に場所を変え、今まで続いています。私の祖父母などは名古屋城に献上した時にういろうを乗せて運んだお駕籠などを見たことがあるらしいのですが、1945年(昭和20年)には、栄の町は空襲でほぼ全焼してしまったので、歴史的なものは何も残っていません。唯一、大正時代の看板だけが残っていて、本店に飾ってあります。

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現在も本店にある大正時代からの看板。当時活躍した書道家、石田泉城先生の書。

―ういろうといえば名古屋名物として有名ですが、実は名古屋発祥ではないとか?

石塚 650年も前に、中国の元明内乱があり、元の国の礼部員外郎職(薬を扱う職)だった陳宗敬が日本に逃げてきました。その陳宗敬が、日本に帰化した際、筑前博多に伝えた痰止めの秘薬「透頂香」のことをその役職名からニックネーム的に「ういろう」と呼ぶようになりました。噂を聞きつけた足利将軍から京都へ呼ばれ、宗敬の息子が足利将軍にういろう薬とその口直しのういろう餅を献上したと言われます。
そういうわけで、ういろうの発祥は、そもそもは中国からきて、博多、京都とも言われています。また、小田原の北条家にも陳宗敬の玄孫を通して伝わったため、小田原が最初だとされることもあります。

―名古屋名物になったわけというのは?

石塚 名古屋名物になったのは、青柳総本家さんのおかげと言いますか、東海道新幹線ができた時に、名古屋のういろうが車内販売で採用されたり、名古屋では有名なのですが「白、黒、抹茶、あがり、コーヒー、ゆず、さくら」っていうCMを流されたりして、名古屋がういろうの出荷量全国No1になったんです。私たちは、そんな中でも細々とやらせていただいていたのですが、名古屋でういろうを初めて販売した店ということでメディアに取り上げていただくことも増えました。ともかく、この青柳総本店さんのおかげで、今の名古屋のういろうがあるということかと思います。

―御社の「ういろ」のおいしさの秘密についても教えてください。

石塚 名古屋のういろうの製法はとてもシンプルで、材料は元々、黒糖と米粉のみでした。今は上白糖になり、白いういろうが一般的かと思います。特に、餅文総本店の「ういろ」は、手作りにこだわってきました。機械ではデリケートな味は出せません。
生地というのは、温度が命です。熱湯にお砂糖を入れて、温度を測ってそこにお米の粉とでんぷんを入れるのですが、この温度を間違えると、生地が失敗してしまうんです。その温度は、365日正解は違いまして、その季節、気温であったりとか湿度によって違います。夏と冬は全然違いますし、例えば、70℃が適正な温度だとしたときに、職人が今日は71℃かなとやった瞬間に、ガジガジで煮えたぎってしまって、もう生地にならないということもあれば、逆に69℃でやってしまうと、今度は固まらなかったりします。もう毎日真剣勝負で、米粉とでんぷんを入れてから15秒が勝負だと言われるぐらい、その15秒間にいかに早く正確に、ホイッパーで撹拌させるかが勝負です。年間通じて、それは当然失敗もあります。

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現在は、主に3名の職人がその経験で品質を担保。
石塚副社長も職人としても修行をした経験があり、現在も毎日の試食を欠かさない。

―日々の繊細な生地作りにかかっているのですね。一方で、新商品の開発も熱心にされています。

石塚 うちは「日本一ういろうの種類が多い」と言われたこともあって、これまで180〜200種類くらい作ってきたのではないでしょうか。叔父である15代目がほとんど趣味でやっていましたが、本当にありとあらゆる味を試してきました。健康ブームの時は、胚芽玄米とかモロヘイヤとか、イカ墨とかコンニャク、チーズカレーといった味も試しました。催事に新商品として出しては失敗に終わることがほとんどなのですが、それでも流行り物はどんどん挑戦していました。
そんな中で、「一口水ういろ」「一口栗ういろ」「一口春ういろ」の季節のシリーズや「わらびういろ」という一口ういろの巾着ものが大ヒットしました。その中でも「わらびういろ」は百貨店の方からアドバイスをいただいて開発したものになります。最初、種類を増やせば良いと思い、抹茶、ココア、ウグイス粉、紫芋、黒ゴマ等、いろんな味を試したのですが、うまく行かず困っていた時に、高島屋さんや名鉄百貨店のバイヤーさんから「あれもこれもやり過ぎ」「わらび餅は基本きな粉と黒蜜だよ」というご意見をいただき、大ヒットにつながりました。

