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正真正銘のししゃも、ここにあり! 北海道むかわ・カネダイ大野商店の 「生干しししゃも」「珍味ししゃも」

2022/05/11

友人から「これが本物のししゃもよ、食べてみて」と勧められて口にしたししゃもの美味しさに感動した、編集長アッキー。「ふだん食べているものと、風味がまったく違う!」と興奮気味のアッキーに代わって取材陣が、北海道・むかわ町で創業以来90余年にわたって「本ししゃも」の加工販売を行なっている、株式会社カネダイ大野商店代表取締役社長の大野秀貴氏にお話をうかがいました。

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むかわ町の風物詩「柳葉魚のすだれ干し」を背に立つ
株式会社カネダイ大野商店3代目・大野秀貴氏

―「本ししゃも」と「そうでないししゃも」の違いは、どのようなところにあるのでしょうか。

大野 本来、ししゃもは太平洋沿岸のみで生息する、日本固有の魚です。アイヌ語の「スス」=柳、「ハム」=葉が和人に伝わる際に変化して 「スシャム」と呼ばれるようになり、それが変化して「ししゃも」と呼ばれるようになりました。一方、現在、日本全国で広く販売されている「子持ちししゃも」の9割以上は、カペリンという北太平洋、北大西洋の沿岸各地に生息している魚。商品表示を見ると「カラフトししゃも」と書かれています。しかし、ししゃもとは学術的にも生態的にもまったく違うんです。

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化粧箱の左下「道産原料」のマークは
本物の北海道産の証。「道産食品登録制度」
登録認可第1号(生干しししゃも)、
第2号(珍味ししゃも)を取得。
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大きく「柳葉魚」の文字。
近所の農家さんが鵡川で刈り取り、
きれいに処理した葦の茎に目指しにして、
冷凍された状態で届きます。

―そうなんですか!たしかに、こちらの本ししゃもはスーパーなどの店頭に並んでいるものとは、見た目が違います。味が違うのも、そもそも違う魚だからなのですね。

大野 本ししゃもの漁期は短くて、1年のうち10月から11月半ばくらい。漁獲量も限られますから北海道内でも貴重な魚で、流通量が多くありません。それに対してカペリンの漁獲量は圧倒的に多いため、価格も本ししゃもにくらべるとリーズナブル。それで、一気に日本中の食卓に広まりました。ですから、「ししゃも」という名前を多くの方々に知っていただけるようになったのは、カペリンのおかげと言えるかもしれません。でも、本ししゃもとカペリンは似て非なるもの。味も香りもまったく違います。

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大野社長おすすめの焼き方は、
ホットプレートまたはフライパンにクッキングシートを敷き、
凍ったまま弱火〜中火で。
こうすると身が崩れず、ふっくら、こんがり。

―焼いている時から香ばしい、いいにおいがしました。身もふっくらして、口にすると甘みが広がりますね。

大野 カペリンは香りがあまりなく脂肪っけもないのですが、本ししゃも、とくにオスは身に脂がのっているので、甘みとコクが感じられるんですね。メスは卵を抱くと身の脂が抜けますが、その代わりに卵の旨みとプチプチした食感を楽しめます。

―「生干し」という製法について教えてください。

大野 「生干し」は怪我の功名と言いますか、創業者である私の祖父・大野留吉が思いがけず発見した方法なんです。ししゃもは非常に足の早い魚なので、すぐに食べるか、涼しく風通しの良い場所ですぐに干して保存をしないと臭みが出てしまいます。ある日、祖父は大量のししゃもを買い付けたものの干す作業が追いつかず、あきらめて一晩、ししゃもを縄にかけたまま外に放置したんですね。冷え込みが強い夜が明けた翌朝、様子を見に行くと凍ったメスのおなかがふくらんで見栄えがとてもよく、干し加減も柔らかすぎず硬すぎず、生臭みもない。「これだ!」と思った祖父は、干す時間や塩分濃度を工夫して「生干し」という製法を完成させました。以来、「生干しししゃも」は弊社の看板商品となり、今に至ります。

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ほのかにピンクがかり、キラキラしてきれい!
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ほどよく乗った脂とほのかな塩味。
硬すぎず柔らかすぎずの絶妙な干し加減。
こちらはオス。味にコクがあり、
「ししゃもはオスに限る」という人も多いそう。

―「珍味ししゃも」も人気だとうかがいました。

大野 ある年、小さなししゃもがたくさん獲れたのですが、サイズが小さいと口も小さいので、干すための串に刺せません。どうしようかと考え、生まれたのが「珍味ししゃも」です。1週間ほど冷風にあてて乾燥させてみると、焼かずにそのまま食べられるようにはなるのですが、内臓が入ったままなので苦味や臭みがある。そこで、炙ってみたところ、いやなにおいは飛んで、風味が増したんです。これはイケる、と。

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こちらも冷凍の状態で届きます。
オス・メス未選別100g入りで、30〜35尾程度。
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焼かずにそのまま食べられます。
おつまみはもちろん、おやつにも。
旨みたっぷりで満足感が得られ、
栄養満点、しかも罪悪感なし!

