
地元を救う、うずら卵の濃厚カスタード。豊橋の老舗和菓子店が届ける「ぴよりんあん巻き」
2025/12/05
今回、編集長のアッキーが注目したのは、名古屋のスイーツキャラ「ぴよりん」とのコラボ商品、「ぴよりんあん巻き」です。一見、かわいらしいコラボ商品ですが、そのあんには地元・豊橋が生産日本一を誇る「うずら卵」が使われています。その誕生の背景には、うずら卵の需要激減という深刻な課題と「お菓子を通じて地域を支えたい」という老舗の思いがありました。愛知県に本社を構える、株式会社お亀堂 4代目代表取締役の森貴比古氏に取材陣スタッフがお話を伺いました。

株式会社お亀堂 4代目代表取締役の森貴比古氏
―まずは、御社の歴史についてお聞かせください。
森 お亀堂は、1950年(昭和25年)に、私の曽祖父がこの愛知県豊橋市で創業しました。もともと軍人だったのですが、終戦を機にお菓子屋に行き着いたと聞いています。「カメのようにゆっくりと、ただ確実に進んでいけるように」という願いを込めて「お亀堂」と名付けられました。



豊橋市内に6店舗を構える直営店。
地域に根ざした経営を続け、人々が足を運ぶ。
―ご自身は4代目でいらっしゃいますが、家業を継ぐまでは異色のキャリアを歩まれてきたそうですね。
森 はい。大学と大学院では理系で海藻の研究をしていました。卒業後は別の食品メーカーで品質保証、特に微生物の研究を担当していましたね。28歳でお亀堂に入社し、最初は工場、その後お店の店長も経験して、2023年に代表に就任。入社して感じたのは、せっかくこだわっていい原材料を使い、本当にいい商品を作っているのに、その魅力が販売員にさえ十分に伝わっていないという課題でした。そこで、大学院で培った「実験と改善を繰り返す」という研究者の視点で、それまで手薄だったSNSやホームページでの情報発信を強化したんです。コロナ禍に投稿したお団子の動画が、再生回数日本一を記録したことは、多くの方に知っていただくきっかけになりました。
―今回ご紹介いただく「ぴよりんあん巻き」も、そうした情報発信力と企画力が融合した商品だと感じます。とても愛らしい見た目ですが、開発の背景には特別な思いがあったそうですね。
森 ありがとうございます。弊社の看板商品である「あん巻き」と名古屋名物として知られるスイーツ「ぴよりん」とのコラボ商品です。

『お亀堂』の看板商品「あん巻き」は、
愛知産の小麦粉を使い、ふんわりもっちりした皮が人気。
森 通常のぴよりんは、「名古屋コーチンの卵」を使ったプリンです。それに対しこの商品は、「ぴよりんが名古屋コーチンなら、豊橋はうずら卵だ」ということで、地元・豊橋産の「うずら卵」を使ったカスタード餡にしているのが最大の特徴です。
実は、豊橋はうずら卵の生産が日本一なのですが、2024年に学校給食での事故がきっかけで需要が激減し、生産者の方が大変困っているという課題がありました。そこで、「お菓子を通じて、地元の課題を少しでも支えられないか」という思いから、この商品の開発がスタートしたんです。この商品は、ただ「かわいい」だけでなく、その「背景を知るとより意味が伝わる」ものだと思っています。おかげさまで、発売からわずか1ヶ月半で2万個以上のうずら卵を活用することができました。

お亀堂の定番「あん巻き」と「ぴよりん」がコラボレーション。
―地元の課題に向き合った結果、生まれたのですね。うずら卵を使うことで、味わいにはどのような特徴が生まれましたか?
森 「うずら卵」のおいしさを最大限に引き出すことにこだわりました。うずら卵をふんだんに使うことで、カスタードあんはとても濃厚な味わいに仕上がっています。鶏卵を使ったカスタードとはひと味違う、うずら卵ならではのコクと濃厚な風味が、あん巻きのもちもちした皮と溶け合います。
また、土台となるあん巻きの皮も、保存料や殺菌剤に頼らず、手間と工夫で仕上げるというお亀堂の基本姿勢を大切にしています。まさに「ぴよりん」と「豊橋産うずら卵」、そして「お亀堂のあん巻き」という、愛知の名物が一つになったトリプルコラボレーションです。

