
京都・宇治のお茶屋発。茶房で人気の抹茶パフェを、そのままアイスバーに
2026/02/27
京都・宇治と言えば、日本を代表するお茶処。それゆえお茶の楽しみ方のバリエーションも豊富です。今回編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、そんな宇治で歴史を紡いできた株式会社伊藤久右衛門の「抹茶パフェアイスバー」。箱を開けた瞬間、目に飛び込んでくる華やかな佇まいに、誰もが驚くはずです。商品誕生のストーリーや企業の思いについて、代表取締役社長の広瀬穣治氏に、取材陣がお話を伺いました。

株式会社伊藤久右衛門 代表取締役社長の広瀬穣治氏
―御社の歩みについて伺えますでしょうか。
広瀬 伊藤久右衛門という我々の会社は、遠く室町の時代より続く伝統と文化をもつ「宇治茶」を販売するお茶屋です。弊社は江戸後期、1832年(天保3年)に、初代 伊藤常右衛門瀧蔵が現在の宇治田原町に茶農家として茶業に携わったのがはじまりです。その後、4代目まで代々の茶づくりを継承してまいりました。
そして、1952年(昭和27年)に5代目伊藤久三が宇治田原から宇治の地に移り、平等院表参道で宇治茶を販売する店舗を構えました。同年、会社設立にあたり、代々受け継いだ伊藤常右衛門の名を拝し、伊藤久三自身の名にある「久」の一文字をとって、株式会社伊藤久右衛門を社名としました。1996年(平成8年)には宇治本店をオープンし、お買い物と飲食を楽しんでいただく現在のスタイルを作り上げました。
そして、大きな転機となる事業を起こします。2000年(平成12年)にWEBサイトを開設し、「人は、インターネットではモノを買わない」と言われた時代に、インターネット通販事業をはじめました。新しい販路でしたから、お茶の販売だけではなく、お菓子の販売も行いました。試行錯誤しながら商品開発を行い、当時は言葉として存在しなかった”抹茶スイーツ”という市場を築き、現在に至ります。

「伊藤久右衛門」JR宇治駅前店外観。
―社長ご自身のご経歴は?
広瀬 実は、もともと呉服業界にいました。お一人おひとりにあった色柄を選び、着付けをして採寸し、オーダーメイドで作り上げていく、畳の上の世界がとても好きでした。その後、世の中でインターネット通販が盛んになってきた頃に、将来のために、小売の技術を学ぶため転職をしました。レディースファッション通販サイトのベンチャー企業の立ち上げに参加して、経営企画室室長として上場準備まで携わりました。
―そこから「伊藤久右衛門」に入社なさったのですね。
広瀬 30代手前になり、呉服業で知った日本のものづくり良さを、ベンチャーで積んだ経験で、広めるような仕事がしたいと強く考えるようになりました。お茶も食品も扱うのは初めてでしたから、未経験スタッフとして、社会人のキャリアを再スタートさせ、そこから人事や海外事業、多店舗展開の責任者を経て今に至ります。
―御社が大切にしていることは。
広瀬 宇治茶ならではの色・味・香りです。その魅力を発信し続けることが私たちの使命と考えています。一方、それ以外の部分は自由な可能性があってよいと考えています。急須でお茶を淹れるというスタイルにとどまらずお菓子や食品など、宇治茶が活きる多彩な商品づくりを積極的に進めており、”不易流行”のバランスを大切にしています。
―これまで困難にぶつかったことはありましたか?
広瀬 普段から、問題を困難という捉え方をしないので、嫌なことはあまり覚えていません。問題は課題に置き換えて分解し、できることから一つずつ潰していくことに、やりがいを覚えることもあります。ただコロナ禍はしんどかったです。店を閉めてましたから、お客様の顔も社員の姿も見えなくなる、自分ではどうしようもないことなので、歯痒かったです。それでも、WEB部門や新しくはじめた外商部門が、何とか好転して乗り越えることができました。
―御社のブランドコンセプトについても聞かせてください。
広瀬 「人生に、お茶の時間を。」ただ単にお茶を使ったお菓子をお客様に提供するのではなく、お客様のライフスタイルに合ったお茶の時間・ティータイムの提案など宇治茶の魅力をもっとたくさんの人に伝えたい。そういった想いを大切にしています。
―御社のおすすめ商品について教えてください。
広瀬 おすすめは、「抹茶パフェアイスバー」です。茶房の「抹茶パフェ」を茶房以外でも楽しみたいというお客様のお声から誕生しました。物販店やお取り寄せでご家庭でも楽しんでいただけるよう創意工夫した結果、アイスバーの形になりました。