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「わらびういろ」は、つるんとした食感の「ういろ」に、黒蜜ときな粉がベストマッチ。

―今回ご紹介いただいた、「ひとくち生ういろ」は10年に一度のヒット作だとか。

石塚 「わらびういろ」が2005年発売ですから、10年どころか20年来のヒットになります。これは、コロナ禍に開発し、2021年12月に発売した新商品ですが、巾着もの以来のヒット作で、今、名古屋駅でダントツに売れている商品になります。
ういろといえば、従来はさおものだったのですが、コンパクトに分けやすく食べやすくしました。最近はカステラでも小分けになったものが売れていると聞いたのがヒントになりました。パッケージには、大河ドラマに合わせて観光推進協議会が提供しているキャラクターを入れたところ、こちらも可愛いと好評です。

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包装を開けて、そのまま片手でいただける手軽さが大人気に。
一口サイズで量もちょうど良く、もちっとした生食感も楽しい。
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パッケージは、大河ドラマに合わせて、「いえやすくん」などのキャラクターを使用。

―美味しくいただくコツはありますか?

石塚 「ういろ」は召し上がる時も温度がやはり大切なんです。あまり冷やしすぎると固くなってしまいます。基本的には、常温で保存して、そのままいただいてください。ただ、気温が高い時には、少し生地が柔らかくなりすぎるので、30分~1時間くらい冷蔵庫に入れてから召し上がるとちょうどいいかと思います。

―今、力を入れていることはありますか?

石塚 やっぱり1人でも多くの方にういろうを召し上がっていただきたいですね。名古屋駅ではすごく売れるのですが、それはやっぱり他の地方の方が来て、お土産に買っていただけているわけです。逆に、栄などの地元の方が来る店は、名古屋駅に比べて5分の1ぐらいの売り上げしかないんです。地元の方々にはなかなかまだウケが良くないところがあって、今、市内に4店舗あるのですが、とにかく地元の人に名古屋名物ういろうを召し上がっていただこうとしています。催事をしたりだとか、試食販売をしたりというのを、積極的にやり続けてる最中です。試食販売については、名古屋で一番積極的にやっていたと言っても過言ではないと思います。先代がよく「最後に決めるのはお客さんだよ」と言っていて、いつもお客様の声を大事にするようにしています。

―今後の展望をお聞かせください。

石塚 やはり、伝統はしっかり守りながら、ういろう業界の先駆者であり続けるために、色々な商品に挑戦し続けたいと思っています。最近も期間限定ですが、セントレア空港限定の「いなりういろ」といった面白い商品を作って、お客様にとても喜んでいただきました。これからもいろんなことに挑戦していきたいですね。

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セントレア空港限定で販売した「いなりういろ」。
「ビールのおつまみにもなる」と好評を博している。

名古屋のういろう業界はみんな仲がいいのが自慢です。団結力があるので、業界全体を盛り上げていく力を持っています。どこが初代とかそういうことよりも、この文化を守っていくことが大事ですから。

―ういろうの歴史、味の秘密、これからの新しい展開も知ることができました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

ひとくち生ういろ

「ひとくち生ういろ(家康パッケージ)/ 5個入」
価格:¥540(税込)
店名:餅文総本店
電話:0120-039-516(平日8:00~16:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.mochibun.co.jp/SHOP/NHN-3.html
オンラインショップ:https://www.mochibun.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
石塚慎吾(株式会社餅文総本店 副社長)

1971年愛知県名古屋市生まれ。1993年より3年間繊維商社で勤め、1996年餅文総本店入社。ういろ製造部(5年)、出荷部(3年)、催事販売部(5年)、営業部(3年)、2009年取締役副社長就任。10年以上続けている、毎日の日課は10種類以上の「ういろ」の試食。創業364年の伝統を守りながら、世代にあった味を残す事が使命。

<撮影・文・尾崎真佐子 画像協力/株式会社餅文総本店>

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