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そば通のお墨付き!そばの風味にとことんこだわる、南会津・奈良屋の「裁ちそば」

2023/12/21

ネットニュースやテレビで度々取り上げられ、そば通が「日本一」と唸るそばが福島県南会津にあると聞き、編集長アッキーと編集部が取材しました。南会津といえば、ネギでそばを食べることでも有名な大内宿を擁する場所。そんな山間ならではのしっかりしたそばの味を自宅で楽しめるとあって、大ヒットしている乾麺について、奈良屋9代目の猪股裕一氏にお伺いしてきました。

株式会社奈良屋 代表取締役の猪股裕一氏
株式会社奈良屋 代表取締役の猪股裕一氏

―猪股社長で9代目、宝暦年間の創業ですね?

猪股 250年も前のことなので、あまりはっきりわかっていないこともありますが、先代が残した家系図によると、私で9代目になります。宝暦4年(1754年)ごろから、この地に居を構えていたようです。
南会津のこのあたりの山ですと、ワラビなんかが採れますので、塩漬けにしたものを地方物産として関東圏へ出荷したり、「山緑(ヤマリョク)」という酒を作っていた時期もあったと聞いています。ヤマリョクを言い換えた「山六」というのはそのころの屋号で、今でもパッケージなどに記載しています。
私の記憶にあるところだと、栗を乾燥させて臼でひいたものを京都へお菓子の材料として出荷していたこともあったようですし、かいこの繭を扱っていた時期もあったと思います。

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現在のロゴデザイン。「山六」の屋号も入っている。

―麺類を主に扱われるようになったのは?

猪股 戦後、昭和22年(1947年)ごろから麺類を製造するようになりました。
元々、南会津ではそばの栽培が盛んなんですね。そばというのは、あまり肥沃な土地でなくても十分できる穀物ですから、山間で焼畑農業をしているような、この辺りでもよく採れたんです。ですから、今でこそ、そばはちょっと高級な食材のようになっていますが、この辺りではごく普段に食べるものでした。

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南会津のそば畑の様子。地元で採れたそばは、現在は高級食材になりつつある。

猪股 最初は地元に供給していたので、当然生麺でした。でも、生麺は日持ちしませんから、遠くへ持っていくために乾麺にしようということで、先代である私の父が乾麺を作り始めました。
ただ乾麺にするといっても、闇雲に乾燥させただけではボロボロに短く切れてしまったりします。じっくりゆっくり時間をかけて乾燥させなければいけません。そうすることで麺がしっかりしてきます。どうすれば美味しい乾麺にできるのか、試行錯誤の末、軌道に乗り始めたのが昭和30~40年(1955~1965年)ごろだったのかな、という感じです。

―奈良屋のそばといえばマスコミでも多く取り上げられ、そばブログ・ランキング1位になったこともありますが、どんな特徴があるのでしょうか?

猪股 高評価をいただいている要因としては、「そばらしい」ということなのかな、と思っています。つまり、うちのそばというのは、田舎そばなんです。まず、そば粉ですが、そばの実の茶色い殻を抜いた甘皮つきの中身をそのまま製粉する「挽きぐるみ」という方法をとっています。しかも、全国的にみてもかなり粗挽きです。

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挽きたての風味豊かな、自家製製粉の粗挽きそば粉にこだわっている。

猪股 乾麺のそばの色もかなり黒い方かと思います。更科そばとかだともっと白かったりしますよね。それは、そばの実の中心部分だけを使っているからです。中心部の粉だと白くてツルツルした麺ができますが、そばの風味は弱くなってしまいます。うちは甘皮まで製粉するので、そばの香りは強く出ているはずです。それで、「そばを食べた!」という感じになるのではないでしょうか。

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黒っぽい粒も見えるような力強いそばの麺。これがそば通を唸らせてきた。

―そばの太さが均一でなかったりするのは、何か理由がありますか?

