初めてでも編みやすい。京都の老舗の定番糸でつくる「グラニーモチーフバッグ」

2025/11/26

SNSで若い世代にも手編みが注目されています!今回、編集長のアッキーが注目したのは、モチーフを編んでつなぎ合わせると、かわいいバッグが出来上がる手編みキット「グラニーモチーフバッグ」。このキットには、製作会社の歴史を象徴する「エコアンダリヤ」と、現CEOの革新的なこだわりが詰まった「アメリー」という、2つの定番糸が使われています。その背景には、創業者の「平和への願い」と、それを受け継いだ孫娘である現CEOの「ものづくりへの情熱」という、温かい物語がありました。取材スタッフが、京都府に本社を構える、ハマナカ株式会社の代表取締役CEO、濱中知子氏にお話を伺いました。

ハマナカ株式会社 代表取締役CEOの濱中 知子氏

― まずは、会社のルーツや創業時のお話をお聞かせいただけますか。

濱中 弊社は1940年(昭和15年)に、祖父が京都で創業しました。祖父の出身は小豆島で、幼い頃は家が貧しかったこともあり、「将来は立派な蔵がある家に住みたい」との思いで起業したと聞いています。また、戦争の経験者でもあったため、「手芸が楽しめるような、ずっと平和な世の中が続いてほしい」という切実な願いを持っていました。その思いは、小豆島の花であり「平和」を意味するオリーブをあしらった会社のマークにも込められています。「手芸を通じて創造する喜びを一人でも多くの方々に提供し、社会貢献する」という企業理念の根底にも、祖父の「平和への願い」が息づいています。

1940年の創業時から変わらぬ「平和への願い」。
その思いはオリーブを象徴したロゴとなり、現在のハマナカへと脈々と受け継がれている。

― 濱中CEOご自身は、創業者の理念をどのように受け継いでこられたのでしょうか。

濱中 私は創業者の孫として育ちました。幼い頃、我が家では一家団らんの時間である食後に、父(2代目)から考え方や会社の理念について聞く時間がありました。そのため、父の話を聞く中で、自然と心に刻まれてきた感覚です。私自身、もともとものづくりや創作活動が大好きでしたので、大阪芸術大学の大学院まで進みました。小さい頃から祖父や父の考えを聞いてきた自分だからこそ継げる、という思いがあり、2005年に入社しました。

― 今回ご紹介いただく「グラニーモチーフバッグ」は、そうした会社の歴史とCEOの思いが詰まった商品なんですね。

濱中 はい。このキットは、「グラニースクエア」という、モチーフ編みでは一番基本的で、世界中の方に伝わる編み方で作るバッグです。仕上がりは、底の直径が約15.5cm、入れ口の幅が約25cm、深さが約17.5cmになります。お財布やスマートフォンなどの小物が入る、ちょっとしたお出かけにぴったりのサイズ感です。

財布やスマートフォンが収まる、ちょっとしたお出かけに最適なサイズ感。
忙しい毎日にも、自分で作ったものを持つ楽しみを添える。

最大の特徴は、使っている2種類の糸にあります。ひとつは、祖父(創業者)の時代からのロングセラーである「エコアンダリヤ」。もうひとつは、私が「自分の時代の定番の糸を作りたい」という思いで開発した「アメリー」です。まさに「おじいちゃんと私のコラボ」みたいな商品だと思っており、ハマナカの歴史と今を編み上げていただくようなキットになっています。

― 2つの糸、それぞれの「こだわり」について、詳しく教えていただけますか。

濱中  「エコアンダリヤ」は、ラフィア(ヤシ科の植物の葉から採れる天然繊維)に似せて作られたレーヨンの繊維で、祖父の代からの定番商品です。祖父が「これや」と惚れ込んで扱いを始めたのですが、当初は全く売れなかったそうです。売り場でお客様を観察する中で「お客様はこれで何を作ればいいか分からへんのやな」と気づき、帽子などの見本作品を作って店に置くようにしました。今では当たり前の「見本を置いて物を売る」という手法は、実は祖父が始めたことなんです。

