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フルーツの味と香りが詰まったパン、 神戸ベル「フルーツレディー」と こだわりの塊「チーズ センシス」

2022/08/16

1868年の開港以来、西洋文化や舶来品の玄関口となった神戸。今回、編集長アッキーが気になったのは、その神戸の地で95年間、パンと洋菓子の製造販売を手がけてきた「神戸ベル」。戦災も震災も乗り越え、神戸の人々に愛され続けている秘密とは?株式会社ベル代表取締役社長の東中弘丞氏にお話を伺いました。

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株式会社ベル 代表取締役社長 東中弘丞(とうなかひろすけ)氏。

創業のきっかけをお聞かせください。

東中 創業したのは私の祖父、東中清一です。祖父の出身は和歌山なのですが、自分で何か仕事を始めようと大阪へ出て、東京・木村家さんから暖簾分けした「東京木村家」というお店でパン作りを学びました。その後、故郷に戻ってパン屋を開いたそうです。物珍しさも手伝ってパンの売れ行きはよかったようですが、もう少し大きな商売をしたいと考えた祖父は、神戸・三宮へ。修行先のお店の名前をいただいて「東京木村家」として、パンと洋菓子の製造販売、そして喫茶店の営業を始めました。1927年のことです。

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昭和10年頃(1935年)。立派な看板、店構え。

戦災に遭われたとうかがいました。

東中 神戸も激しい空襲を受け、弊社もすべての施設を失ったと聞いています。しかし、再び立ち上がった神戸の人たちとともに祖父も事業を再建、1947年に営業を開始するとともに、フランス菓子の製造販売もスタートしました。

再建しただけでなく、新たな事業も始められたなんて。素晴らしいガッツですね。

東中 再生していく神戸にあって、祖父も期するところがあったのでしょう。神戸は外国文化が根付いているところなので、パンだけでなく洋菓子にも力を入れようと。技術者をヨーロッパから招いて技術指導を受けるなどして、本場のフランス菓子の味を追求し続けました。その流れでお店の名前も、フランス語で「美しい」という意味の「ベル」に変えたのです。

「ベル」は、「鈴」ではなく「美しい」を意味しているのですか!

東中 そうなのです。「鈴」だと思っている方も多いかもしれませんが(笑)。美しい神戸の町で商いをする者として、商品はもちろんのこと、接客サービス、そして企業姿勢も美しくあろうという祖父、そして2代目である私の父の強い思いがあったようです。

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華やかな雰囲気。思わず立ち止まる人も。
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ショーケースの中には、いろいろなケーキが。

御社のカフェも人気とのこと。パンやスイーツだけでなくお食事もできるそうですね。

東中 本来なら、パンと洋菓子だけに絞ればいいのかもしれませんが、カフェをご利用くださっている方から「食事もできたら」とのお声をいただきまして。ありがたいことに、毎日ご来店くださるお客さまもいらして、「○○はないですか?」「次は△△を」というリクエストにお応えするうち、お食事のメニューも増えていったという具合です。弊社はお客様にくつろいでいただける場所をお預かりしている以上、ご要望にはお応えするという責任がありますから。

ユーザーとして、それはうれしいですね。毎日通う方がいらっしゃるのにも納得です。さて、カフェと同様、根強い人気で30余年にわたるロングセラー商品が、フルーツたっぷりの「フルーツレディー」ですね。

東中 はい。フルーツレディーは、オレンジ、りんご、チェリー、レーズンといった4種類のドライフルーツをたっぷり生地に混ぜ込んだパンです。弊社はパン屋であり洋菓子店でもあるのだから「両方のいいとこどりをした商品を」ということで生まれたものです。作り始めた1980年代当初は、甘いパンとしてはアンパンやジャムパン、クリームパンなどがありましたが、ドライフルーツが入っているものはまだ珍しく、みなさんによろこんでいただきました。震災後、一時製造を中止しましたが、お客様からご要望をいただいて製造を再開し、今に至ります。

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看板商品「フルーツレディー」は
第25回全国菓子大博覧会農林水産大臣賞受賞、
「神戸セレクション2019」認定。
サイズをスマホと比べてみました。大きい!

まずは、大きさにびっくり! 顔の2倍はあるんじゃないでしょうか。そして、外見からするとずっしり重いのでは思いきや、軽い。それもそのはずで、切ってみると中の生地はふわっふわですね。フルーツの甘い香りも、ふわーっと立って。

東中 フルーツが入ったタイプのパンの多くは、フルーツの量が粉に対して20〜30%程度ですが、フルーツレディーは粉に対して50%の量のフルーツを混ぜ込んでいます。

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パッと見は、どっしりしたハード系のパンのようですが……
中の生地はふわっふわ。
フルーツの、甘い香りが鼻をくすぐります。
こんなにたくさんフルーツが入っていながら、
パンの表面はすべすべ。

フルーツがそんなにたっぷり入っているのに、パンの表面はすべすべです。

東中 よく気づいてくださいました。フルーツたっぷりのパン生地を、もう一重、パン生地で包んで焼いているんです。そうすることで、フルーツの香りと味を閉じ込めるだけでなく、表面に出ている混ぜ込んだフルーツが焦げるのを防ぎます。手間はかかりますが、おいしさには代えられません。

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まずはそのまま。クリームチーズをつけていただきます。
フルーツの甘みが、クリームチーズの酸味でさわやかに。
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1cmくらいの厚さにスライスしてトーストすると、
表面がカリッとしてフルーツ生地はよりふわふわに。
シナモンが香ります。
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東中社長のオススメは、
チーズやスクランブルエッグなどで塩味をプラスする食べ方。
左から、かりかりベーコン&カッテージチーズ、
スクランブルエッグ、ブルーチーズ&メイプルシロップ。
たしかに、甘みと塩味の組み合わせ、おいしいです!