猪股 この地方のさらに奥に檜枝岐村という村があるのですが、そこではそばを打つのは女性の仕事だったんです。そばがうまく打てないとお嫁にいけないと言われていました。
その村ではつなぎの小麦が手に入らないので、そば100%の十割そばなのですが、これはまず柔らかいそばがきのようなものを作って、それをつなぎにしてそばを打ちます。ただ、女性の力ですから、生地がどうしてももろくなってしまうんですね。もろいので、いわゆる生地を畳んでトントンと包丁で切る方法だとそばが割れてしまいます。
そこで、独特の切り方をします。一枚に伸ばしたものを何枚も重ねて、そのまま布を裁つようにして包丁で切っていくんです。ただ、その方法ではなかなか均一には切れませんから、麺の太さがバラバラになるのです。
このそばが「裁ちそば」と呼ばれているのを、私たちが古い文献から見つけまして、「面白い名前だね」ということで、商標登録して使わせてもらっています。

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看板商品の「裁ちそば」。麺の太さは、3.5、2.4、1.9mmの極太、乱切り。
「二八の裁ちそば」は、365日そばを食すという某歌手の方とのコラボで作った、
そば粉を八割使った贅沢な逸品。

―不揃いも特徴の一つなのですね。ご紹介いただいた「大内宿場そば」について教えてください。

猪股 挽きぐるみの自家製粉のそばを使い、つなぎに山芋を加えた乱切りそばです。会津・大内宿のちょっとしたお土産として作り、土産物屋や東京の福島アンテナショップなどに置いています。
「裁ちそば」に比べると比較的切り方にクセが少ないかもしれませんが、そば通の方にも満足のいく強いそばの香りと、冷やしても温かくしても美味しいということで、ロケットニュースさんではランキング1位をいただきました。

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江戸時代の町並みを今に残す宿場「大内宿」。30軒以上の茅葺き屋根の民家が並ぶ様子は極めて珍しく、
年間約80万人の観光客が訪れる南会津の観光地となっている。
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SNSなどで話題の「大内宿場そば」。ざるそばはもちろん、天ぷら、たぬき、なめこ、鴨せいろなど、
なんでも合うと、総合的に高評価を得ている。

―猪股社長ご自身がおすすめする、そばの食べ方はありますか?

猪股 おそばというと、ざるそばなど冷たいそばが主流かもしれませんが、南会津は豪雪地帯で寒いですから、冬は基本的には温かくして食べます。たっぷりの湯で茹でたら、必ず流水で洗って、氷水でしめてください。それからまたお湯であっためて、温かいつゆに入れます。具材は天ぷらなどでももちろんいいのですが、大内宿場といえばネギそばですから、ネギはぜひ入れてください。田舎そば風に山菜そばにするのもいいですね。私は、ネギと生卵を落としていただいたりします。

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たっぷりの山菜となめこでかけそばに。
素朴な田舎そばの味と雰囲気を、お家で楽しめることに感動。

―素朴で力強いそばの味を堪能できそうです。最後に、今後の展望についてもお聞かせください。

猪股 地元に貢献する、ということかと思います。7月7日の乾麺デーや年末などには、地元の福祉施設に麺を提供させていただいたりしています。これからも地域社会には積極的に参加していきたいですね。また、これからは若い方にも弊社の乾麺を手にとっていただけるように、パッケージや、包装紙などもこだわっております。

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パリを拠点に活動するアーティスト・フィリップ・ワイズベッカー氏による包装紙。
そば道具のデッサンがおしゃれで洗練されている。

―お話を伺って、そば愛好家をうならせる理由がわかりました。本日は、ありがとうございました。

大内宿場そば

「大内宿場そば」
価格:¥648(税込)
店名:奈良屋
電話:0120-123-045(8:00~17:00 土日・祝日・年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.naraya-soba.com/?pid=168112994
オンラインショップ:https://www.naraya-soba.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
猪股裕一(株式会社奈良屋 代表取締役)

1952年4月27日福島県生まれ。明治大学を卒業後、家業を継ぐ。福島県のそばのPRの他、南会津町観光協会会長も務め、町のイベントの企画等にも積極的に参加している。

<文・撮影/尾崎真佐子 MC/木村彩織 画像協力/奈良屋>

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