国産もち米と秘伝の本格醤油で作るおかき 昔ながらの「固焼き」に込めたこだわり

国産もち米と秘伝の本格醤油で作るおかき 昔ながらの「堅焼き」に込めたこだわり

2022/05/26

かじると、パリッと気持ちのいい音。そして口いっぱいに広がるもち米の旨味・甘みと醤油の香ばしい香り……。今回、アッキーが気になったのは、昭和39年創業、藤永製菓の「本格おかき」。時代を超えて幅広い年代の人たちに愛されている人気商品です。
藤永製菓の3代目となる、代表の鈴木茂氏に、変わらぬおいしさの理由と、商品づくりへのこだわりを、取材陣がお聞きしました。

藤永製菓有限会社代表の鈴木茂氏
藤永製菓有限会社代表の鈴木茂氏

—代表になられて15年目だそうですね。

鈴木 はい。弊社は58年前に私の祖父が創業しました。社名の由来は、鈴木家の家紋が逆さ藤であることから、「藤」の文字をとり、さらにこの長岡という地名の「長」を、永久に続く会社でありますようにという願いから「永」に変えてつけたそうです。
2代目である父が「本格おかき」を開発し、ヒットさせました。さらに私の代になって、「ころ助」シリーズなどを開発しています。現在は、本社近くに第3工場となる桜井工場を建設中です。

—「本格おかき」は、醤油味が香ばしくて、昔ながらの堅さも懐かしく感じました。

鈴木 ありがとうございます。「本格おかき」は、100%国産もち米と、4種類ブレンドの本格醤油だれを使用して、ひとつひとつ丁寧に焼き上げています。昔ながらの「堅焼き」のおかきですが、ファンが多く、うちのロングセラーになっています。

—いわゆる「煎餅」とはまた違った魅力がありますね。食べ応えがあります。

鈴木 煎餅は、ご飯のお米(うるち米)で作りますが、おかきやあられは餅米から作ります。お餅を乾燥させ、焼いてから醤油などで味つけをしたものです。煎餅は2日くらいでできるのですが、おかきは、お餅にしてから固めて、成形し、そこから乾燥を何度か繰り返し、それからようやく焼くことができるので、できあがるまでに7日から10日くらいかかるんです。

国産もち米と特製醤油で焼き上げた「本格おかき」。自然なひびがおいしさの秘密。
国産もち米と特製醤油で焼き上げた「本格おかき」。自然なひびがおいしさの秘密。

—ずいぶん手間暇がかかるんですね。「本格おかき」がロングセラーになった理由はどんなところでしょう。

鈴木 昔は、一般的に小さくカットしたおかきやあられが多かったのです。それを、「今までより大きいサイズで、無選別で袋に入れる」というスタイルにしたのが、当時としては画期的でした。選別していないものを入れることで、味の変化が楽しめます。なかには欠けたり、割れているのも入っているし、醤油の染み具合、ほぐれ具合、焦げ具合など、1枚1枚違うので、醤油ひと味でも飽きずに食べ続けられるのです。

—均一でないから、楽しめるんですね。

鈴木 そうです。おかきの表面には、細かいひびがありますよね。それが「ほぐれ」につながって食べやすくなりますし、細かいひびがあると醤油が染みて、よりおいしくなるんです。
一般的に売られているおかきは、あらかじめ均一に切り込みなどを入れて、ひびがうまく入るように加工されています。そのほうが失敗が少なく、コントロールしやすいのです。でもうちでは、「自然ひび」といって、乾燥させる過程で自然にお餅に入るひびや割れを、そのまま生かして作ることにこだわっています。手間はかかりますが、それが味の変化につながり、「飽きないおいしさ」につながると思っています。

網の上に手で並べ、250度でじっくり30分くらいかけて焼き上げる。
網の上に手で並べ、250度でじっくり30分くらいかけて焼き上げる。

―「自然ひび」で作るのは、どういうところが難しいのでしょうか。

鈴木 おかきの生地は人間の肌と同じように、乾燥するとかさかさしてひびが入りますが、季節やその日の温度、湿度によってひびの入り具合が変わるのです。夏だとひびが出にくいので、熱をおさえ、風を使って表面を乾かしますが、逆に冬はひびが出やすいので、すぐ温度を上げる。そこの加減が難しいのです。熟練した職人たちが、五感をフルに使いながら、愛情込めて生地の面倒をみています。人間の味覚は、焦げる寸前くらいがちょうどおいしさを感じるそうなので、そこを目指しています。

—醤油のおいしさには何か秘密があるんでしょうか。

鈴木 4種類のメーカーの醤油を自社でブレンドして、砂糖とみりんを入れて煮ているのが、おいしさの理由だと思います。1種類のしょうゆだとわかりやすい味になりますが、ブレンドすることでより深みのある味になり、まろやかさが出てくるんです。先代のときから変わらない味を守り続けています。

ひと口サイズで食べやすい「ころ助 濃い醤油味」。後引くおいしさで、ビールにもピッタリ。
ひと口サイズで食べやすい「ころ助 濃い醤油味」。後引くおいしさで、ビールにもピッタリ。

―「ころ助」はどのように開発されたのですか。

鈴木 「本格おかき」をずっと食べてこられた方も、年配になると、柔らかいものを求められるようになります。でも、うちでは「シンプルでおいしいもの」という原則はどうしてもゆずれない。そこで、「本格おかき」の基本を守りながら、食べやすい商品はできないかと考えたのが、小ぶりの一口サイズで、口当たりがサクサクの「ころ助」です。
似たような商品はあるのですが、おかきをただ小さくしただけでは、堅い食感になりやすいんです。でも「ころ助」は、食べた瞬間にサクッと口の中でほぐれるように仕上げています。詳しい製法は言えませんが、水分と焼き上がりの火の当て方、機械の回転数などを工夫しています。
さらに、スナック菓子が好きな若い人たちにもおかきを食べてもらいたいということで、マヨネーズやシーズニング系など、味のバリエーションを増やしました。添加物はできるだけ控えて、瀬戸の本塩やあらびき黒胡椒などを使っています。

