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頑張った一日の終わりに。ヒノキの香りとメッセージを贈る、ご褒美バスタイム「マスソルト」

2025/12/05

今回、編集長のアッキーが注目したのは、毎日慌ただしく過ぎていく中で、一日の終わりに心から「ほっと」できる入浴剤。岐阜県大垣市で70年以上にわたり枡(ます)を作り続ける、枡専門メーカーの「マスソルト」です。封を開けた瞬間に広がる国産ヒノキの清々しい香りと、湯船で出合う温かなメッセージ。その背景には、一度は家業を離れた社長が、危機に直面しながらも「枡」の新たな可能性を信じて起こした、柔軟な変革の物語がありました。取材スタッフが、有限会社大橋量器 代表取締役の大橋博行氏にお話を伺いました。

有限会社大橋量器 代表取締役の大橋博行氏

有限会社大橋量器 代表取締役の大橋博行氏

―まず、御社について教えてください。

大橋 1950年に祖母が創業しました。私が幼い頃は物差しや身長計といった長さを測るものも作っていたようですが、メインの事業は一貫して「枡作り」でした。父が会社を継いでからも、枡を作る姿をずっと見て育ちました。

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かつての主力商品だった祝杯用の枡。
「枡=お酒」のイメージを転換すべく開設した
直営店「枡工房枡屋」が、変革の起点となった。

社長ご自身は、最初から家業を継ごうと思われていたのですか?

大橋 いえ、全くそんなことはありませんでした。都会に憧れて東京の大学へ行き、そのまま東京で就職したかったんです。IBMに就職したのですが、希望の東京勤務にはならず、名古屋勤務になってしまいました。予期せず、実家の大垣から通える距離に戻ってきてしまったんです。その後、結婚のタイミングで父から会社を継がないかと言われまして。長男だからいつかは、という思いは持っており、家業に戻ることを決意。1993年に入社しました。

華やかなITの世界から家業に戻られて、いかがでしたか?

大橋 それが、戻ってみて驚きました。いざ入社してみると、売上が以前の半分程度まで落ち込んでいたのです。せっかく将来性のあるコンピューターメーカーを辞めて戻ってきたのに、この先大丈夫だろうかと、強烈な危機感を覚えましたね。

その危機感が、変革の原動力になったのですね。

大橋 まさにそこからです。営業をやっていた経験もあったので、まずは売上を戻そうと全国の酒造メーカーさんを営業して回りました。当時一番の用途だったお祝いの席の「祝杯」用として使ってもらおうと考えたのです。おかげで売上は一時的に回復したのですが、またすぐに下がってきてしまいました。お祝いの形の多様化や飲酒運転の厳罰化などで、日本酒で乾杯するシーン自体が減ってきているためです。「このまま日本酒業界だけに頼っていてはだめだ、お酒以外の、生活の中で使える新しい枡を考えなければいけない」と強く思いました。

今では自らを「枡ラブな人間」と称しているくらい、枡のことで頭がいっぱいです。どうすればこの伝統ある枡を、現代の人にも「いいね」と思ってもらえるか、そればかり考えています。

「枡=お酒」という固定観念を破る新しいアイデアは、どのようにして生まれたのですか?

大橋 大きな転機は、数年間参加していた「名古屋デザインウィーク」というイベントでした。これは、芸術系や美術系の大学の学生さんたち、いわば若きデザイナーの卵たちとチームを組んで、枡の新しいアイデアを発表するという取り組みです。私たち伝統工芸の人間だけでは思いつかないような、柔軟な発想を求めていました。

―そこで「マスソルト」の原型が生まれたのですね。

大橋 はい。私のブースに2つの学生チームがついてくれまして、1つのチームから「塩を入れて、いわゆるバスグッズにしたい」という案が、もう1つのチームからは「枡の底にメッセージを忍ばせたい(当時はおみくじの案)」というアイデアが出たんです。そこで、その2チームのアイデアをミックスすることにしました。お風呂でソルトが溶けたら、底からメッセージが出てくる、と。さらにアイデアを練って、「おみくじ」のような運試しよりも、家族や友人からもらったら嬉しい「元気が出る言葉」のほうがいいね、という話になりました。伝統工芸の「枡」と、学生たちの若い感性が出会ったことで、「お風呂で使う、メッセージ付きの枡」というユニークな化学反応が起きた瞬間でした。

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清々しい国産ヒノキの枡に、香りの良いハーブソルトが詰まる。
ソルトが溶けきると、底から「おつかれさま」
「ありがとう」「あなたらしく」といった温かいメッセージが現れる。

