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おいしさを追求した金沢の銘菓、「金沢茶の間」加賀棒茶マドレーヌと「山科長者」スイートポテト

2024/02/21

1907年創業のふらん・どーるは、地元・石川県金沢市の人々に愛される洋菓子店です。現在の店主は4代目。創業100年を超える老舗洋菓子店ですが、日々少しずつ味を変えながら、さらなるおいしさを追求し続けています。
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社ふらん・どーる 代表取締役の金岩重典氏に、取材陣が伺いました。

株式会社ふらん・どーる 代表取締役 金岩重典氏
株式会社ふらん・どーる 代表取締役の金岩重典氏

―老舗の家業、小さい頃から継ぐというお気持ちはあったのでしょうか?

金岩 高校生の頃から意識し始めました。でも、父親は必ず継いでほしいとは言ってなかったので、他の職業に視野を広げていた時期もあります。お菓子屋さんは、土日やイベントの時期は忙しいので、家族で遊びに行った思い出もなく、今思えば子供の頃は寂しい思い出が多いです。

高校を卒業してから、神戸の洋菓子店「アントナン・カレーム」で3年間修業していました。その後、大阪に本社のあるケーキ屋さんへ行き、トータルで6年ぐらい修業していました。

―その後、すぐ入社されたのですか?

金岩 修業を終えてから会社に入るまでは、約3ヶ月ヨーロッパでバックパッカーをしていました。海外旅行の経験がなかったので、このタイミングでしかいけないなと。お菓子や乳製品、市場で売っているものなどいろいろなものを食べまくったのです。

―その経験はどう生かされたのですか?

金岩 正直な話、最初は家業のほうを全否定していました。知識だけは豊富だったので、「こんな古臭いお菓子を売ってどうするんだ」とか「もっといい材料を使ったらもっとおいしいものができるのに」と言って、父親とは喧嘩ばかり。そして、商品をどんどん変えていったら、お客さまが離れていってしまって……。

―なぜでしょうか?

金岩 今ならわかりますが、自分が作りたいものだけを作っていたからだと思います。僕は家業を継いでいるので、昔から来られているお客さまの気持ちに寄り添ってお菓子を作らなければならない。それを理解せずに、自分で学んできたことや体験してきたことだけを表現していました。でも、この失敗によって、今掲げている理念が生まれてきたのだと思います。

―どんな理念でしょうか?

金岩 「お菓子づくりはしあわせづくり」という理念です。「しあわせづくり」というのは、まずはお菓子を通してお客さまの幸せを作っていくこと。自分のお菓子をきっかけにファンになっていただく方もいらっしゃるかもしれませんが、父や祖父の代から繋がっているお客さまや、その次の世代にも楽しんでいただけるようなお菓子作りをすることが僕らの仕事だと思っています。

それだけでなく、働いている仲間や家族が幸せにならないと、理念ではないと思います。今働きに来られている方のお子さんやご家族の方が仕事に何らかの意味合いを感じながら成長して、将来自分の夢や目的を大事にして仕事してほしいという思いがあります。

―地元への取り組みは?

金岩 昨年はデパートの店舗をやめて、金沢駅前に「金沢・茶の間フランドール」という店舗を出しました。コロナ禍が終わり、観光客のお客さまが戻ってこられるタイミングだったので、ちょうどよかったと思います。ちなみに、この店舗は大正時代のイメージを持たせたかったので、カタカナのロゴにしました。

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レトロなデザインが目を引く「金沢・茶の間フランドール」のロゴ。

―「金沢茶の間」加賀棒茶マドレーヌは、JALのファーストクラスの機内食で採用されたそうですね。

金岩 機内食として月替わりでご当地のお菓子を出すという企画で採用され、とても驚きましたし、何かあったら大変なので、かなり前から品質管理に力を入れました。これを機に、金属探知機の機械を導入しています。

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上林金沢茶舗の加賀棒茶を粉にして入れたマドレーヌ。

このマドレーヌは最初、黒豆やゴマなど、健康によさそうな素材を混ぜて作っていましたが、7~8年前にたまたま加賀棒茶を作る企業さんから声がかかり、マドレーヌに入れてみることにしたのです。

