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お米の香りとまろやかな口どけを味わう、伝統と革新が融合した老舗のおかき

2024/03/14

お米から作られるおかきやあられは、日本人にとってなじみ深いお菓子です。お茶請けにつまんだり、ちょっとした手みやげにしたりと、身近なおやつとして親しんでいる人も多いのではないでしょうか。

今回編集長アッキーこと坂口明子が注目したのは、東京・両国に本店を構える株式会社東あられ本鋪のおかきです。明治時代に創業した老舗が作るおかきにどんな工夫があるのか、代表取締役社長の小林宏太郎氏にお話を伺いました。

株式会社東あられ本鋪 代表取締役社長 小林宏太郎氏
株式会社東あられ本鋪 代表取締役社長の小林宏太郎氏

―御社は100年を超える歴史をお持ちですが、これまでのあゆみを教えてください。

小林 創業は明治43年(1910年)です。当時、私の曾祖父にあたる初代の小林桝恵美(ますえみ)が父親の小林音蔵とともに米と炭を売る仕事をしていまして、関西から来たご主人が営む「江戸あられ」というお店に卸していました。やがて江戸あられのご主人が関西へ戻られることになったときに、機械や技術を受け継いで創業したと聞いています。そのとき「東日本で一番になる」という思いを込めて、屋号を「東あられ」にしたそうです。

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昭和25年(1950年)頃の東あられ本鋪。

昭和に入ってから戦争があり、すべてが灰になったのちに2代目の小林美之助が再興しました。戦後の米が手に入らない時期は、ピーナッツを劇場に売るなどしてしのいでいたそうです。復興とともに百貨店に出店して拡大し、1990年頃までは炭火で焼いたおかきをメインに販売していました。

大きな転機となったのが、1990年に全日空さんの機内食に1袋で7種類の味が楽しめる「東一福」を入れていただいたことです。これが爆発的な人気を得たため、主力製品を炭火焼きから「東一福」に切り替えて売り出しました。

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エアラインのお客様にも好評を博した「東一福」。

その後は時代の流れとともに百貨店で採算が取れなくなってきたため退店し、直営店やスーパーへの卸し、OEMなどに絞って事業を継続しています。

―時代によって変革がありつつ、創業当時から変わらず米菓の製造販売を手がけるうえで、大切なこととは?

小林 製造業として持ち続けている理念は、「老舗は常に新しい」というものです。当社が老舗と呼ばれるのは単に古いからではなく、そのつど新しいことに取り組みながら今も生き続けているからこそではないでしょうか。常に流行に流されず、なおかつ新しいことを知っていくという「不易流行」と「温故知新」の姿勢で商品を作り続けています。

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創業当時から変わらない場所に建つ東あられ本鋪両国本店。

また、私の父である前社長は、「おいしいお菓子を通じて幸せを」という理念を掲げていました。私はそこから一歩前進させ、「おいしい米菓づくりを通じて従業員に幸せを、お客様の豊かなライフスタイルづくりへ貢献する企業を目指します」としています。おかきの原材料であるお米は、日本人を育んできたもの、すなわち健康を作ってきたものです。「釜処 桝恵美」という新ブランドを立ち上げた根底には、東あられが100年続けてこられたなかで醸成された理念や文化を、米菓を通じて届けていきたいという思いがあります。

さらに「釜処 桝恵美」には、「つなぐ、つむぐ」というコンセプトも掲げました。お米の生産者と消費者、米菓をギフトとして贈る人と贈られる人の心をつなぎ、ご縁をつむぎ続けていけるようにという願いを込めています。

―今回ご紹介する新ブランドのおかき「釜処 桝恵美」について教えてください。

小林 2020年に代替わりした際、創業者である「小林桝恵美」の名前を使った商品を復活させたいと考えました。おかきはそもそも、神様にお供えした鏡餅を砕いた「かきもち」を皆で分けて食べたことから生まれたといわれています。原材料のよさを生かしつつ、おかきの語源である「神様に祝福されたものを分配する」という意味を体現し、なおかつ創業者の「おいしい米菓を作ってみんなに喜んでもらいたい」という思いも伝えたい。そのためにはどういった製品を作ればいいのかと考えたとき、健康要素もプラスして原材料に東洋ライスさんの「金芽米」を業界で初めて取り入れ、「釜処 桝恵美」をリリースしました。

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歴史と思いが結びついて誕生した「釜処 桝恵美」。

―金芽米とはどういったものなのでしょうか。

小林 金芽米は、お米の栄養とうま味が詰まっている亜糊粉層(あこふんそう)という部分を残す精米方法です。「釜処 桝恵美」のおかきには、山形県の契約農家さんが生産した「ヒメノモチ」というもち米の金芽米を使用しています。

―こだわりはおいしさだけでないのですね?

