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歯触りのいいわかめに、しそとごまが香る最高のご飯のおとも「しそわかめ」

2024/01/04

今回、編集長アッキーが注目した、山陰地方の昔ながらの食文化をソフトふりかけにした「しそわかめ」は、ほどよい塩味と独特のソフトな食感が人気で、リピーターを産み出し続けています。この商品を製造販売しているのが、山口県萩市に店を構える株式会社井上商店。創業150年を超える老舗の味を守りながら、地域や商品のファンに応えていきたいと語る代表取締役社長の井上光治氏に、取材陣が伺いました。

株式会社井上商店 代表取締役社長の井上光治氏
株式会社井上商店 代表取締役社長の井上光治氏

―創業150年を超える老舗だとお聞きしました。

井上 山口県萩地方で約150年前から商売をしております。海藻や海苔などの海産物を中心とした乾物やご飯のおとも、珍味などを開発・販売してきました。私は3代目の社長に就任して5年ほど経ちますが、小さい頃から家業の中で育ってきました。

―しそわかめはどのように誕生したのですか。

井上 そもそも、しそわかめのようなソフトふりかけは、この商品の発売前までほとんど市場になかったんです。水分を持った食材を程よく乾燥させるのが難しいんですよ。私の祖父と父が1975年頃から開発を始め、5年後の1980年に世に出しました。だからしそわかめは、ソフトふりかけの元祖といっても良いかもしれません。

もともと萩地方には、漁師がわかめを干して細かく刻み、ご飯に混ぜて食べる習慣がありました。この食文化をそのまま生かし、しそを加えて商品化したのがしそわかめです。地元では馴染みのある味・食感ですぐに売れたのですが、関東でも売ろうとして非常に苦労したと聞いています。「ご飯と一緒に食べてもらえばおいしさがわかる」と米を炊いて炊飯器を持って各店へ営業にまわっていたというから、頭が下がります。

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白米との相性は抜群。

―40年間、味は変わっていないのですか。

井上 お客様の声に合わせて、少しずつ塩辛さや柔らかさなどを調整してきました。開発当初はもっと硬くてしょっぱかったようです。実は最近復刻版(復刻版しそわかめ1980)を販売し、当時の歯応えのある味も楽しめるようになりました。レシピなどは一切残っていなかったのですが、当時の工場長の記憶を頼りに乾燥度などを再現しました。原料の仕入れのために産地にも赴いたのですが、漁師さんから父の話など昔の思い出話も聞けて、当店の歴史を思い返しました。

商品を発売すると、長く買ってくださっているお客様から「当時の味だ!」といううれしい反響もいただきました。40年前なので「おじいちゃんやおばあちゃんがおにぎりにしてくれたことを思い出す」なんていう素敵な話もいただきました。お客様の思い出の味になっていることに感動を覚えます。

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復刻版は現在の商品よりも塩辛く、硬めの食感。

―お客様の声を大切にされているんですね。

井上 復刻版を喜んでくださるお客様のように、長く買ってくださっているお客様がたくさんいます。コロナ禍を経て、こうした上得意のお客様をもっと大切にしたいと思うようになりました。当社も例に漏れず、新型コロナウィルスの大流行の中で、売上が大きく低迷し非常に苦しい状況が続いたのですが、一定の売上だけは維持できていたんです。

そこで、変わらず支持し続けてくださるお客様のありがたさを再認識したんです。営業スタッフには、まずは地元の既存客をまわって、挨拶だけでも続けるように言いました。そこでできることはないか、小さな要望に耳を傾け続けようと思いました。

―地域に根ざした活動への取り組みは?

井上 地域あっての当店ですから、何らかの形で貢献できないかといつも模索しています。2000年代初頭からコロナ禍以前は、地元の高校とコラボレーションもしていました。課題解決型の授業のなかで、当店と一緒に市場調査からマーケティング、試作、パッケージや価格設定、販売に至るまでを体験し、出来上がった商品をイベントなどで販売しました。

1年ほどかけてじっくり作り上げるので、学生さんは、ものづくりを学ぶことはもちろん、お金の価値や礼儀の大切さなどを実感できたのではないかと思います。実はここで授業を体験した学生が、その後当店へ入社した例もあるんです。地域の学校と良い関係が築けており、リクルート面でも繋がりが続いています。また、この授業を体験することで、商品のファンになってくれることもうれしいですね。地元の地道なファン作りにも一役買っていると思います。

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毎日の食卓で、復刻版と食べ比べるのも楽しい。

―一方で海外展開にも積極的ですね。

井上 語学などに強い人材を迎えて、10年以上地道にやってきました。中国、アメリカ、台湾、シンガポールなど、17カ国へ展開しています。日本酒や嗜好品と比べて単価が低いので、どんどん食べてもらって、食文化として浸透させたいという野望があります。短期的な結果を求めず、じっくりゆっくりと、ふりかけやしそわかめやの文化が定着すると良いなと思っています。

―今後の展望をお聞かせください。

井上 先日、民放の朝の情報番組でしそわかめが紹介されました。有名女性キャスターがおいしそうに食べてくださって、そのおかげなのか、売上が伸びたんです。一般的には、景気が悪化したり消費が冷え込んだりすると、ふりかけの消費量が伸びます。おかずの代わりとして重宝されたり、お弁当を持参する人が増えたりするからでしょう。直近の売れ行き好調はどちらが理由なのかわかりませんが、ありがたくうれしいことです。

この好調にあぐらをかかずに、長年のファンをがっかりさせない、衛生的で安心でおいしい商品を提供し続けたいです。そのためには、まずはお客様の要望に耳を傾けること、そしてその上で新しい販路の開拓などもできると良いなと思っています。実は一部地域のコンビニ販売なども計画中です。これまでの歴史を振り返って自分たちの強みを改めて再認識しながら、変わるべきことと、変わらずにいるべきことを見据えて、おいしいものを作り続けていきたいですね。

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お弁当にもぴったりの味わいと彩り。

―最後に、社長おすすめのしそわかめの食べ方があれば、教えてください。

井上 納豆に入れて食べています。お醤油やタレの代わりに、しそわかめを入れるとちょうどいい塩味と食感になります。毎日納豆を食べている方でも、味に変化が出て良いと思います。おすすめです。

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納豆の味変にも最適。

―簡単でおいしそうですね!本日は貴重なお話をありがとうございました。

「しそわかめ」(約80g)

「しそわかめ」(約80g)
価格:¥432(税込)
店名:萩・井上ウェブショップ
電話:0838-22-0812(9:00~17:00 月〜金曜日)
定休日:土日祝日、年末年始、夏季特別休業日
商品URL:https://webshop.hagiinoue.co.jp/i/161104
オンラインショップ:https://webshop.hagiinoue.co.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
井上光治(株式会社井上商店 代表取締役社長)

1975年山口県萩市にて井上商店現会長の井上伊三郎の長男として生まれる。
地元の高校を卒業後進学、在学中にカナダ留学し語学・経営学を学ぶ。
2000年家業である井上商店に入社、その後父の後を継ぎ2018年代表取締役社長に就任。
目まぐるしく推移する市場の動向を的確にとらえ、より安全で安心して選んでもらえる食品をお届けしたいと常に心掛けている。

<文・撮影/鈴木満優子 MC/伊藤マヤ 画像協力/井上商店>

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