「伊藤久右衛門」JR宇治駅前店の茶房。

茶房では、お濃茶用抹茶を使用したアイスや丹波産黒豆など、
こだわりの食材を取り入れた「伊藤久右衛門パフェ」などが味わえる。

茶房で味わえるパフェ(右)を、アイスバーで表現。
―こだわったポイントは?
広瀬 宇治のお茶屋として、抹茶の風味にはこだわりました。
茶房のグラスに入ったパフェよりも小ぶりとなるアイスバーで味わいを表現すべく、当初は一番摘み抹茶のみを使用して贅沢な味わいを目指しましたが、乳のコクやトッピングの具材に合わせると、抹茶の風味が弱く感じられてしまいました。含有率を上げても、アイスのなめらかさが粉っぽくなり、アイスとしておいしいとは言えません。何度も試した結果、夏に収穫する抹茶を適量配合することで、程よい苦みやキレが出て、風味の良い抹茶アイスに仕上げることが出来ました。
様々なトッピングと一緒にお召し上がりいただき、茶房の抹茶パフェのように、味わい・食感の変化とともにお楽しみいただければ幸いです。

職人の丁寧な作業が活きた美しいビジュアル。「抹茶パフェアイスバー」は、
「まっちゃ」「いちご」「さくら」「とろぴかる」「もんぶらん」の全5種類。
―ファンづくりにおいて工夫していることはありますか?
広瀬 私たちが目指しているのは、単なる茶葉の販売ではなく、日常に彩りを添える『お茶の時間』の提供です。老舗としての信頼を守りつつ、ECやSNSを駆使して「今、この季節にしか味わえない価値」を可視化することに注力しています。
店舗はブランドの熱量を直接伝える「体験の場」であり、WEBはその感動を全国の日常へと繋げる「継続の場」です。この両輪を繋ぐことで、一度のご縁を一生のファンへ、それが私たちの考えるファンづくりです。
―現在注力されていることはありますか?
広瀬 現在、インバウンドのお客様の間でお茶へのニーズが非常に高まっています。私たちは今こそ、その「本質」を知っていただくことに注力しています。
お茶は単なる「飲むもの」から、文化を「体験するもの」へと進化しました。
お菓子という親しみやすい入り口があるからこそ、その先にある茶葉の深い精神性や健康価値を、押し付けがましくなく、五感で感じていただけるはずです。それこそが、京都の老舗である私たちが今、最も大切にしている「本質の伝え方」です。
―今後の展望についてもお聞かせください。
広瀬 天保3年創業という歴史は私たちの財産ですが、それに甘んじるつもりはありません。私たちの根底にあるのは『お茶と生きる。お茶を生かす。』という想いです。
老舗として磨き上げてきた茶葉へのこだわりを礎としながら、伝統を過去のものとして守るだけでなく、宇治茶を未来へと続く「進行形」として捉え、常にアップデートし続けたいと考えています。
今後は、若い世代や世界中の方々に抹茶の魅力を伝えるため、これまでの枠にとらわれない新しいカテゴリーを切り拓いていきます。単にお茶を飲んでいただくのではなく、スイーツやライフスタイルを通して『お茶の時間』を提案していきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました。

「抹茶パフェアイスバー」(5本入)
価格:¥4,490(税込)
店名:伊藤久右衛門 公式オンラインショップ
電話:0774-28-3993(10:00〜16:00 土曜、日曜、祝日除く)
定休日:土曜、日曜、祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.itohkyuemon.co.jp/c/category/limited/090279
オンラインショップ:https://www.itohkyuemon.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
広瀬穣治(株式会社 伊藤久右衛門 代表取締役社長)
1978年滋賀県生まれ。佛教大学を卒業後、京都の呉服企業で勤務。その後、夢展望株式会社の立ち上げに参加。2010年に株式会社伊藤久右衛門に入社。2022年に同社代表取締役社長に就任。創業家以外からの初の社長選任。
<文/鹿田吏子 MC/藤井ちあき 画像協力/伊藤久右衛門>




