小林 「釜処 桝恵美」を開発した背景には、手軽に炭水化物と栄養をとれる製品にしたいという気持ちもありました。炭水化物は体を作るために欠かせないものですが、昨今では避けられる風潮があります。そういった時代の流れを受け、市場には同業他社が作ったプロテイン入りの米菓なども登場していますが、私はお米本来のよさをストレートに出したいと考えました。そんなときに展示会で東洋ライスさんの話を聞く機会があり、「お米を通じて国民の健康に貢献したい」という思いに興味を持ったという経緯があります。

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お米の風味と栄養が生きている「釜処 桝恵美」の豆おかき。

―原材料に金芽米を使うことでどのような違いが出るのでしょうか。

小林 同業他社の類似製品と比較してデータ化してもらったところ、食べたときに感じるお米の香りが約2倍、うま味成分が約1.7倍という数値が出ています。分析では、原材料に金芽米を使ったことに加え、当社の焼き方の特徴もあってこういった結果になったのではないかということでした。

―そもそもの精米方法が違うと、おかきの香りや味が変わるのですね。

小林 はい、こっそり食べても香りが残るので隠せません。

―「北斎シリーズ」についてもお伺いします。こちらはいつ頃から販売されているのでしょうか。

小林 発売したのは20年近く前のことで、元々は「揚げおかき」という名前で売っていました。両国本店の周辺は葛飾北斎生誕の地といわれ、店舗が建つ通りも「北斎通り」といいます。そこに墨田区を北斎生誕の地として盛り上げたいという気運もあったことから、「北斎揚げ」という名前にして売り出しました。

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揚げおかきならではの香ばしさを感じられる「北斎揚げ」。

―北斎の浮世絵を使ったパッケージも印象に残ります。

小林 パッケージは富士山の形になっています。少し開けづらいのですが、北斎の代表作である「冨嶽三十六景」にこだわりました。おかげさまでご自宅用としてだけでなく、おみやげ用に購入してくださるお客様もいらっしゃいます。

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おみやげにしても喜ばれる富士山モチーフのパッケージ。

―北斎揚げに使っているもち米は宮城県産とのことですが、どういった特徴があるのでしょうか。

小林 揚げる際に使っている米油はうま味が強いのが特徴で、それに合うもち米ということで宮城県産の「みやこがねもち」を採用し、手揚げしています。

―手揚げですと量産は難しそうですね。

小林 1度に揚げられるのが生地にして700gほどですので、量産はできません。熟練の職人がかき混ぜながら3分ほどかけて揚げることで、やわらかな食感とまろやかな口どけを実現しています。

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職人の手で揚げられている「北斎揚げ」。

―東あられ本鋪の製品をどんなときに食べてもらいたいとお考えですか。

小林 どんなときでも構いません。人生のステージによって必要な品物は変わっていくものですから。若い方にはゴーダチーズ味やペペロンチーノ味など、既存の概念にとらわれないおかきを楽しんでいただければうれしく思います。いずれ社会的な立場が上がり、お使いものが必要になったときには、東あられのギフト向け製品を使っていただきたいです。根底には「どんなシーンでも米菓を楽しんでいただきたい」という思いがあります。

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バジル味やペペロンチーニ味などがある新しいスタイルのおかき。

―お客様の声で印象に残っているものがあれば教えてください。

小林 毎年10月に新米を使ったおかきを出しているのですが、発売に合わせて工場の直売店で「新米おかきフェア」を開催しました。そこに来てくださったお客様が、「友だちからもらった新米のおかきがとってもおいしく、感動しました。調べたらフェアがあると分かり、宿を取ってきました」と言ってくださいました。ほかにも「人生で初めて、あられやおかきはこんなにもおいしいんだと感じました」というお声もいただけて、嬉しかったです。

―新米は炊いて食べると古米との違いがよく分かりますが、おかきにしても違うのでしょうか。

小林 はい、まったく違います。新米のもち米を蒸して杵でつき、餅からおかきにすることで、やわらかくふっくらとした味わいを楽しんでいただけます。

―最後にこれからの展望をお聞かせください。

小林 今後は契約農家さんとの取引量を増やし、日本農業に貢献していきたいと思っています。ただ、現在の企業規模や商品ではまだまだ足りません。そのため米菓という枠にとらわれず、最近注目されている米粉などを使った商品にも挑戦し、拡大していきたいと考えています。

―楽しみです。本日はありがとうございました。

「桝恵美のおか㐂 繋ぐ-15袋入-」(豆おかき・潮おかき・胡麻おかき・玄米おかき・海老おかき各3袋)

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価格:¥1,242(税込)
店名:東あられ本鋪【公式通販】
電話:0120-082-129(9:00~17:00土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.azuma-arare.co.jp/SHOP/15106.html
オンラインショップ:https://kamadokoro-masuemi.jp/

「北斎揚げ 冨嶽化粧箱詰合せ」(3袋/北斎揚げ和風カレー75g・北斎揚げ塩75g・北斎揚げ醤油80g)

「北斎揚げ 冨嶽化粧箱詰合せ」(3袋/北斎揚げ和風カレー75g・北斎揚げ塩75g・北斎揚げ醤油80g)
価格:¥1,599(税込)
店名:東あられ本鋪【公式通販】
電話:0120-082-129(9:00~17:00土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.azuma-arare.co.jp/SHOP/13005.html
オンラインショップ:https://www.azuma-arare.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小林宏太郎(株式会社東あられ本鋪 代表取締役社長)

1981年東京生まれ。明治大学卒業後、1年間外部での修業期間を経て2006年に株式会社東あられ本鋪へ入社。2021年に同社代表取締役社長に就任。趣味はスパルタンレース。

<文/坂見亜文子 MC/澤水拳太 画像協力/東あられ本鋪>

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