改めて、「マスソルト」のこだわりを教えてください。

大橋 この商品の最大の価値は、単なる入浴剤という「モノ」ではなく、五感すべてで楽しむ「リラックス体験」をデザインしたことだと考えています。まず、枡メーカーだからこそできる、高品質な「国産ヒノキ」の枡。封を開けた瞬間、そして湯船に沈めた瞬間に、ヒノキの清々しい香りが浴室いっぱいに広がります。これが「嗅覚」への第一のご馳走です。

次に、ソルトは「オーストラリア産海塩」と、ヒノキと相性の良い6種類(カモミール、ローズ、ラベンダーなど)のハーブをブレンドしました。ヒノキの香りとハーブの香りが重なり合い、より深いリラックスを誘います。

そしてソルトが溶けきると、「視覚」へのサプライズとして、枡の底から「おつかれさま」や「ありがとう」といった温かいメッセージが現れる。香りと視覚の両方から、心身ともに「ほっと」してほしいという思いを込めました。

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「マスソルト」はローズ、カモミール、
ラベンダー、さくら、ゆず、ひのきの全6種類。
底のメッセージは香りごとに3種類ずつ。

おすすめの楽しみ方を教えていただけますか?

大橋 ぜひ、頑張った一日の終わりに、湯船で枡をそっと沈めてみてください。ヒノキとハーブの豊かな香りに包まれながら、ゆっくりと現れるメッセージを眺める、そんなご褒美時間になればうれしいです。使用後の枡は、デスクや洗面台の「小物入れ」として活躍します。また、ラッピングに使われている「かんなくず」も、実は枡を作る工程で出たもの。これも芳香剤や、ネットなどに入れて入浴剤としてお使いいただけます。

―お客様からはどのようなお声が届いていますか?ギフトとしても人気だそうですね。

大橋 はい、「結婚したお友達へのプレゼントに喜ばれた」とか、「プチギフトとして最適」というお声を多くいただきます。ウエディングシーンで選んでいただけているようで、雑誌の『ゼクシィ』にも掲載されました。「枡」が持つ伝統的な「お祝い」のイメージと、「メッセージ」という現代的なギフト要素がうまく融合したのかもしれません。大切な方への贈り物としてご活用いただいています。

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枡を削る際に出る「かんなくず」を緩衝材に使ったギフトラッピング。
使用後の枡は、デスクや洗面台の小物入れとしても活躍する。

最後に、これからの展望についてお聞かせいただけますか?

大橋 会社をむやみに大きくしたいわけではないんです。それよりも、世界中の人々に「枡っていいね」「かっこいいものだね」と感じてもらえる、そんな世界観を作りたい。その実現のためには、結果として会社も少しずつ大きくなっていく必要はあると思っています。

今は特に海外での挑戦に力を入れていて、「海外で枡がある風景」を作りたいんです。近々カタールへ行って日本人学校で枡作りの体験会を行いますし、2026年にはフランスの展示会にも出展します。

こうした活動の根底にあるのは、私の「枡ラブ」な思いですが、昔は私が危機感から必死にアイデアを出していたのに対し、今は、社員から新しいアイデアがどんどん出てきます。

年に1回、社員全員からアイデアを公募し、若手の営業が「これなら売れそうだ」「作れそうだ」と企画を練ってくれる。他にも「ブレストミーティング」と呼んでいる会議を月1回ほど開いて、みんなでアイデアを出し合ってくれています。私の思いが伝わって、組織全体で新しい枡の未来を創る文化が育ってくれているなら、こんなにうれしいことはないですね。

―貴重なお話をありがとうございました。

マスソルト

「マスソルト」(全6種、60g)
価格:¥880(税込)
店名:枡工房枡屋
電話:0584-78-8333(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:オンラインショップでのご注文は365日24時間受付中
商品URL:https://www.masuza.co.jp/SHOP/z1-5.html
オンラインショップ:https://www.masuza.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

大橋博行(有限会社大橋量器 代表取締役)
1964年岐阜県生まれ。1987年IT企業に入社し6年間営業を務めた後、1993年に家業である枡製作会社大橋量器に入社。自社の売上減に全国営業を展開するも、枡の需要減少に直面し新商品開発と新販路開拓、アンテナショップをオープンするなどして枡需要回復に努める。地場産業による地域活性化を図る為「ます」生産者実行委員会の委員長を担い枡の認知度向上に注力している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/大橋量器>

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