大阪・箕面(みのお)から世界一に。特別な日じゃなくても毎日味わいたくなるローカル・ビール「箕面ビール」

2025/09/22

今回、編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、大阪・箕面(みのお)市で生まれたクラフト・ビール「箕面ビール」。地ビールからスタートして、切磋琢磨の末、ついに世界一にも輝いた本格派です。味は世界レベル、パッケージは洗練されている一方で、手作りの温かさや人情味を感じるビールでもあります。長年製造を任されてきた株式会社箕面ビール代表取締役の大下香緒里氏に取材陣がお話を伺いました。

株式会社箕面ビール 代表取締役 大下香緒里氏

―社長就任の経緯を教えてください。

大下 家業が小売の酒屋だったのですが、1997年からビールの製造も開始し、ビールに一本化してきました。父が販売を担当し、私は工場長を務めていましたが、2012年に父が他界したため、事業を引き継ぐことになりました。

父・大下正司氏は、裸一貫から酒販店を立ち上げ、酒造工場も設立。
パワフルな人柄で、地ビール界のレジェンド的存在だった。

―ビールづくりのきっかけは?

大下 日本のビールは、1994年の規制緩和までは大手ビールメーカー4社しかなく、種類もほぼラガービールのみという状況でした。1994年に規制が緩和されたことで、地ビールを作る業者が全国に300社以上でき、その頃に弊社も参入しています。ただ、「地ビールは値段が高い」「普段飲み慣れているラガーと違う」といった声も多く、市場全体としてはなかなか広がりを見せませんでした。

―今では、「クラフトビール」と呼び方も変わり、流行しています

大下 地ビール・ブームが下火になり、どの業者も悩みながら試行錯誤を重ねて、お互いに切磋琢磨して技術を向上させてきました。私たちも、スワンレイクビールさんや志賀高原ビールさんなど、多くの同業他社とのお付き合いを通じて、テイスティングしたり、意見交換をしたりしてきました。

それと同時に私がよく参考にしてきたのは、やはり海外のビールです。ドイツ、ベルギーといった伝統的なスタイルももちろんお手本にしていますが、限定ビールの参考としては、アメリカンスタイルのビール、また日本独自のオリジナルスタイルに挑戦しています。

アメリカンスタイルは世界中のクラフトビールのムーブメントを作ったといっても過言ではなく、ここ十数年人気を集めているのがIPAです。IPAとは華やかなアメリカンホップをふんだんに使った香り高いビールです。また、日本独自のスタイルとしては、麹や米、ゆずや山椒など、日本ならではの素材を取り入れ、独自の製法で追求しています。

「箕面ビール」には季節ごとの限定ビールも豊富。
「ゆずホ和イト」は冬季限定の和テイストのエール

―「箕面ビール」としてのこだわりは?

大下 弊社の場合は、温度管理と時間です。ビール製造の設備は他と大きくは変わらないのですが、温度管理と発酵や熟成期間にはこだわりがあります。一番シビアなのが温度管理で、どの工程であっても、温度によって味が変わります。ですので、各タンクごとに細かく温度調整をしています。仕込みの時の温度管理、発酵、熟成中の温度と経過管理が大事だと考えています。

工場の様子。それぞれのタンクごとに人が丁寧に目と手をかけて、品質を管理している。

―どんな人に手に取って欲しいですか?

大下 デイリーな、日常に溶け込んだビールであって欲しいと思っています。お土産需要ももちろんありますが、できるだけデイリーに飲んでもらえるよう、価格も手に届くものになるよう心がけています。クラフトビールがテーブルビールになってほしい。そのために、2杯、3杯と飲める、おかわりできるビールを追求しています。

ほとんどが1本ワンコイン(500円)以内という価格設定が嬉しい。
コクのあるしっかりしたテイストでありながら、食事との相性もよく、ついもう1本と、手にとってしまうビールだ。

―今回、ご紹介いただくセット内容について教えてください

大下 ギフトやお試しにもぴったりなレギュラービール6種類をセットにしました。

レギュラービール6種類6本。それぞれに、コクと苦味、香りの特徴があり、
飲み比べの楽しさがある。シーンや食事に合わせて選べるのも嬉しい。

大下 まずは「ピルスナー」。発祥の地・チェコのボヘミアンスタイルのラガービールです。モルトのコクがあり、少し苦味もあって、バランスの良い飲み心地です。アメリカのWorld Beer Cupで二度銅賞を受賞しています。

「ヴァイツェン」は、小麦麦芽を50%使用した、いわゆる白ビール。苦味が少なくやわらかな口当たりで、ビールが苦手な方にも親しみやすい味わいです。小麦酵母由来のバナナのようなフルーティーな香りが特徴で、澱を混ぜながら飲むとより一層ふくよかな味を楽しめます。

「ペールエール」は、アメリカンホップを贅沢に使用し、オレンジがかった色合いと豊かなコクが特徴。グレープフルーツやストーンフルーツ、マンゴーやライチを思わせる華やかなアロマが広がります。シーンを選ばず楽しんでもらえる、香り高い定番エールです。

「スタウト」は、イギリスの International Brewing AwardsWorld Beer Cup で金賞を獲得した、弊社の主力商品。黒ビールは日本人には少し敬遠されがちですが、このスタウトはドライで飲みやすい仕上がりです。ビターチョコレートのような焙煎モルトの香ばしさと、クリーミーな口当たりが特徴で、お肉料理やスイーツとも好相性です。

