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「猫の街・尾道」の観光PRを兼ねた商品で世界進出を目指したい

2023/01/31

鰹節は古来より日本人の食事に欠かせない食材でした。とりわけ和食の要となる出汁の旨味を左右することから、世界中で注目されています。鰹節を140年に亘り商ってきた株式会社まるじょうが、2020年に発売したのが「猫節」です。尾道土産として話題を呼ぶ「猫節」の開発秘話や味わいについて、また削りたてが届く「工場直送 本枯花けずり」の風味や美味しい食べ方についても代表取締役 村上浩太郎氏にうかがいました。

株式会社まるじょう代表取締役村上浩太郎_社長_1
株式会社まるじょう 代表取締役の村上浩太郎氏

―まずは、まるじょう様の企業の歩みをお教えください。

村上 北前船が北海道から日本海、瀬戸内までの海上輸送を担っていた頃、尾道は寄港地として栄えた場所でした。弊社は、尾道のいりこ問屋「村上和兵衛商店」(1805年創業)から初代の村上政次が分家し、1884年に海産物問屋「村上政次商店」として創業しました。当初は、いりこを中心に商っていたそうです。その後、私の祖父で3代目の末男の時代に、第二次世界大戦後の食糧不足を憂い、少しでも食の充実をと花かつおの製造を始めました。1947年のことです。このときが第二の創業ともいえる時期で、現在に至っています。

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北前船の寄港地「尾道」は、鰹節など上質な海産物が集まる場所だった。

―鰹節は尾道で生産されているのでしょうか。

村上 かつて西日本では、鰹ではなく安価な鯖や鰯などを出汁用の節にしていましたが、それを初めて削ったものが「福山の削り節屋」だったそうです。初代の娘がその会社に嫁いだご縁があり、弊社でも削り節を商うようになりました。現在は、静岡県・焼津や鹿児島県・山川や枕崎で水揚げされた鰹の原料を仕入れ、弊社工場で鰹節を生産しています。

―代々継がれている社是はありますか。

村上 創業当時は、社是などはなかったのではないでしょうか。けれど、祖父の生活を見ていますと、必ず早朝から会社の掃除をしており、それを私も見習ってまいりました。現在は、「豊かな食生活の素晴らしさを子どもたちに伝える」「社員の安定した生活」の2つを経営理念にしております。企業としては収益を出して社員の生活を守ることが何より大切だと思っています。また、掃除やあいさつ、時間を守る、身の丈にあった質素倹約を社員一同、心がけております。

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「猫節」は、そのままでもフードに混ぜても、その香りに猫もメロメロ。

―「猫節」は保護団体に寄付されていますが、開発のきっかけは?

村上 社外の方から「尾道は猫の街だから、尾道と猫と鰹節のトライアングル商品を開発しては」とアイデアをいただいたのです。弊社も、観光に貢献したいと思っておりましたし、新しい商品へのチャレンジにもなる。自己負担で活動していらっしゃる保護団体のお手伝いを少しでもしたいと思い開発に踏み切りました。2020年2月22日のにゃーにゃ―にゃーの日、猫の日に発売しましたが、コロナ禍の影響もあって、観光土産としては厳しいスタートになりました。けれども、その後改良を加えて観光客がもどってきた今は、当初の10倍の数を販売できています。

―どのような改良をされたのでしょう?

村上 当初から保護猫活動をされている方にご意見をいただき、パッケージデザインには力を入れていました。実際にデザインしてくださった方も猫と暮らす方で、完成度の高いものになったと思っています。

けれど、先ほどもお話ししましたように、発売当初はコロナ禍でなかなか販売が伸びませんでした。そこで発案したのが猫の写真カードを入れることでした。カード制作にあたっては、猫写真のコンテストを行い、インスタで募集しました。多数の応募作品のなかから大賞を選んで30種のカードにしたのです。猫写真カードが話題になり、2022年2月22日のスーパー猫の日には、お土産店などに置いていただけました。

―味わいなど商品の特徴をお教えください。

村上 どの鰹節を使うかと迷ったすえ、猫に協力してもらいました(笑)。鰹、鯖、鰺など数種の節を削って、猫に食べてもらったのです。やはりというか、猫も美味しいものはよくわかるようで、1番高級な本枯節ばかり食べる。そこで、風味の高い本枯節に決めました。