一方の「アメリー」は、私が作った次世代の定番商品です。ウールとアクリルのブレンドで、一番のこだわりは色合いです。糸になってから染めるのではなく、糸になる前の「綿の状態」で、2色から最大5色の色を染めています。そのため、色が混ざりきらず、深みのあるメランジ調の綺麗な色合いが生まれます。

ハリとコシがある「エコアンダリヤ」(上)は、創業者の代からあるロングセラー商品。
そして現CEO・濱中氏が作った次世代の定番「アメリー」(下)は、その絶妙な色合いが特徴。

― 「アメリー」は原料にも特徴があると伺いました。

濱中 そうなんです。使っているウールは「ニュージーランドメリノ」という、牧場まで特定できるトレーサビリティを確保したものです。そしてこの糸をつくる牧場は、ワイナリーを営んでいまして。羊はブドウ畑の雑草を食べ、そのおかげで除草のための農薬が不要になります。さらに、その羊の糞がブドウの豊かな栄養になる。まさに「循環の中で育てられたオーガニックな羊」から作られた糸なんです。

オーガニックな羊たちの毛が、サステナブルな物語と共に「アメリー」の糸となる。

― 編み物というと少し難しそうなイメージもありますが、初心者でも楽しめるでしょうか。

濱中 はい、もちろんです。基本的な編み方でできますので、初めての方でも挑戦しやすいと思います。忙しい日常の中で、無心で編み物に没頭する「自分時間」を楽しむのもいいですし、お友達と一緒に編むのも楽しいです。それに、今はたとえ一人で編んでいても、SNSで発信すれば、仲間と繋がることもできます。編み物は、実はすごく今の時代に合っている趣味だと思います。

世界中で知られる基本的な編み方「グラニースクエア」。
編み物初心者にも取り組みやすい。

― SNSでの繋がりが、お客様との温かいコミュニティを生んでいるんですね。

濱中 それを強く実感したのが、2020年のコロナ禍での出来事です。24色の糸を使ったアドベントカレンダー企画を行いました。SNSで毎日モチーフを投稿すると、お客様が「今日ここまで編みました」と次々に進捗を報告してくださいました。対面でのイベントが全くできない時期だったこともあり、私たち社員もその交流にすごく励まされたのです。お客様から「スタッフさんも大変だったでしょう」「楽しい時間でした」といった感謝のコメントを本当にたくさんいただき、心が温かくなって涙が出るほど感動しました。「会えなくてもSNSで繋がれるんだ」と実感した経験です。

― 最後に、ハマナカが目指す未来の展望についてお聞かせください。

濱中 やはり「世界の方々とつながりたい」というのが一番です。以前、中国でニット作品コンテストを開催した際、入賞した方から「初心者が気軽に応募できるコンテストを続けてほしい」と言われたことが心に残っています。私自身が芸大出身なのでよく分かるのですが、アートの世界は「限られた才能のある人だけが上に行ける世界」です。でも、趣味はそうであってはいけない。「好きでやりたい」という人なら誰にでも開かれた広い門であるべきだと思います。趣味の世界に、技術レベルや国境といったボーダーはあってはいけない。「下手でもいいから、とにかく楽しんでほしい」ということを、これからも声を大にして伝えていきたいと思っています。

―貴重なお話をありがとうございました。

ハマナカ商店オリジナルキット「H310-309 グラニーモチーフバッグ」
価格:¥2,673 (税込)
店名:手芸手あみ専門店ハマナカ商店(通信販売)
電話:075-463-5151 (9:00~17:00 平日)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://amuuse-hamanaka.com/shopdetail/000000014736/ct745/page1/order/
オンラインショップ:https://amuuse-hamanaka.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

濱中 知子(ハマナカ株式会社 代表取締役CEO)
2003年(平成15年)に大阪芸術大学大学院芸術文化研究科博士課程後期修了、芸術文化学博士号取得。2005年(平成17年)、ハマナカ株式会社入社。2011年(平成23年)、代表取締役社長就任。2019年(令和元年)に代表取締役会長、2024年(令和6年)に代表取締役CEO就任。伝統ある京都に本社を置き、創業85年(1940年(昭和15年))。”手芸を通じて創造するよろこびを一人でも多くの方々に提供し、社会貢献する”ことを企業理念として、手芸手あみ糸を中心に手芸材料や道具を開発、提供する。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/ハマナカ>

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