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ふっくら、もっちり大粒の丹波黒をつややかに仕上げた「丹波黒大豆煮豆」素材をいかした上品な甘さが◎

2023/12/27

新年を迎えるにあたり、お正月の食卓にふさわしい食材を探し求めていた編集長アッキー。出合ったのは大粒の丹波黒豆を使った黒豆煮。ふっくらつややかで美しく、ひと口食べると上品な甘さが広がります。手掛けるのは地元・丹波篠山で黒豆とともに歴史を歩んできた黒豆の老舗「小田垣商店」。代表取締役社長の小田垣昇氏に黒豆や商品にかける想いを伺ってきました。

株式会社小田垣商店 代表取締役社長の小田垣昇氏
株式会社小田垣商店 代表取締役社長の小田垣昇氏

―小田垣商店さんは、300年近くもの歴史があるそうですね。社長で何代目なのでしょうか?

小田垣 1734年の創業から数えて12代目です。実際はもう少し古くからやっていたようですが、残っているなかで最も古い記録が1734年ですので、その年を創業年としています。

―創業からの歩みをお聞かせください。

小田垣 創業当時は金物商を営んでおりまして、1868年に現在の当店の前身となる種苗商に転業しました。江戸時代が終わり、年号が明治に改められた頃のことです。時代の流れとともに、鋳物でやっていくのはなかなか厳しくなっていたようで。これからどう生き長らえていくかを考えるなかで思い至ったのが、さまざまな農作物を育む上で一番大切なものは“タネ(種)”であるということ。そこから地元の農家さんにタネを販売する種苗商になったのだと聞いています。

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丹波篠山は、山々に囲まれた自然豊かな土地。
盆地特有の寒暖差が激しい気候と、肥沃な大地によって美味しい黒豆が育まれる。

―その頃から黒豆を取り扱っていたのですか?

小田垣 いえ、当時は野菜のタネを中心に扱っていました。今でこそ全国の皆さんに丹波黒豆の良さ、美味しさを知っていただいていますが、当時は地元でもほとんど知られていなかったんです。その頃、私たちのいる丹波篠山市は多紀郡と呼ばれていて篠山町、城北村、日置村、南河内村等、14カ町村で構成されていました。黒豆を栽培していたのはそのなかでもごく一部、南河内村の川北地区や日置村くらいで。栽培といっても当時は稲作が推奨されていましたので、畔豆(田んぼの畔で栽培する大豆)です。収穫量もわずかでした。

その黒豆の存在を農家さんとのお付き合いを通して知り、こんなに素晴らしいものが知られていないのはもったいないと思ったんです。それでタネ屋の仕事のひとつとして、地元の農家さんへ黒豆をタネとして紹介して、栽培方法を教え、収穫された黒豆を集荷・選別して売り出したというのが黒豆屋としての原点です。

―栽培方法のレクチャーや収穫した黒豆の買い取りもされていたんですか。

小田垣 そうなんです。その頃、黒豆は作っても売り先がない状況でしたので、「収穫したものは全量買い取るから作ってみませんか」と農家さんに声を掛けていました。作ってもらったものを買い取って、そのなかから優良な豆を選抜して残していくということを何世代にもわたって繰り返し、今日の黒豆にまで育て上げました。

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丹波地方発祥の品種「丹波黒」は、何と言っても粒が大きく、ふっくらもっちりした食感が特徴。
甘く風味豊かな味わいが非常に美味。

―今では全国的に有名な丹波黒。その背景には小田垣商店さんと農家さんのたゆまぬ努力があったのですね。

小田垣 先人の知恵と努力の結晶です。丹波黒は普通の黒豆と比べると10倍近くの手間暇がかかるんです。一般的な大豆や黒豆は、種蒔きから収穫まですべて機械化されていますが、丹波黒は栽培工程のほとんどを人の手に頼っています。種を蒔き、ある程度大きく育ってきたら根元に土を寄せていく。丹波篠山は台風がよく来るので、風雨で倒れてしまわないよう杭を打って紐を張る。秋になったら葉を手で押して枯れ上がりを促し、葉が落ちて茎や莢が乾燥したら、大きなハサミで一株一株刈って収穫しています。

生産者さんたちが「黒豆じゃなくて“くろうまめ(苦労豆)”や」って言うくらい大変手間のかかる作物で、同じ面積で栽培しても丹波黒の収量は普通の黒豆の半分以下です。それでもやっぱり多くの方に美味しいと言っていただけるので、収量が少なくても皆さん頑張って作り続けてくださっています。

