友禅和紙の彩りと伝統的な「和綴じ」が美しい手のひらサイズの「和綴じノート」

2026/04/08

指先に触れる紙の柔らかな質感や、一筆ごとに心が落ち着いていく感覚。デジタルな日々に追われる今だからこそ、 手書きという時間を大切にしたいもの。今回、編集長のアッキーが注目したのは、伝統技法が光る手のひらサイズの和綴じノート「和綴じノート(ミニ)」です。華やかな友禅和紙を用いた表紙に、職人の手仕事を感じさせる美しい綴じ糸。凛とした佇まいの中に、手仕事ならではの温かみをあわせ持つ「特別な一冊」となっています。

その背景には、ペーパーレス化という時代の波に立ち向かい、「紙の可能性を信じたい」とゼロから挑んだ熱い挑戦がありました。取材スタッフが、大阪府に本社を構える、株式会社栄紙業の代表取締役社長、野元 義光氏にお話を伺いました。

株式会社栄紙業 代表取締役社長の野元 義光氏

―まずは、御社の歩みと紙への関わりについて教えてください。

野元 弊社は1980年に私の父が東大阪で創業した、紙の卸売を専門とする会社です。メーカーから仕入れた紙を印刷会社さんへとお届けする「紙の目利き」として、40年以上にわたり地域のモノづくりを支えてきました。卸売業として長年、膨大な種類の紙を扱ってきた経験は私たちの大きな財産なのです。用途に合わせて「どの紙が最適か」を瞬時に判断できるプロの視点は、現在の自社製品作りにおける揺るぎない土台となっています。単に紙を運ぶだけでなく、紙が持つ無限の可能性を誰よりも信じている、そんな自負がありますね。

卸売として数千種類の紙を扱ってきた経験が、製品作りの土台となっている。
紙でできたギフトボックスやクシなど、様々な自社製品を開発している。

―社長ご自身は、どのような道のりを経て家業を継がれたのでしょうか?

野元 20歳の時に父の後を継ぐ決意をしたのですが、父からは「大阪にいたら甘えが出るから、外の世界を見てこい」と言われました。その言葉を受け、東京の仕入先で3年半の修業生活を送ることになったのです。右も左も分からない都会で、一人暮らしも働くことも初めて。毎日を過ごすのに精一杯でしたが、自ら厳しい環境に身を置いたことで商売に対する誠実な姿勢が培われました。当初10年間は修業するつもりで、仕事が楽しくなってきた頃だったのですが、父の体調の関係で急遽大阪に戻ることになりました。2018年に社長に就任。卸売という業態自体が大きな過渡期にある中で、会社の舵取りを担うことへの強い使命感を感じたことを覚えています。

―自社での製品開発を始められたきっかけは何だったのですか。

野元 ペーパーレス化が進み、紙の需要が激減していく現状を目の当たりにして、「このままではいけない」という強い危機感を抱いたのがきっかけです。実は、国内の紙の出荷量は2009年のピーク時から6割も減少しているのですよ。卸売だけでなく、自分たちの手で紙の新しい価値を作りたい。そう考えて3年前に脱プラスチックを掲げるブランド「PLA FREE(プラフリー)」を設立しました。実は、機械の扱いも製本も全くの未経験からのスタートだったのです。YouTubeやSNSを参考に独学で技術を習得しましたが、専門家ではないからこそ、既存の枠にとらわれない自由な発想で「自分たちが本当にいいと思えるもの」を追求できました。試行錯誤の末、伝統的な「和綴じ」の美しさに辿り着き、一冊一冊に命を吹き込む自社一貫生産の体制を構築したのです。

―今回ご紹介する「和綴じノート(ミニ)」には、どのようなこだわりが詰まっているのでしょうか。

野元 まず表紙には、手に取るたびに心が華やぐような、色鮮やかで風合い豊かな「友禅和紙」を厳選しています。中紙も、万年筆やボールペンで書いても裏写りしにくく、滑らかな書き心地の高級紙を採用しました。そして最大の特徴は、ノートを綴じる「糸」です。同じ東大阪にある東大阪繊維研究所さんが作る高品質な綿糸を使用しており、地元の技術が凝縮されたコラボレーションとなっています。機械任せにせず、人の手で丁寧に綴じることで、独特の強度と、手仕事ならではの味わいが生まれるのです。手のひらに収まるミニサイズ(縦12.8cm×横10.2cm)を追求したのはふとした瞬間に寄り添える存在でありたいと考えたからです。伝統的な和綴じを、現代のライフスタイルに馴染むモダンなデザインへと昇華させることを意識しています。

表紙には華やかな友禅和紙を使用。
ろう引き加工した特注糸で、一冊ずつ職人の手で綴じられている。
カラーは4種類(左から橙、青、赤、黒)。

―日常の中で、このノートをどのように使ってほしいと考えていますか。

野元 お気に入りのカフェでコーヒーを飲みながら、ふと思いついたアイデアを書き留める、自分自身の内面と向き合う時間に使っていただきたいですね。 また、寝る前のひとときにスマホのメモを閉じて、あえて手書きで一日の感謝や小さな幸せを綴る。そんな心穏やかな習慣にもぴったりです。コンパクトなので、カバンやポケットに入れて持ち歩き、日常のゆったりとした時間を楽しむためのツールにしてほしいと思います。美しい和紙の彩りは選ぶ楽しさもありますから、大切な方へのちょっとしたギフトとしても喜んでいただけるはずですよ。

―業界誌への掲載や、地域の方々からの反響も大きいと伺いました。

野元 ありがたいことに、デザイン業界で権威のある「デザインのひきだし」という雑誌で、注目の紙加工企業として大きく紹介していただきました。また、東大阪市の優れた製品に贈られる「東大阪ブランド」にも認定され、大阪万博への出展も果たすことができました。何より嬉しいのは、工場見学に訪れた地域の子どもたちが、私たちの働く姿を見て「将来ここで働きたい」と目を輝かせてくれたことです。紙のプロとして、次の世代に夢を与えられる存在になれたのだと、大きなやりがいを感じました。

―今後の展望をお聞かせください。

 卸売から製造業への大胆な変革を推し進め、将来的に製造事業の売上を全体9割にまで高めることを目標にしています。現在は地元の釘メーカーと協力して「紙のトレイ」を開発するなど、東大阪の異業種ネットワークを活かした新しい挑戦を次々と展開しているところです。業種の壁を超えた繋がりが、自分たちだけでは思いつかない「紙の新しい居場所」を見つけ出すきっかけになっています。紙に触れる機会が減っている今の子どもたちに、ワークショップなどを通じて「紙の温もり」や「書く楽しさ」を伝えていく文化継承の活動も大切にしていきたいですね。紙には無限の可能性がある。そう信じて、日常をもっと豊かにする製品を東大阪から世界へ発信し続けたいと考えています。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「和綴じノート(ミニ)」
価格:¥1,980(税込)
店名:plafree
電話:06-6788-4635(8:30~17:30※土日祝を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://plafree.theshop.jp/items/112792316
オンラインショップ:https://plafree.theshop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

野元 義光(株式会社栄紙業 代表取締役社長)
1980年大阪府生まれ。20歳で家業を継ぐことを決意し、東京の紙代理店で3年半の修業を積む。2018年、父の病気を機に代表取締役に就任。ペーパーレス化による業界の危機に対し、自社加工ブランド「PLA FREE」を設立。独学で製本技術を習得し、東大阪の異業種連携や子ども向けワークショップなど、紙の文化を継承していきたいと考えています。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/栄紙業>

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