サクサク感が魅力の「ほろまる」。現在は受注生産で作っている。
サクサク感が魅力の「ほろまる」。現在は受注生産で作っている。

—「ほろまる」は見た目もかわいくて、食べやすいです。

鈴木 別な商品を作る過程で、割れてしまって廃棄になるおかきがあって。「せっかく国産もち米でおいしい生地なのに、捨てるのはもったいないね」と話していたんです。それを集めて「ほろまる」を作ってみたら、今までの商品よりもほぐれがよく食べやすくて、新しいものができました。通常、こういう商品は水飴や「結着剤」で固めていますが、そういうものは使わず、圧着して固めています。この圧着の加減が難しくて、私にはできないのですが(笑)、熟練の女性職人がちょうどいい加減で加工してくれています。食品を無駄にしないというのは「SDGs」にもつながり、時代にぴったりの商品だと思っています。

―今の子どもたちは、おかきを食べる機会が減っていますね。

鈴木 うちの子は、海苔巻きおかきが大好きです。小さい子どもだって、本物のおいしさはわかるんです。でも、多量のアミノ酸で味つけされたものや、添加物で腐らないようにしたもの、噛まなくても食べられるやわらかいものばかり食べていると、本当の「おいしさ」がわからなくなってしまう。子どもたちには、できるだけシンプルで安心、安全な材料のものを食べてほしいし、噛むことの大切さも知ってほしい。おかきを、子どもの頃の「懐かしい味」として根付かせることができるように、「お菓子よりおかきがおいしい」と思ってもらえるように、私たちはもっともっと頑張らないといけないと思っています。

—店舗にはカフェも併設されていますね。

鈴木 これは専務(妻)の意見を取り入れたのですが、若い人に気軽に来てもらえるように、ということと、お客さんの声をもっと聴けるような場をつくりたいという目的があります。
お客さんから聞いたことが、次の商品の開発につながったりするので、貴重な機会だと思っています。
実はカフェの店長は、もともとお客さんとしてうちに長年通っていた人なんです。ちょうど会社を辞められるという話をきき、茶道の心得もあるということなので、ぜひやってくださいとお願いしました。
お店にも足を運んでいただけたら、「はね出し」ものもあるし、宝さがしみたいで楽しいと思いますよ。ちょっとしたおまけを差し上げたりもしています。

藤永製菓の桜井店。工場直売のお得なおかきなど、数多くの商品がある。抹茶やコーヒーがいただける茶菓処も併設。
藤永製菓の桜井店。
工場直売のお得なおかきなど、数多くの商品がある。
抹茶やコーヒーがいただける茶菓処も併設。

―今後の展望をお聞かせください。

鈴木 これからの社長の大切な仕事は「場づくり」だと思っているんです。働く人たちが楽しく、自分たちで自由に発想して、色々なものを作れる環境づくりをしていきたい。
実は、さきほどの「ほろまる」を使って、もんじゃ焼きができるんです。このアイデアを2020年末に、「圏央道の宝物グランプリ」というイベントに出展し、「アライアンス特別賞」をいただきました。
「ほろまる」のもんじゃは小麦粉を使わないので、小麦アレルギーのお子さんでも楽しめます。
新工場には、グルテンフリーの商品づくりのための研究室もつくる予定です。ほかにも、揚げるための機械を入れて、中華おこげ風の商品を作ったり、スープ事業なども考えています。
そういった新しい商品は、今後は地元の農家さんと一緒に作りあげたいと思っているんです。現在の農家さんたちは、売る場所がないとか、価格が下がってしまうなど様々な悩みを抱えています。うちは売るチャンネルは持っているので、そういう方たちともつながりながら、楽しく商品を作っていければと。
これからも「おいしいもの」という基本の部分はしっかりと守りながら、新しいことにもチャレンジしていきます。

—素晴らしいお話、ありがとうございました!

本格おかき(220g入り)

「本格おかき(220g入り)」
▶価格 ¥350(税込、送料別)
▶店名 藤永製菓
▶電話 0296-55-1235
(土・日・祝日を除く9:00~17:00)
▶定休日
インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL http://fujinaga-okaki.com/item/0105/
▶オンラインショップ http://fujinaga-okaki.com/

ころ助 (濃い醤油味、黒胡椒、七味唐辛子、マヨネーズ、カレー各130g、バジル120g入り)

「ころ助(濃い醤油味、黒胡椒、七味唐辛子、マヨネーズ、カレー各130g、バジル120g入り)」
(※左写真は40g入りの「ちびコロ」)
▶価格 ¥320(税込、送料別)
▶店名 藤永製菓
▶電話 0296-55-1235
(土・日・祝日を除く9:00~17:00)
▶定休日
インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品URL http://fujinaga-okaki.com/category/2/
▶オンラインショップ http://fujinaga-okaki.com/

<Guest’s profile>
鈴木茂氏(藤永製菓有限会社 代表)

1972年茨城県桜川市に生まれる。専門学校を卒業後、祖父の代から続くもち米を原料としたおかきを製造する藤永製菓に入社。2006年社長に就任。伝統を受け継ぎながら日々新しい商品の研究開発に励む。現在、古い倉庫を第3工場として大規模改装中。完成後は地域の農産物を活かした商品や、今までにないおかきで作るグルテンフリーのもんじゃを製造予定。

<文・撮影/臼井美伸(ペンギン企画室) MC/栗原里奈 画像協力/藤永製菓>

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