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一流レストランも認める味「海の生ハム」とマグロを余すところなく味わう「鮪そぼろ煮」

2022/07/22

延縄漁法による生マグロの水揚げ高日本一を誇る、和歌山県の那智勝浦町。マグロにやさしいとされる延縄漁法にこだわり、天然のマグロだけを扱う仲卸の会社があります。マグロへの愛情と目利きに自信があるからこそ生み出した加工品が、プロの料理人や美食家に愛される味へと育ちました。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社ヤマサ𦚰口水産の代表取締役の𦚰口光太郎氏に、取材陣が伺いました。

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株式会社ヤマサ𦚰口水産 代表取締役の𦚰口光太郎氏

―全国各地で水揚げされるマグロですが、那智勝浦で揚がるマグロの特徴を教えてください。

𦚰口 まず種類でいえば、本マグロと呼ばれるクロマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロ、カジキなどなどがよく獲れます。そのどれも、品質が良いことで知られています。理由はいくつかあって、まず生育環境の良さがあるでしょうね。漁師たちが「マグロが水を飲みに来る」なんて言いますが、良質な軟水で知られる熊野の水が黒潮とぶつかり、良いプランクトンが湧く。それをエサに育つおいしい小魚をマグロが狙ってやってくるわけなんです。

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那智勝浦の美しい水を飲みに来るようにマグロが集まる。

―きれいな海に育つマグロがおいしくないはずがないですね!

𦚰口 漁法や処理方法にも大きく左右されます。勝浦はもっぱら延縄(はえなわ)漁法。1本の幹縄(みきなわ)に針のついた枝縄(えだなわ)を一定間隔で取り付けた漁具で釣ります。魚群を一網打尽にするのと違って1本1本釣り上げるので、マグロの身体を傷つけません。生きたまま上がったマグロを、その場で漁師が活け締め。内臓やエラをとり、血抜きを行う活け締め技術が、マグロの品質を大きく左右します。そして、氷水で冷やして港まで運ぶのです。

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延縄漁にこだわり、丁寧に活け締めして生のまま港へ。

―だから勝浦港は、生マグロの水揚げ量が日本一なのですね。

𦚰口 他の地域では、マグロを船上で冷凍することが多いようですが、冷凍過程で細胞が破壊され、解凍するとドリップという赤い汁が出たり水っぽくなったりします。魚は、氷水で冷やす温度……だいたい5℃くらいで保存するのが1番いい。勝浦に揚がるのは、1度も冷凍されることのない生マグロです。モチモチとした食感とマグロ本来の旨味を存分に感じられるはずですよ。

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生だからこそのモチモチ食感とうま味を楽しめる赤身。

―そんな那智勝浦で、マグロ一筋120余年のヤマサ𦚰口水産さん。マグロへの想いやこだわりを教えてください。

𦚰口 1897年の創業以来、人による目利きをひたすらに守り、見極めや加工の技術を代々受け継いできました。一口にマグロといっても、大きさも種類も多様で、1匹ごとに個性も違う。鮮度や身質、色、脂質、締め方などから、1本1本の価値を人の目で見極めていきます。その後の加工は、スピードが命。マグロは人間が触れるほど劣化していきますからね。早く美しく包丁を入れて最適な保存状態に持っていくために、職人は常に技術向上に努めています。

―マグロ愛にあふれ、オリジナルブランドも作られたとか。

𦚰口 海底深くを泳ぐ魚を「瀬つき」とか「島周り」とか呼ぶのですが、そのマグロが特においしいのです。粘り気のあるもっちりとした食感と濃厚なうま味がたまらない。弊社の目利きで厳しい基準をクリアしたマグロを「もち鮪」というブランドで展開しています。

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雑味も臭みもまったくないため、臭み消しのワサビは不要。
炊きたてのごはんにもち鮪をたっぷり乗せて一味と醤油をひとふりした最高の食事。

―お刺身でいただくイメージの強いマグロですが、生ハム誕生にはどのようなきっかけがあったのですか?

𦚰口 天然マグロですから、漁獲量を調整できません。非常に品質の良いマグロが需要以上に獲れてしまうこともあって、マグロに申し訳ない思いでした。なんとかおいしいマグロが日持ちするよう、ハムにしてみようと思い立ったのです。しかしまあ簡単にうまくはいかず、試行錯誤の繰り返し。失敗作の中に「これ、生ハムみたいじゃない?」という食感のものがあり、それならいっそのこと、と、生ハムづくりに切り替えました。