フルーツレディーが長く愛され続けている理由がわかったような気がします。手間だけでなく、職人のみなさんには高い技も求められますね。

東中 はい。ですから、技の継承は弊社の大きな課題の1つです。そこで、パンや洋菓子の「本当のおいしさ」を追求するべく、新たに「THE KOBE BELLE」を立ち上げました。職人たちが研鑽し、培ってきた技術で、こだわり抜いた素材を使ってパンや洋菓子を作る。そうすることで「本当のおいしさ」をお客様にお届けでき、ひいてはそれが職人たちの技や精神の継承につながるのではと考えています。現在、「THE KOBE BELLE」のラインナップは3点。その1つが、4層からなるチーズケーキの「CHIZ SENSES〜チーズセンシス〜 Four Layers Cheesecake」です。

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冷凍の状態で届きます。

4層からなるものを1つのチーズケーキにまとめ上げるのは、むずかしそうです。

東中 「本当においしいもの」といっても、おいしさの基準はいろいろです。チーズケーキにしても、ふわっとした軽めのタイプもおいしいですが、チーズが濃厚でどっしりしたタイプもおいしいですよね。そこで、生クリーム・レアチーズケーキ・ベイクドチーズケーキを重ね、くるみサブレをその土台としました。

こちらは冷凍の状態で届き、いただく時に解凍するわけですが、どの段階でいただくのがベストなのでしょう?

東中 個人的には半解凍がおすすめですが、アイスケーキのように冷凍のまま召し上がる方もいらっしゃいますし、完全に解凍された状態をお好みの方もいらっしゃいます。解凍する際のポイントは、10℃以下の冷蔵庫で約6時間ほどかけてゆっくり解凍すること。チーズケーキのなめらかさとくるみサブレのサクサク感とこうばしさを感じながら召し上がっていただけると思います。

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上から、生クリーム、レアチーズケーキ、
ベイクドチーズケーキ、くるみサブレ。
きれいに層が重なっています。

―「チーズセンシス」という名前の由来は?

東中 4層それぞれ、食感も香りも違いますし、くるみサブレをかんだ時のサクサクした音や4層の「見た目」の面白さも感じていただけるでしょう。つまり、ひと口食べるごとに触覚、嗅覚、聴覚、視覚といった五感が刺激される。それによって新しいおいしさの感覚を感じていただけたら、との思いから、チーズセンシス(SENSES)としました。

―パッケージも洗練されたデザインで、さすが神戸、という感じ。贈り物や手土産にしたら、先方にとてもよろこばれそうです。

東中 そう言っていただけるとうれしいですね。「THE KOBE BELLE」の商品づくりにおいて目指すところの1つは、まさにそこです。世の中にはたくさんおいしいものがあふれていて、お菓子にしてもパンにしても魅力的なものばかりですよね。その中で、いかに「大切な方への贈りもの」として選んでいただけるか。日常的にかわいがっていただけるものを作り続けることと並行して、特別感のある商品も作っていきたいと考えています。

―神戸に対する思いは、やはり強くていらっしゃるのでしょうか。

東中 これまで95年、この地で商いを続けさせていただいてきましたし、「神戸ベル」「THE KOBE BELLE」といずれの屋号でも「神戸」という名前を使わせていただいている以上、この街の素晴らしさに恥じないものを作り続けなければと思っています。生意気のようですが「神戸ベル、さすが神戸だね、おいしいね」と言っていただけるよう、社員一同、努力し続けます。

―たゆまぬ努力の先にはきっと、新たなおいしさが待っていますね。素敵なお話を、どうもありがとうございました!

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「フルーツレディー」(直径約26cm×高さ約10cm)
価格:¥1,296(税込)
店名:神戸ベル
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kobebelle.ocnk.net/product/10
オンラインショップ:https://kobebelle.ocnk.net

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「CHIZ SENSES〜チーズセンシス〜 Four Layers Cheesecake」(約165mm×64mm×45mm)
価格:¥3,500(税込)
店名:神戸ベル(THE KOBE BELLE)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kobebelle.ocnk.net/product/225
オンラインショップ:https://kobebelle.ocnk.net

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
東中弘丞(とうなかひろすけ)氏(株式会社ベル 代表取締役社長)

1967年、兵庫県神戸市出身。大学卒業後、アパレルメーカーに就職。5年間営業職に従事する。1994年、株式会社ベルに入社。2007年、40歳で3代目代表取締役に就任。2008年、全国菓子博覧会において「フルーツレディー」農林水産大臣賞受賞。2009年、洋菓子やパンの残材を利用して作る食品循環資源利用資料「エコフィード」出荷開始。食品廃棄物削減に取り組む。2019年、「神戸セレクション2019」認定。2021年、新ブランド「閃閃(シャンシャン)」「THE KOBE BELLE」を立ち上げ、自社ブランド商品を強化していく方針を打ち出す。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/隅倉さくら 画像協力/ベル>

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