みんなが集まるときや、ホッとひと息つきたいときに欠かせないものといえば、おいしいお菓子です。お菓子があるだけでみんなが笑顔になり、その場がなごみますよね。
今回編集長アッキーが気になったのは、まん丸な見た目がインパクト大の「すいかバウム」と、ピーナッツとチョコレートのハーモニーがやみつきになる「花彩菓(はなさいか)」です。開発・販売を手がけている株式会社太陽社 代表取締役社長の片岡正裕氏にお話を伺いました。
千葉県発の新スイーツ!本物みたいな「すいかバウム」とピーナッツが香ばしい「花彩菓」
2024/02/20
株式会社太陽社 代表取締役社長の片岡正裕氏
―まずは会社の歴史を教えていただけますでしょうか。
片岡 創業は1951年で、祖父、父に続き私が3代目です。農家だった祖父が田んぼでとれたお米を米粉にし、お客様のオリジナル製品を作っていたことから始まりました。いわゆるOEMという形です。ただ、お菓子を作っていると、どうしても規格外のものが出てきてしまいます。処分するのももったいないので、近隣の農家さんに「お茶菓子にどうぞ」と配っていたところ、農家さんのほうから「割れたものでいいので売ってほしい」と言われ、小売りを始めました。お店を開いたのは1994年で、現在は5店舗を経営しています。
―子どもの頃から家業を継ぐことを志していらっしゃったのでしょうか。
片岡 子どもの頃は継ぎたくなかったんです。小さい頃から家族旅行もしたことがなくて、両親を手伝いながら「やりたくないな」と思っていました。それで関西の大学に進学したのですが、ちょうど阪神大震災がありました。何人も知人が亡くなり、学校がおもしろくなくなってしまって。中退して戻ってきたときに「後を継ごうかな」と考え、洋菓子の専門学校に行き、都内で5年間パティシエとして修業しました。
商品開発には社長のパティシエとしての経験が生かされているそう。
―店舗がすべて千葉県内にあるのは、地元密着で考えていらっしゃるからですか。
片岡 お客様の8割ぐらいは近隣の方なので、やはり地元の方に還元したいです。皆さんに育てていただいて今がありますから。以前は都内や隣県に出すことも考えてはいました。ただ、人が増えたり、店を広げたりするほど私の考えやイメージが末端にまで伝わらず、マイナス面も出てきてしまうのではないかと。今は自分の目が届く範囲で、自分とスタッフの思いが一体になった状態で商品を提供していきたいという思いがあります。
―Instagramにはかわいいお菓子がたくさん投稿されていて、見ているだけで楽しくなります!
片岡 販売スタッフががんばってくれています。週末のイベントを告知すると、県外からもお客様が来てくださいます。
―新聞やテレビで取り上げられることも増えたとお聞きしました。
片岡 テレビ局は5社、新聞社は2社ほどに取り上げていただきました。Instagramを見ていただいたのもありますし、ユーハイムさん主催の「バームクーヘン博覧会」で入賞したのも大きかったです。
―今回ご紹介する「すいかバウム」を開発したきっかけを教えてください。
片岡 以前、近隣の富里市でバームクーヘンの専門店を経営していたことがありまして。富里市はすいかの名産地で、市から「スイカをモチーフにしたお菓子を作れませんか」とお声がけいただいたことで開発がスタートしました。
断面も色鮮やかな「すいかバウム」。
―開発で苦労したエピソードなどはおありでしょうか。
片岡 原材料に使っているのは千葉県産の米粉です。もっちり、しっとりした食感がおいしい一方で、固形にしづらく、丸い形を作ることにかなり苦労しました。開発には1年ちょっとかかりました。
―米粉は形を作るのが難しいんですね。
片岡 すいかの球体状にするために、半球状の成形板のようなもので余分な生地をそぎ落とすんですよ。その過程で、小麦粉ならグルテンの力でくっつくのですが、米粉はボロボロと落ちてしまいます。「できるのかな」と思ったこともありましたが、練習を重ねたり、多少配合を変えたりして、何とかなりました。