―発売当初と今とでは、原料となる魚の種類が違うそうですね。

𦚰口 肉質は粘り気があって飴色、鮮度と質の良い魚が生ハムに向きます。発売当時はビンチョウマグロを使っていましたが、その後も食材や製法の点で改良を続けながら最上を探り、クロカワカジキが最適と判断しました。現在は那智勝浦で水揚げされた上質なクロカワカジキを原料に、副材料は塩と昆布だけ。燻製と熟成に手間暇かけて仕上げています。

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透き通ってつややかな飴色をした「海の生ハム」。

―国内大手航空会社ファーストクラスの機内食や一流レストランでも使われているとか。

𦚰口 おかげさまで、和歌山県の推奨食品として最優秀賞を頂いたこともあります。開発や改良にはプロの料理人の意見も聞き、何度も何度も試してようやく納得できる自信作になりました。世界に名をとどろかせるフランス人シェフがほめてくださるなど、多くの方に評価いただき、うれしい限りです。

―とろけるような食感で、やさしい塩味と豊かな燻香、奥行きのある味わいですね。

𦚰口 おつまみとしてこれだけを食べるには少し薄味だと思います。レストランでお使いいただくことが多いので、アレンジしやすい塩加減にしてあります。その分、原料である魚の品質は重要。那智勝浦のカジキのおいしさがダイレクトに伝わるのではないでしょうか。

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酢飯を巻いたり、オリーブオイルをかけて前菜風にしたり、サラダ仕立てにしたりとアレンジは無限。

―特におすすめや珍しい食べ方を教えてください。

𦚰口 解凍後すぐに食べるのではなく、キッチンペーパーなどにはさんで半日くらいおいて水分を抜くと、うま味がさらに凝縮されます。食べ方として1番のおすすめは、やはりサラダでしょうか。オニオンドレッシングが合いますよ。クセの強い食材と合わせても意外と存在感があるので、ブルーチーズと一緒にクラッカーに乗せ、ワインのお供にもどうぞ。

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サラダにしてもおつまみにしても、辛口の白ワインやキリリと冷えたシャンパンが進む味。

―一方の鮪そぼろ煮は白いご飯によく合う和風の味付けですね。

𦚰口 日本では「マグロは刺身」というイメージが強くて、刺身で食べられない部分が捨てられてしまうことがあります。特に筋の多い部位はゼラチン質で、煮込むとゼラチンの部分がとろけて非常においしい。宝の山が捨てられるのは、魚がかわいそうで見ていられませんでした。地元で「桂城」という魚料理店を営む従兄弟に監修してもらい、甘辛いしょうゆ味のそぼろ煮に仕立てました。

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子どもも好きな甘じょっぱい味付けで、ご飯によく合う。

―ビールにも日本酒にも合いそうですね。

𦚰口 おつまみとしてはもちろんですが、ごはんに乗せてお湯を注ぎ、締めのお茶漬けのようにするのもいいですよ。マグロはお刺身だけじゃないってことを知っていただけたらうれしいですね。

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そぼろ丼にして途中でお湯を注ぐと2度楽しめる。

―マグロへのこだわりと愛情をたっぷり感じるお話でした。未来の展望をお聞かせください。

𦚰口 マグロに育てられて今の私や会社があります。マグロのおいしさ、素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいのはもちろんですが、やみくもにマグロを獲って売るのではありません。マグロと、取り巻く環境を守ることがマグロへの恩返し。持続可能なマグロ漁業推進プロジェクトや、マグロの価値を一層高める技術・商品開発などに、今後も取り組んでいきたいと思っています。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

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「海の生ハム」
価格:50g×3パックセット¥1,620/5パックセット¥2,700/10パックセット¥5,400(全て税込)
店名:鮪通販の𦚰口水産
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://maguro-yamasa.com/products/#ham
オンラインショップ:https://www.nanki-maguro.com/

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「鮪そぼろ煮」(100g)
価格:¥550(税込)
店名:鮪通販の𦚰口水産
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.nanki-maguro.com/products/detail.php?product_id=122
オンラインショップ:https://www.nanki-maguro.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
𦚰口光太郎氏(株式会社ヤマサ𦚰口水産 代表取締役)

1967年和歌山県那智勝浦町生まれ。高校時代はレスリングの県代表選手として活躍。大学を卒業後は大阪の企業で3年間修業を積み、1991年に那智勝浦へ戻り、父である3代目𦚰口睖也氏から目利きを学ぶ。1995年株式会社ヤマサ𦚰口水産 法人設立、2004年に代表取締役に就任。
2005年和歌山県企業ソムリエ委員会認定、2009年経済産業省「元気なモノ作り中小企業300社」に選定、2013年、国内企業でいち早く「太平洋クロマグロ保全の誓い」に署名。2016年勝浦史上最大サイズ416kgの本マグロを落札。

<文・撮影/植松由紀子 画像協力/ヤマサ𦚰口水産>

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