
オリーブ香る、絹のような喉越し。小豆島のごちそう麺「銀四郎めん(オリーブ素麺)」
2025/10/21
夏の食卓の定番として親しまれる「素麺」。しかし、その常識を覆す一品が、瀬戸内海に浮かぶオリーブの島、小豆島にあります。今回、編集長のアッキーが注目したのは、爽やかなオリーブの香りが食欲をそそる「銀四郎めん(オリーブ素麺)」です。
400年以上続く伝統の手延べ製法に、島の特産品であるオリーブを掛け合わせた、まさに“ごちそう麺”。伝統を守りながら常に新しい価値を探求し続ける作り手の想い。そのこだわりが生み出した唯一無二の味わいの秘密を、銀四郎麺業株式会社 代表取締役の三枝純氏に取材スタッフが伺いました。

銀四郎麺業株式会社 代表取締役の三枝純氏
―はじめに、銀四郎麺業の歴史や創業の経緯についてお聞かせください。
三枝 銀四郎麺業は、私の両親が1965年に創業しました。小豆島で手延べそうめんづくりが始まってから430年程経ちますが、私たちはその伝統の製法を守り続けています。創業から約60年、”本物の味”を追求する両親の想いを引き継ぎました。島の伝統産業である素麺を通して、新しい時代の麺づくりにも挑戦しています。

小豆島の豊かな自然の中で、伝統の麺づくりは受け継がれている。
―三枝社長ご自身の経歴と、社長としての歩みをお聞かせいただけますか。
三枝 私は長男として生まれましたが、子どもの頃は朝早くから働く両親の姿を見て「大変な仕事だ」と感じ、正直あまり積極的に継ぐ気にはなれませんでした。それでも大学卒業後には家業へ入りました。大きな転機は得意先の社長に勧められ、国家資格「手延べそうめん類製麺技能士」の資格を取得したことです。その際思いがけず知事賞までいただくことができました。
4年ほど前には素麺業界の現在の実態と将来を考えようと、大学院でマーケティングや経営を学び直しました。現在は息子2人も家業に入り、とても心強く思っています。伝統を重んじる私と新しい感性を持つ息子たちで力を合わせ、会社の新たな歴史を紡いでいきたいです。
―「銀四郎めん(オリーブ素麺)」は、どのようなきっかけで開発されたのでしょうか。
三枝 この商品の開発は郷土への思いから始まりました。「400年続くそうめんの伝統と、島のシンボルであるオリーブを融合させ、小豆島でしか作れない逸品を生み出したい」という思いです。
目指したのは、単にオリーブオイルを表面に塗るだけではない、本物の香りと味わいです。試行錯誤の末たどり着いたのは、島で最も歴史ある老舗のオリーブ会社「東洋オリーブ」さんの希少な“小豆島産のオリーブ果肉”を、生地に贅沢に練り込むという革新的なアイデアでした。オリーブの繊細な風味を手延べの工程で損なわないよう、練り込む量の調整が必要でしたが、職人たちの長年の勘と経験が、この挑戦を成功へと導いてくれました。

小豆島産オリーブの果肉を練り込んだ美しい麺。爽やかな香りが広がる。
―麺づくりにおけるこだわりや、他にはない独自性について教えてください。
三枝 私たちの麺づくりの根幹は、400年の伝統が息づく「手延べ技法」です。その日の天候や湿度を読み、塩加減を決める「こね」から始まり、全ての工程に職人の技が光ります。
生地を傷めないように何度も熟成を重ねながら、ゆっくりと細くしていく。その日のうちに完成させることはせず、1日13時間もの時間を2日間かけて、一本一本の麺と丁寧に向き合います。
熟成を繰り返した後に乾燥させながら麺同士がくっつかないよう、2m近く伸ばされた麺を箸で捌いていきます。この気の遠くなるような手仕事が、絹糸のような美しい輝きを生み出します。そして、なめらかでツルツルとした驚きののどごしを実現するのです。主役の小麦は中心部分のみを贅沢に使い、塩はまろやかな「伯方の塩」を厳選するなど、脇役にも一切妥協しない姿勢が、一口で違いがわかる奥深い味わいを支えています。

天候や気温、湿度を見て塩加減を決めて粉を練り込む「こね」。
一日の麺の出来が左右される重要な工程。

「箸わけ・乾燥」は、延ばし上げた麺を徐々に乾燥させながら、
くっつかないよう1本1本丁寧に箸で分ける。
―おすすめの食べ方や、アレンジレシピがあればぜひ教えてください。
三枝 「オリーブ素麺」は、まずつゆをつけずに一口召し上がってみてください。オリーブのほのかな香りと、小麦の甘みがふわりと広がります。麺そのものが持つ、豊かな風味を存分にお楽しみいただけます。
調理例として、茹でて冷水でしめた麺に、刻んだトマトと上質なオリーブオイル、塩を和えるだけの「冷製カッペリーニ風」がおすすめです。バジルや生ハムを添えれば、おもてなしにもぴったりの一皿になりますよ。ベビーリーフやルッコラと一緒に盛り付ければ、彩り豊かな「ごちそうサラダ麺」としても楽しめます。
「そうめんは夏のもの」というイメージが強いですが、私たちは一年中楽しんでいただきたいと思っています。温かいスープと合わせる「にゅうめん」も絶品ですので、ぜひ季節を問わず、皆さんの食卓で活躍させてほしいですね。


小豆島産のオリーブ果実を生地に練り込んでおり、
そのまま食べても豊かなオリーブの風味が楽しめる。
―今後の展望や、未来に向けたビジョンをお聞かせください。
三枝 ありがたいことに、この「オリーブ素麺」は2017年の「かがわ県産品コンクール」で最高賞である知事賞を受賞しました。島の玄関口にある直営のお食事処でも、大変ご好評をいただいています。
しかし、現在手延べ素麺業界は、事業承継の課題に直面しています。私たちは、ただ麺を作るだけでなく、この400年の伝統を未来に繋ぐ責任がある。そのためにも、まずは「素麺って、こんなに自由でおいしいんだ」と感じてもらえる商品を届け続けること。それが私たちの使命です。今は、手延べ製法を活かしたあらゆる手延べ麺の開発にも挑戦しているところです。これからも、伝統を守りながら新しい挑戦を続け、この素晴らしい食文化を次代に繋いでいきたいと思います。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「小豆島手延べ素麺「銀四郎めん(オリーブ素麺)」PGO」
価格:¥702(税込)
店名:銀四郎麺業Web-shop
電話:0879-62-1868(※土・日・祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.ginshiro.shop/shopdetail/000000000062/ct2/page1/brandname/
オンラインショップ:https://www.ginshiro.shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
三枝純(銀四郎麺業株式会社 代表取締役)
1964年生まれ。1987年4月に銀四郎麺業株式会社へ入社し、2003年に代表取締役に就任。小豆島伝統の手延べそうめんの味を守りつつ、業界の未来を見据えた新しい麺づくりにも挑戦を続ける。地域貢献活動として、小豆島ライオンズクラブの活動にも注力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/銀四郎麺業>




