「おさるIPA」は、限定商品からスタートし、2020年に定番化した人気のIPA。アメリカンホップをたっぷり使い、柑橘を感じる華やかな香りと爽やかな苦味が楽しめます。地元の猿をモチーフにしたユニークなラベルも人気の理由のひとつです。

「W-IPA」は、アルコール度数9%のストロングエール。濃厚なモルトのコクに加えてホップの強い香りが調和し、ウィスキーを思わせるリッチで深みのある味わいです。ハイアルコールビールがお好きな方におすすめの1杯です。

パッケージのデザインも洗練されていて、気分が上がる。
ギフトのほか、自分へのちょっとしたご褒美にも良さそう。

―インスタを見ていると、ファンの多さを感じます

大下 20年以上にわたり毎年イベントを開催してきたこともあってか、地元で行う「感謝祭」には毎年多くの方が集まってくださいます。2日間で約4,000人(コロナ禍以前は5,000人以上)が参加してくださり、地域の恒例行事となっています。

また、全国各地で開催されるビールフェスやイベントにも積極的に出店しており、そうした場での出会いやつながりをきっかけに、私たちのビールを知っていただき、お客様になっていただけているのだと感じています。

ビアバーなどの飲食店で樽生を飲んで、ファンになってくださることも多いです。お店の方が箕面ビールを紹介してくださることも多く、それはやはり、先代の父が築いてくれたご縁の広がりが今につながっているのだと感じています。

―限定ビールも盛りだくさんで、楽しいです。

大下 季節に合わせて毎年仕込む定番の限定ビールに加え、 新しいレシピにも積極的にチャレンジしています。月におよそ2〜4種類をリリースしており、中でも、2009年から16年間作っている、夏~秋に発売する「桃ヴァイツェン」は毎年とても人気です。もともとは和歌山の農家さんから、「桃はすごく手間がかかる果物なのに、少し傷がついただけで市場に出せずに困っている」というお話をいただいたことが発端です。

ロスになっていた傷ものを使わせていただいて、贅沢に桃を使ったビールを作りました。当初の数年は弊社でスタッフ総出で皮を剥きピューレから殺菌工程を行っていたんですが、どうしても作れる量に限界がありました。どうしようかと困って相談したところ農家さんが、加工工場を作ってくれ、収穫した新鮮な桃をよりピューレ加工し冷凍で送ってくださるようになり、今では年間合計でタンク12本分を仕込めるようになりました。それでも、できた途端に完売してしまうほど。多くの方に楽しみにしていただいている人気商品です。

また、この加工した桃はコンビニやスープの会社などからもオファーがあるということで、もともとは「もったいない」から始まった取り組みが、思いがけず大きく発展し、今では「お互いに本当によかったね」と言い合えるプロジェクトに育っています。

桃ヴァイツェン。今では、「白桃」など銘柄ごとの限定品もあり、飲み比べを楽しみにしている人もいるそう。

―今後のビジョンをお聞かせください。

大下 今はある程度乗り越えましたが、28年前に造り始めた当初、2年目には地ビールブームが終わり、その後10年ほどは厳しい時期が続きました。売れない、造れない、提供する機会も少ない、さらにはおいしくない上に高いというイメージまでついてしまって…。正直しんどい時代でした。

それでも、その後クラフトビールブームが起こり、多くのメーカーが誕生し、若い世代が楽しんでくれるようになったのは本当に嬉しいことです。今は嗜好品にあまりお金をかけにくい時代かもしれませんが、量ではなく「楽しみ方」を知っている人が増えていると感じます。クラフトビールが生活に根づいて、飲む機会が増え、さらに「この銘柄を」と指名してもらえるようになれば本望です。

もちろん、製造業は何よりも品質が第一。ビールに合わせて労働する業界ですから、決して楽な仕事ではありません。でも、「おいしい」と言っていただけることで苦労は帳消しになりますし、それが大きな喜びに変わります。ビールは工業的に見えるかもしれませんが、実際は職人の五感が頼り。だからこそ、賞をいただけるのは大きなご褒美であり、モチベーションにもなります。

そして、できる限り地元のものを取り入れていきたいと思っています。麦芽やホップは海外産ですが、それ以外の原料は地元ならではのものを積極的に活用し、顔の見える農家さんとのご縁を大切にしながら造り続けていきたいです。

飾られた多くの賞状。職人たちの苦労が報われ、努力が認められた証でもある。

―愛され続ける理由がわかりました。貴重なお話をありがとうございました!

「6種6本入り MB6−6」(セット内容:ピルスナー、ヴァイツェン、スタウト、ペールエール、W-IPA、おさるIPA 各330ml×1)
価格:¥2,890(税込)
店名:箕面ビール公式オンラインショップ
電話:072-725-7234(10:00~18:00  日曜、年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.minoh-beer.jp/products/detail/58
オンラインショップ: https://store.minoh-beer.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

大下香緒里(株式会社箕面ビール 代表取締役・工場長)
1976年生まれ。大阪府出身。1977年より小売酒販店を営んでいた父親が1997年ブルワリーを起業。家業を手伝う形でブルワリースタッフとして短大卒業と同時に入社。1978年に工場長に就任。2012年に社長に就任。自分の人生でビールを造るとは思ってもみなかったが、物をつくる仕事に憧れがあったのと、醸造という歴史や文化が漂う仕事に取り憑かれ、日々奮闘しながら現在に至る。

<文/尾崎真佐子 MC/藤井ちあき 画像協力/箕面ビール>

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