「すいかバウム」は球体状に焼いて1日置き、翌日に焼きごてで黒い縞模様を入れ、中に赤いムースを流し込んでチョコレートの種を入れてと、手作業で作ります。製造から出荷まで大体3日かかるので、1日に100個とか120個程度しか生産できません。注文をいただいたらすぐにお送りしたいのですが、時間のほかに人員的な理由もあって、最長で1ヶ月半ぐらいお待ちいただいたことがあります。
当社のモットーは、「おいしさに愛をこめて」です。機械任せのお菓子ではなく、手作りのよさを味わっていただきたい。「すいかバウム」をはじめ、球体状バウムシリーズには特にそういう思いが強く込められています。
こだわりの縞模様がキュート。
―人気ナンバーワン商品の「花彩菓」のこともお聞きしたいです。
片岡 父の代から作っているメインの商品に「ぴーなっつサブレ」と「落花生せんべい」というお菓子があります。おいしいのですが、昔ながらのお菓子なので硬くて食感が重たいんですね。それで若い人向けの新商品を開発することになったのですが、ピーナッツの味は後世に残したいと考え、薄焼きにして若い人が好きなチョコレートを使うことを思いつきました。それが花彩菓です。
既存の商品が厚めなので、薄さ2mmを目指したものの、加工できる機械がなくて。そこでレオン自動機さんに頼んで、オリジナルのレーザーカッターを開発してもらいました。中身には千葉県産のピーナッツバターとチョコレートを使い、生地にもピーナッツを刻んだものを入れています。
軽い食感を生み出す厚さ2mmの生地。
―千葉といえばピーナッツ。地元の味にこだわっていらっしゃるんですね。
片岡 「京都といえば八つ橋」というイメージがあるのと同じように、「千葉といえばピーナッツサンドクッキー」となるくらいに育てていきたいと思っています。
千葉県の名産であるピーナッツの風味が魅力の「花彩菓」。
―今後の展望やビジョンなどを教えていただけますでしょうか。
片岡 時代の変化とともに、お客様の選択肢はどんどん広がっています。そういったなかで、「この人がいるから行こう」と感じてもらえるような、商品以外にも魅力がある会社にしていきたいです。ただそのためには、現場のスタッフと話せる状況でないといけません。店舗は拡大するのではなくあえて減らすなど、お客様一人ひとりに対応できるお店づくりが必要になってくるのではないでしょうか。
これからは「人の時代」だと思います。自分たちで作ったものを自分たちで販売し、お客様に喜びや感動を与え、スタッフも感動を共有できる。お客様には「この店に来てよかった」、スタッフには「この会社を選んでよかった」と思ってもらえる会社を目指さなければいけない、という思いが第一にあります。
これからも「おいしさに愛をこめて」をモットーに、お菓子を通じて元気と感動と幸せを創造し続けたいと思います。
―ありがとうございました。
「すいかバウム」(直径約11.5cm×高さ約10cm)
価格:¥3,480(税込、送料別)
店名:お菓子のたいよう
電話:0479-72-0533(9:00~18:00 土日祝日、第三火曜日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/etaiyou/suikabum/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/etaiyou/
「花彩菓」(8枚入)
価格:¥1,300(税込)
店名:お菓子のたいよう
電話:0479-72-0533(9:00~18:00 土日祝日、第三火曜日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/etaiyou/aisaika-8/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/etaiyou/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
片岡正裕(株式会社太陽社 代表取締役社長)
1975年千葉県生まれ。東京製菓専門学校を卒業し、都内洋菓子店で5年間修業。その後家業を継ぐ為、実家の株式会社太陽社に入社。現場にて製造責任者を経て2015年に同社代表取締役社長に就任。
<文・撮影/坂見亜文子 MC/髙橋美羽 画像協力/太陽社>