実際に販売を始めたのは、4~5年前です。甘さが控えめで、棒茶の風味が口の中で広がっていくように目指して作りました。より味を楽しんでいただくために、中には黒豆を甘露煮にしたものを入れています。

―約3年間は試行錯誤されていたんですね。

金岩 でも、これで終わりではなく、試行錯誤し続けています。全ての商品に言えることですが、ずっと同じことをしているのではなく、レシピや焼き方などしょっちゅう変えています。そうしないと、食べる側も味わいレベルが上がっていくので、だんだんおいしいと思われなくなります。味に慣れてしまうという感覚です。だから、「また食べたい」と思ってもらうために、食べている方が気付かない範囲で少しずつ改良を続けています。

―お客さまからの評判はいかがですか?

金岩 分けやすいので、お土産にちょうどいいという声があります。地元の素材を使っているところも喜ばれているようです。香りはしっかり残るけど、しつこくはない。お茶の香りが残る濃さも、開発段階でどのぐらい含めるか苦労しました。でも、正直自分ではまだ全然満足できていません。今はもっとしっとりできないかと研究しています。

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バラ売りされているのでお土産にもぴったり。

―「山科長者(スイートポテト)」についても伺います。

金岩 これは父親と一緒に開発したもので、20年以上前からあります。市販で売られているスイートポテトは、さつまいもの風味がすごく強くて、しっとりしているものが多いですが、さつまいも以外にバターや生クリームを入れて、もっと濃くて香ばしい味を目指しました。味を決めるまでに3年くらいかかりました。

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スイートポテトには珍しく、パイ生地が使われている。

―原料のさつまいもにこだわっていると聞きました。

金岩 今は、五郎島のさつまいもを使っています。最初は五郎島金時という品種で作っていましたが、もう少しさつまいもの風味を生かしたいので、生産者の方にお願いして紅はるかという品種も栽培してもらっています。今は紅はるかと五郎島金時を、その都度割合を変えながら配合しています。

―パイ生地が使われていますね。

金岩 パイ生地を底にしいてから生地を練り付けて焼くと、バターの香ばしさがより出ておいしくなりそうだと思って僕が提案しました。でも、これもまだ100%納得しているわけではありません。「もっとこうしたらおいしくなるんじゃないか」と考えながらやっていくのが、おもしろいです。

―お客さまからの声はいかがですか?

金岩 一番嬉しいのは「小さい頃からずっと食べています」という言葉です。子供の頃からうちの味を知っている方が、大人になって自分のお子さんを連れていらしてくださる、それこそ、こんなに嬉しいことはありません。

世代が変わると趣味や嗜好も変わっていきますから、伝統の味を守る、というより時代に合わせて試行錯誤しながら、次の世代の方にも喜んでいただけるように作っていきたいと思っています。これからも、少しずつ味を変えながら、おいしいお菓子を作っていきたいです。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

『「金沢茶の間」加賀棒茶マドレーヌ』(1~9個)

『「金沢茶の間」加賀棒茶マドレーヌ』(1~9個)
価格:¥249~2,495(税込)
店名:ふらん・どーる オンラインショップ
電話:076-243-5700(10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.cake-cake.net/frandore/select_item.phtml?CATE3_ID=6&tag_id=1&search_type=tag_search
オンラインショップ:https://shop.cake-cake.net/frandore/index.phtml

「山科長者(スイートポテト)」(1個~28個)

「山科長者(スイートポテト)」(1個~28個)
価格:¥281~8,349(税込)
店名:ふらん・どーる オンラインショップ
電話:076-243-5700(10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.cake-cake.net/frandore/select_item.phtml?CATE3_ID=18&tag_id=1&search_type=tag_search
オンラインショップ:https://shop.cake-cake.net/frandore/index.phtml

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
金岩重典(株式会社ふらん・どーる 代表取締役)

1963年 石川県金沢市東山 和菓子店の長男として生まれる。神戸・大阪の洋菓子店で修業後、1987年に父が経営する「西洋菓子 フランドール」に入社。1998年代表者に就任。現在、一般社団法人石川県洋菓子協会 会長。

<文・撮影/坂本彩 MC/伊藤マヤ 画像協力/ふらん・どーる>

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