商品の核となる、地元愛の象徴の「うずら卵」。
この卵をふんだんに使って炊き上げた濃厚なカスタードを、
もちもちの皮が受け止める。
―その温かい思いは、お客様や地域の方にどのように届きましたか?
森 「地元の課題を支えたい」という私たちの思いに多くの方が共感してくださり、先ほどお話しした通り、1ヶ月半で2万個分以上の卵が活用されるヒット商品となりました。何より、うずら卵の生産者の方々にも喜んでいただけたのが嬉しかったですね。まさに「おいしいことで、地域を元気にする」という私たちの思いが形になった商品です。
―お亀堂の「挑戦と革新」を象徴する商品が、ほかにもあると伺いました。
森 はい、もう一つの大ヒット商品が「ブラックサンダーあん巻き」です。これも同じく、豊橋に主力工場がある有楽製菓さんとの地元企業コラボ商品になります。最大のこだわりであり、最も苦労したのは、老舗の技術が詰まった皮の「もっちり感」と、ブラックサンダーの「ザクザク感」という、相反する食感を両立させることでしたね。ブラックサンダーの食感を残すためにミキサーが使えない中、試作を何度も重ねて完成しました。

「ブラックサンダーあん巻き」は、
豊橋を代表する土産へと成長した大ヒット商品。
伝統のあん巻きに、ブラックサンダーのザクザク食感が加わった。
―地元企業同士の“遊び心”から生まれた商品ですね。「ブラックサンダーあん巻き」は、お客様の反応も大きかったそうですね。
森 おかげさまで、発売から1年半で100万個を売り上げる大ヒット商品になりました。SNSで「食感が新しい」と話題になり、それまで和菓子に馴染みの薄かった若年層のお客様にも、お亀堂を知っていただくきっかけになりました。「農林水産省食料産業局長賞」をはじめ、多くの賞もいただき、有名テレビ番組でも紹介されるなど、豊橋を代表する土産へと成長してくれました。このあん巻きは、トースターで焼いて召し上がるのもおすすめです。外はサクサク、中はもちもち、そして中のチョコが「トロ~リ」と溶け出して、食感がさらに豊かになりますよ。

表面を焼いてもおいしい。表面はサクッと、中はもちもち、
チョコレートがとろりとした食感の変化が楽しめる。
―最後に、未来のビジョンをお聞かせください。
森 私たちが目指すのは、その時代に合わせて変化させながら続けていくことです。和菓子業界のイメージにとらわれず、「古くて新しい」「ふざけてまじめ」な、今までにない斬新なお菓子屋でありたいです。
経営の軸は、一貫して「地域とともに生きる経営」です。5年後、10年後、「お亀堂が地域の誇りとなるような企業」になることを目指しています。「ぴよりんあん巻き」の背景にある思いは一度きりではなく、「規格外のイチジク」や「佃煮の調味液」を使った商品開発など、食品ロス対策にも継続して取り組んでいます。
幸いなことに、2年前に入社した新入社員が和菓子の祭典で、豊橋の特産であるエディブルフラワー(食用花)をふんだんに使った『ゆめかなう』で「農林水産大臣賞」を受賞するなど、若い世代も育ってくれています。「次の100年」に向けて、若い世代の方々や全国のお客様と、もっと面白く、持続可能につながっていきたいと考えています。

2025年第28回全国菓子大博覧会・北海道「あさひかわ菓子博2025」で
農林水産大臣賞を受賞した『ゆめかなう』。
―貴重なお話をありがとうございました。

「ぴよりんあん巻き」
価格:¥1,280(税込)
店名:お亀堂
電話:0532-45-7840(8:00~18:00 年中無休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
(常温)https://okamedo.shop-pro.jp/?pid=185018237
(冷凍)https://okamedo.shop-pro.jp/?pid=186243595
オンラインショップ:https://okamedo.jp/online-shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
森貴比古(株式会社お亀堂 代表取締役)
1985年豊橋市生まれ。2010年に神戸大学大学院 理学研究科生物学専攻を修了後、食品会社で品質保証を担当。2013年、28歳でお亀堂に入社。工場や店長を経験後、2016年に取締役就任。2023年、代表取締役に就任。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/お亀堂>




