―ピンチをチャンスに生かされたのですね。さすが、留吉さんのお孫さんです。

大野 実は、炙り加工をする機械は、私の自作なんです(笑)。ある調理用の厨房機器を改造して、ししゃもをステンレスのコンベアに乗せて炙るという、単純なものですけど。炙ることで旨みがぎゅっと凝縮しますし、小さいのでそのままパクッと食べられるということで、ご好評をいただいています。

―あらためてうかがいます。大野社長にとって、ししゃもの魅力とは?

大野 ししゃもは、1ヶ月半ほどの漁期の間に体がどんどん変化します。漁が始まってすぐの頃は魚体が白っぽく卵は少ないのですが、身に脂が乗っていて、味にコクがあります。それが、漁期の後半になるとだんだん色が濃くなってきて赤みを帯び、メスが抱いている卵は大きく育つにつれて脂が抜けてさっぱりとした味わいに。というように、獲れる時期によって味が変化し、それぞれおいしさを味わえるというのが、ししゃもならではの魅力でしょうか。食べ方も、焼いたり炙ったり、素揚げにしても衣をつけてフライにしても、おいしいんです。漁の期間中、むかわでは獲れたてだからこそ味わえる、ししゃもの刺身やお寿司も楽しめますよ。

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「珍味ししゃも」をそのままマリネに。
酢の力で身も骨もやわらかく。作り置きしておくと重宝します。
もちろん、本ししゃもを素揚げしてマリネしても美味!
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ししゃもは油と相性がいいとか。
大野社長のいち押し、生干しししゃものフライ。
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「珍味ししゃも」は、やっぱり日本酒が似合う!?
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「珍味ししゃも」を炙って熱燗に浸せば、
香ばしく滋味深い「ししゃも酒」に。

―いろいろな味を楽めるのも「本ししゃも」だからなのですね。最後に、今後のビジョンがありましたら、お聞かせください。

大野 本ししゃもはもともと漁獲量が限られている上に、近年は気候変動の影響で海水温が高いこともあって、獲れる数が激減しています。また、生干しのおいしさは加工の匠の技があってこそなのですが、ご多分にもれず職人の高齢化が進み、どうやって技を継承していくかというのが目下の課題です。ただ、むかわでは、本ししゃもを守るために漁協は厳しく自主規制を行なっていますし、町としても現在の3倍の数の孵化が可能になるという人工孵化場の新設事業を進めています。そんな町の宝である本ししゃもをもっともっとみなさんに知っていただき、味わっていただけるように、弊社としても努めていきたいと思っています。直営店では焼きししゃもをご提供していますし、10〜11月には生の「ししゃも寿司」を召し上がっていただけます。気楽に移動できるようになりましたら、ぜひ、むかわにいらして、絶品の本ししゃもを味わってみてください。

―全国の百貨店などで催される北海道物産展にも出店されていますね。

大野 はい。1986年に私の母が、日本橋の百貨店での北海道物産展にうかがってお客様に直接おすすめし、喜んでいただいて以来、ずっとです。

―今回初めて、ししゃもが多くの魅力を持つ魚だということを知りました。貴重なお話、ありがとうございました。

ししゃも_商品1

「生干しししゃも(大 オス 10尾)」
価格:¥1,500(税込)※その年の水揚げ量により価格は変動します。
店名:カネダイ大野商店
電話:0120−246−866(10:00~17:00)
定休日:日曜(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
商品ページ:https://kanedaioono.com/syouhin_namahoshi.htm#namahoshi_top
オンラインショップ:https://kanedaioono.com/syouhin.htm

ししゃも_商品2

「珍味ししゃも(100g入り)」
価格:¥1,500(税込)※その年の水揚げ量により価格は変動します。
店名:カネダイ大野商店
電話:0120−246−866(10:00~17:00)
定休日:日曜(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
商品ページ:https://kanedaioono.com/syouhin_chinmi.htm#chinmi_top
オンラインショップ:https://kanedaioono.com/syouhin.htm

<Guest’s profile>
大野秀貴氏(株式会社カネダイ大野商店 代表取締役社長)

1974年 旧鵡川町(現在のむかわ町)生まれ。
幼少期より機械工作が好きで工業高専へ進学するが卒業後は札幌の中央魚市場へ就職。父が高齢となり実家の家業を継ぐため鵡川町へ戻りししゃも製品の加工、販売を始める。鹿児島から青森まで日本各地の百貨店で開催される北海道物産展にて本ししゃもを販売して全国を飛びまわる日々を過ごす。2011年にカネダイ大野商店代表取締役となり、北海道物産展での販売経験で得られたお客様との会話をヒントに商品の磨き上げや商品の開発を行っている。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/稲吉陽子 画像協力/カネダイ大野商店>

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