今回、編集長アッキーが気になったのは、ウール専門メーカーのオンラインストア「CLASSIC WOOL FACTORY」。運営する三河紡毛株式会社・代表取締役の濱谷邦夫氏に、商品の魅力を取材陣がうかがいました。
まるで “履くセーター” 暖かくて肌触りが気持ちいい「ウール屋が作ったウィンターソックス」
2023/10/20
三河紡毛株式会社 代表取締役の濱谷邦夫氏
―創業の経緯を教えてください。
濱谷 1947年に祖父が創業し、私が3代目です。愛知県の一宮市を中心とした尾州と呼ばれる地域は、イギリス、イタリアと並んで世界の三大毛織物産地の一つです。近くに産地があったので、毛織物中心の糸を生産してまいりました。創業当時は羊毛が大変希少で高価だったため、合繊メーカーの仕事をメインにしていたと聞いております。その後、私の父である2代目がウールの仕入れ先や販売先の商社、テキスタイルメーカーなどユーザーを開拓し、ウールの比率がどんどん高くなっていきました。
触れた瞬間から驚くほどに気持ちがいい肌触りのウールパイルソックス。
―社長になられてご苦労された点はございますか。
濱谷 私はアパレルメーカーで営業をしていましたが、家業を継ぐために戻って、1987年に社長に就任しました。
その頃すでに服の海外生産比率が増加を続けていて、今では98.5%が輸入品という状態です。また、ファストファッションの台頭などによって服の価格が安くなり、素材メーカーの経営も大変難しくなった時期でした。そういった中でも、ウールの専門メーカーとして研究を重ね、差別化できる商品を提供してきました。世界中には約3,000種類もの羊が生息しており、細くて柔らかいものから太く強靭なものまで様々な毛質のタイプがあります。企画ごとに最適な羊毛原料を選定し、ご要望に沿った品質のウール糸を作れるのが当社の強みです。
―ウールの魅力はどういったところにございますか。
濱谷 ウールできちんと作れば非常に製品寿命が長いので、昔の洋服でも残っているものはウール素材のものが多いんです。スコットランドでは昔、1着のツイードジャケットが親から子、子から孫へと受け継がれていたそうです。また、ウールはバクテリアが分解して土にかえる生分解の特性があり、地球環境にも優しいサスティナブルな素材でもあります。
―ヴィンテージ・ウールの再現なども行っていらっしゃいます。
濱谷 お客様がアメリカやヨーロッパで50年前、60年前の洋服を買ってこられて、それを再現する際、その時代に流通していただろうウールを予想したり、色目をわざと黄ばませて経年感を出したりして再現しています。もっとも楽しい仕事のひとつです。
―今回ご紹介する「ウール屋が作ったウィンターソックス」の開発背景を教えてください。
濱谷 弊社で紡績した糸で作ったセーターを着たら、すごく柔らかくて、ふんわりして、軽くて暖かかったという言葉をいただいたときに、「これで靴下を作ったら、すごく気持ちがいいかも」とひらめいたのがスタートでした。ですから“履くセーターを作ろう”という気持ちで企画を進めました。
内側が総パイルで、ウールのクッション性と保温性をさらにアップ。
―商品の特徴を教えてください。
濱谷 上のほうだけパイル生地のソックスはよくありますが、全部パイル生地にしたのが特徴です。とくに接地面のところにパイル生地があると非常にクッションが良くなり、真冬のフローリングの冷たさなどをやわらげてくれます。また、肌に当たる面積が少なく、蒸れにくいというメリットもあります。ウールは湿気を吸って、それをはきだすという特性があるからです。昔から登山用の靴下はウールが多いんですが、理にかなっています。
ただ、「ウール屋が作ったウィンターソックス」は太い羊毛を使った登山用ソックスとは違って、極めて細い羊毛を使っています。オーストラリアのエクストラファインメリノウールをふんだんに使い、ものすごく柔らかいです。カシミヤと同じくらい細くて、履いていただくと、ソックスとは思えない柔らかさに驚かれると思います。ただ、柔らかいだけだと、潰れやすくなるので、コシのあるウールもブレンドしています。
ミュール精紡機で糸を生産していますが、低速でゆっくり引くのが特徴です。膨らみ感のある丸い糸形状やソフトな風合いを出すことができ、さまざまな原料のブレンドもできるので、オリジナル品質の素材開発に適しています。
―ソックスの色は4色ですね。
濱谷 オレンジとかビビットな色が欲しいといったご意見もいただきますが、優しいナチュラルなイメージを伝えたいので、ナチュラル、ベージュ、グレー、ブラウンの4色になっています。
最高級ウール「スーパーエクストラファインメリノ」を使用。
―どういったときに履いていただきたいですか。
濱谷 「気持ちの良い柔らかさ」に特化しているため、決して強い靴下ではありません。疲れたとき、今日はゆっくりしたいというとき、お休み前などに履いていただければと思います。足が冷えるというデスクワークの女性にも喜ばれています。
ふわっと包み込まれるような心地良さ。
フローリングや廊下などの冷たさからも足をしっかり守ってくれる。
―開発する中で大変だった点はございますか。
濱谷 編みやすくするには、途中で切れないよう、糸を強くする必要があります。でもそうすると、柔らかさが少なくなります。甘い引き方の糸のほうが肌には気持ちがいいので、そのあたりの折り合いを探すのが難しかったです。
―購入されたお客様の反響はいかがでしょうか。
濱谷 お母様へのプレゼントだったり、娘さんと親子で履いていただいたり、予想以上に好評いただいております。これを履いて寝ても蒸れず、お布団の中で脱がずに朝までずっと履いていたというお声もありました。
ルームソックスとしての使用がオススメ。
―洗濯はどのようにすればいいでしょうか。
濱谷 毛玉ができるのはしょうがないと思っていただいて本来は手洗いがベストです。靴下を裏返してネットに入れ、水でゆるりゆるりと洗っていただくと傷みづらくなります。洗濯機でも手洗いモードなどを使ってください。裏側にするのは、足の皮脂などの汚れが全部内側に付くため、それを落としたいからです。
―最後に今後の展望を教えてください。
濱谷 ウールをもっと生活の一部として使っていただけるよう、生活雑貨などのアイテムが作れないか探してます。ウールの新しい魅力をどんどん伝えていきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました。
「ウール屋が作ったウィンターソックス」
サイズ:22.5~24.5cm
カラー:ナチュラル、ベージュ、グレー、ブラウン
価格:¥2,700(税込)
店名:CLASSIC WOOL FACTORY
電話:0564₋51₋5527(8:30~17:30)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.mikawabomo-ecstore.com/items/69704597
オンラインショップ:https://www.mikawabomo-ecstore.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
濱谷邦夫(三河紡毛株式会社 代表取締役)
1958年愛知県生まれ。学習院大学卒業後、1981年株式会社ワールド入社。1987年三河紡毛株式会社入社。1999年代表取締役就任。
<文/垣内栄 MC/石井みなみ 画像協力/三河紡毛>