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ふっくら、つややかな「丹波黒大豆煮豆」。すっきりとした上品な甘さが、黒豆の味わいを引き立てる。

―手間暇がかかっているからこその美味しさなのですね。

小田垣 美味しさの理由は、開花から成熟するまでの生育期間も関係しています。一般的な黒豆が開花から約70日で成熟するのに対し、丹波黒は極晩生で1.5倍の約100日かかります。その間に十分な養分が蓄えられて、すごく大粒のふっくらした豆に育つんです。ですので、早くに枯れてしまったものは、丹波黒でも食感がさっくりしています。

そういった見た目には分からないような品質の悪い豆が出ることもあるので、入荷した黒豆はすべて熟達した職人が手で触れたり、音を聞いたりして品質を見極めています。それをさらに粒の形や色合いの美しさ、粒の大きさ等を基準に、一粒一粒手撰りで良質の豆を選び抜いて商品にしています。

―「丹波黒大豆煮豆」にもそうして選別された黒豆が使われているのですね。製法へのこだわりは?

小田垣 「丹波黒大豆煮豆」に使用しているのは、当店でも最高品質の「飛切極上」クラスを含む大粒サイズです。丹波黒は非常に食感が良いのですが、その理由のひとつが皮の薄さ。皮が薄いということは破れやすさに繋がりますので、豆を煮るときに急激に火力を高めないよう時間をかけて作っています。商品作りにおいて我々がこだわっているのは“いかに素材の良さを出すか”ということ。黒豆以外に使用しているのは砂糖と塩だけとごくシンプルなレシピですが、丹波黒の味わいを最大限に引き出すために原材料の配分を変え、何度も何度も試作を重ねて納得のいく味わいに仕上げています。

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黒豆煮は、汁気を切ってホットケーキなどのお菓子の生地に混ぜるのもおすすめ。

―2021年にはショップ兼カフェ「小田垣豆堂」をオープンされたとか。

小田垣 そうなんです。古くからこの地に伝わる黒豆を未来に繋いでいきたいという思いがありまして。若い方たちに丹波黒豆の物語や素材としての素晴らしさを知っていただき、ファンになってほしい。そのために、気軽に黒豆の美味しさを知っていただける場を作りたいと、これまで大切に残してきた建物を改修して「小田垣豆堂」としてリニューアルオープンしました。

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高い天井と太い梁をいかしたカフェ店内。
黒豆、栗、大納言小豆を使ったスイーツなど、地元・丹波篠山産の素材をいかしたメニューが並ぶ。

―かなり古い建物だそうですね。

小田垣 江戸後期から大正初期にかけて建てられたもので、昭和時代から我々が黒豆屋としてのショップや作業場として使っていました。敷地内にある10棟の建物は国の登録有形文化財や、日本遺産の構成文化財として登録されています。

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ショップスペースでは乾燥豆や煮豆のほか、甘納豆や黒豆をチョコレートでコーティングした豆菓子なども販売。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

小田垣 丹波黒は、素材としてすごく美味しくて体にも良いものですので、お正月だけでなく日頃から召し上がっていただきたいと思っているんです。黒豆を炊き込んだ“黒豆ごはん”なんかも、すごく美味しいんですよ。そういうものを簡単に作って召し上がっていただける商品を色々な取引先とタッグを組んで開発し、皆さんにご提案していきたいです。

―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

「丹波黒大豆煮豆 大」(固形量260g)

「丹波黒大豆煮豆 大」(固形量260g)
価格:¥1,836(税込)
店名:小田垣商店
電話:079-552-0011/079-552-5371(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://odagaki.shop/item/KUROMAMENIMAME1.html
オンラインショップ:https://odagaki.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小田垣昇(株式会社小田垣商店 代表取締役社長)

1970年兵庫県多紀郡篠山町(現:丹波篠山市)生まれ。横浜市立大学卒業後、食材を扱う商社に入社。97年にアメリカへ留学し、UCLAビジネスコース修了後、小田垣商店に入店し、2019年より代表取締役社長に就任。篠山ロータリークラブや神戸経済同友会等に所属し、丹波篠山国際博実行委員会実行委員長として地域活動に貢献している。

<取材・文・撮影/野村枝里奈 画像協力/小田垣商店>

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