ただし、猫は鰹節を食べ過ぎると尿結石になることがあるそうです。そこで塩分控えめの本枯節を加工せずそのまま削って個包装にしました。そうすることで、食べ過ぎを防げるとともに、常に新鮮な香りで残さず食べられる。そのままでもいいし、キャットフードなどに混ぜてもいい。特に食欲が落ちているようなときに鰹節を混ぜてあげると、食欲が進み体調回復にも役立ちます。

―反響はいかがでしょう。

村上 観光地の土産店など修学旅行生も訪ねる場所にも置いていただき、女子高生など若い方にも好評です。もともと若い方は鰹節をあまり買われませんが、コンセプトやパッケージもあって、若い層にも鰹節を知っていただける機会になっています。

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本枯節は、出汁をひくとよりその風味が際立つ。
お吸い物やお味噌汁に!

―工場直送の「本枯節花けずり」はどのような商品でしょう。

村上 鰹節は、コーヒーなどと同じように、削りたてが1番美味しい素材です。けれど、今の時代、家庭で削り器を用いて削る方は少なくなりました。ですから、私どもで削ってすぐに直送させていただくことを考えました。水曜日までに注文いただければ、上質な本枯節を選んで薄くふんわりと削り、金曜日に削りたての花かつおを出荷します。手間暇を惜しまず注文ごとに削ることで、最上の状態でお届けできます。今まで削りたての鰹を食べていらっしゃらなかった方からは、「これまで使っていたものとは、香りの高さがまったく違う」というお声を寄せていただいています。

―本枯節とはどのような鰹節なのでしょう。

村上 南洋で獲った鰹を、焼津、枕崎などで水揚げして加工し、燻して表面にタールが付いた状態のものが荒節です。そのタールを削って、鰹節に良い黴をつける工程を3回以上繰り返し、3ヶ月から半年ほどかけて熟成させたものが本枯節です。熟成させることで、水分を吸い上げて旨味が凝縮する。これ以上は水分がないくらいに枯れさせるので、本枯節と呼ばれるのです。見た目も綺麗で、繊細で上品な味わいです。

―「本枯節花けずり」の美味しい食べ方をお教えください

村上 出汁をひいて和食の美味しさを感じていただければ嬉しいですね。前の晩に昆布を水にひたしておいて、翌朝60℃位まで温めて昆布を取り出した後に沸騰させ、灰汁をとってから鰹節を入れて濾す。まるで料理屋のような味わいの出汁がとれ、お吸い物やお味噌汁にすると豊かな風味を味わえます。

部屋中に鰹の香りが広がって、朝から幸せな気持ちがわき活力になります。出汁をひいた後の鰹は、納豆に加えてご飯にのせて味わう。余すことなく鰹節を楽しめます。シンプルに、湯豆腐やTKG(卵かけご飯)、ほうれん草のおひたしなどにかけて、風味を堪能していただくのもいいですね。主役ではありませんが、お料理の味をひきたてる存在です。

―今後の展望をお聞かせください。

村上 上質で風味豊かな鰹節を大切にしながらも、「猫節」のような新商品も開発していきたい。尾道の特産品とのコラボレーションも考えたいですね。今後は、海外進出なども視野にいれ、「猫節」のバージョンアップにもチャレンジしてまいります。

―鰹節で出汁をとり、味わいたくなりました。素晴らしいお話をありがとうございました。

まるじょう_商品1

「猫節」(2g×5袋入)
価格:¥540(税込)
店名:尾道鰹節工房
電話:0120-46-7853(8:30~17:00 土日祝日除く)
FAXでのご注文は:0120-46-7852(24時間受付)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.e-marujo.co.jp/SHOP/7017.html
オンラインショップ: https://www.e-marujo.co.jp/

まるじょう_商品2

「工場直送 本枯花けずり」(50g×5袋)
価格:¥2,542(税込)
店名:尾道鰹節工房
電話:0120-46-7853(8:30~17:00 土日祝日除く)
FAXでのご注文は:0120-46-7852(24時間受付)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.e-marujo.co.jp/SHOP/7162.html
オンラインショップ: https://www.e-marujo.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
村上浩太郎(株式会社まるじょう 代表取締役)

1967年広島県生まれ。一橋大学卒業後、新聞社の営業局に入社し、10年間の勤務を経て2000年にまるじょうへ入社。2002年に代表取締役に就任。まるじょうは1884年創業、2024年の創業140周年に向けて新規事業を計画中。

<文・撮影/中井シノブ MC/和田英利 画像協力/まるじょう>

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