
美濃和紙で編む糸「ネロ絣」と、プロ仕様の糸で紡ぐ「靴下」。アップサイクルで暮らしを豊かに。
2025/11/10
世界でも珍しい「美濃和紙」でできた特別な糸と、その糸から生まれた贅沢な靴下があるのをご存知ですか?今回、編集長のアッキーが注目したのは、「ネロ絣(絣染めの和紙混糸)」と「靴下」です。本来はアパレル業界のプロが使う「高品質な糸」を、”もったいない”という思いから「アップサイクル(廃棄物や不用品に新しいデザインやアイデアを加えて、価値の高い商品に生まれ変わらせる手法)」し、私たちの暮らしに届けてくれます。これらを生み出したのは、こだわりのものづくりで信頼される老舗企業。愛知県一宮市で100年以上続く「糸のプロフェッショナル」、株式会社滝善 代表取締役社長の滝 宏明氏に、取材陣がその取り組みと特別な商品について伺いました。

株式会社滝善 代表取締役社長 滝 宏明氏
―1923年のご創業から100年。「糸」一筋に歩んでこられた歴史についてお聞かせください。
滝 弊社は1923年(大正12年)の創業以来、一貫して「糸」の企画製造販売を手掛けてきました。主要な商品は、セーターやカーディガンなどに使われるニット用の糸です。100年の歴史が育んだ専門家集団として、「滝善に任せれば大丈夫」と業界で言われるような信頼関係を築いてきました。この「糸への深い知見」こそが、品質を裏付ける土台となっていると感じています。

尾州の地で100年。
創業時の思いを胸に、糸づくりの新たな挑戦を続けている。
―滝社長は、アメリカでファッションビジネスを学ばれたそうですね。
滝 大学2年生、20歳の時に4代目社長だった父が急逝しました。それまでは家業をあまり意識していなかったのですが、それが転機となり「父の残した会社を継承したい」という思いが芽生えました。そのために、ファッションの本場であるアメリカのデザインスクールで、商品化や販売までの一連の流れを学びました。
帰国して入社後、企画開発と並行して、イタリアの高級糸メーカーの日本代理店業務も経験しました。若い時からそういった“いい糸”に触れ、著名なブランドやデザイナーの方々と直接お話できたのは、とてもいい経験でした。この経験があったからこそ、「余った糸」を見たときに、単なる廃棄物ではなく「価値ある素材」と捉えることができたのだと思います。
―まず、御社を代表する素材でもある「ネロ絣(絣染めの和紙混糸)」について伺います。どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
滝 世界で初めて開発されたニット用の和紙糸で、美濃和紙を使っています。開発のきっかけは、昭和50年頃のユニークなひらめきでした。当時の開発部長が「麦わら帽子みたいな涼しげなセーターが作れないか?」と言い出したそうです。しかし、当時の和紙は帽子やカバンに使うようなゴワゴワしたもので、到底セーターには使えませんでした。「なければ、作ればいい」と、製紙メーカーさんと協力して「ニットにできる紙」そのものの開発からスタートしたのです。試行錯誤の末、1985年に世界で初めてニット用の美濃和紙糸として商品化に成功しました。

美濃和紙を使用した「NERO」36色のオリジナルカラーで展開。
―素材へのこだわりについてお聞かせください。
滝 「和紙の糸」と聞くと、硬そうだったり、切れてしまわないか心配とのお声をよくいただくのですが、特殊な製法で作られているため、心配はご無用です。肌触りのいい綿を、しなやかな美濃和紙で優しく包み込み、それが剥がれないようにレーヨンでカバーしているんです。ですから、和紙ならではの「軽さ」や「ふくらみ」と、綿の「柔らかさ」、そして「丈夫さ」をすべて両立させています。色合いもこだわっており、これは「かすり染め」という特殊な染め方で、4色ほどの異なる色が複雑に絡み合うように染めています。ただ編むだけで、まるで手芸上級者のような深みのある作品に仕上がりますよ。

世界初のニット用和紙糸「ネロ」。和紙31%、コットン42%、レーヨン27%で構成。
鮮やかに染まった色合いが特徴的。


原料となっている美濃和紙。
従来の和紙の常識を覆して改良された画期的な素材。
―どのようなものを作るのに適していますか? おすすめの使い方を教えてください。
滝 メインの使い方は、春夏のカーディガンや涼しげな羽織り物ですね。お客様から教えていただいたのですが、お気に入りのカチューシャにくるくる巻くだけ、キーホルダーのチャームに結ぶだけでも、素材感が際立って素敵になるそうです。僕らにはない発想で、勉強させてもらいました。まずは簡単な小物から、プロ仕様の特別な糸に触れてみていただけると嬉しいです。
―続いて「靴下」ですが、こちらは「もったいない」という思いから生まれたアップサイクル商品だそうですね。
滝 はい。弊社の本業はアパレルブランド向けの高品質な糸作りですが、その過程でどうしても「余り糸」が出てしまいます。かつては年間何千キロも焼却処分していました。環境にも良くないですし、何より「こんなにいい糸を捨てるのはもったいない」と。その思いから始まったのが、アップサイクルブランドの「Monkey YARN」です。
通常、靴下は消耗品なので、高級な糸は使いづらいんです。ですが、この靴下は「ハイブランドが使うような高級糸で、贅沢に作った」一足です。作り手の「もったいない」が、消費者の方にとっては「いい素材の靴下を、賢く手に入れられる」というメリットになっていると思います。
―靴下へのこだわりや、特徴的な点を教えてください。
滝 この靴下に使われる「ウーピー」という糸は、2回の染色工程を経て、12色もの色が複雑に絡み合った特殊なものです。そのため、編み上がった靴下は「まったく同じ色柄のものは二つとない」、一点モノの特別感があります。「今日はどの色が強く出ているかな」と選ぶ楽しみもありますね。


アップサイクルにより、贅沢な素材でつくられた靴下を手ごろに入手できるブランド「Monkey YARN」。

高級アパレルブランド向けに使われる上質な素材をアップサイクル(再利用)した糸。
豊かな色彩の組み合わせが、日常の足元に贅沢な特別感を演出する。
―お客様からの反響はいかがですか?
滝 お客様からは「履きやすい」「丈夫で破れにくい」というお声をいただきます。品質にこだわるプロが使う糸で作っている、という自信と誇りですね。シンプルなワンピースや、いつものパンツスタイルの日にこそ履いてほしいです。足元で美しい色が踊る、コーディネートの主役になります。サイズは男女兼用(24〜26cm)なので、ご主人やパートナーと色違いで揃えるのも楽しいと思います。「もったいない」から生まれたという素敵な背景は、大切な人へのちょっとしたギフトにもぴったりです。
―今後の展望についてお聞かせください。
滝 まずは、まだたくさんある「余った糸」をゼロにすること。環境配慮を徹底する企業としての責任を果たしたいです。もう一つは、私たちがいる愛知県一宮市「尾州(びしゅう)産地」の技術を未来に残すことです。ここは世界三大の毛織物産地の一つで、規模は小さくなりましたが、素晴らしい技術が今もあります。この尾州の糸作りの技術は世界に必ず通用すると確信しています。これを伝統工芸としてではなく「産業」として世界に広め、未来に残していきたいです。私たちがこの糸や靴下を手に取るという小さな選択が、環境を守り、日本の素晴らしいモノづくりを応援する、未来への一歩に繋がれば幸いです。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました!

「ネロ絣 5(絣染めの和紙混糸) 約100グラム」
価格:¥1,100(税込)
店名:MONKEY YARN
電話:0586-76-2211(10:00~17:00 土・日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/monkeyyarn/my-cy00079c.html?sc_i=shopping-pc-web-result-storesch-rsltlst-img
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/monkeyyarn/

「靴下」
価格:※詳細はオンラインショップにてご確認ください
店名:MONKEY YARN
電話:0586-76-2211(10:00~17:00 土・日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:※Yahoo!ショッピングにて順次掲載予定
オンラインショップ:https://store.shopping.yahoo.co.jp/monkeyyarn/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
滝 宏明(株式会社滝善 代表取締役社長)
1976年愛知県生まれ。中央大学を卒業後に渡米。PARSONS SCHOOL OF DESIGNにてファッションビジネスを専攻し、2003年に株式会社滝善へ入社。2020年に同社代表取締役専務に就任。2025年に代表取締役社長就任。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/滝善>




























