毎日使う調理器具は、使いやすいものにこだわりたいもの。編集長のアッキーによると、「最近は、少し値段が高くても、使い勝手が良く長く使えるものがいいという人も増えている」とのこと。そこで、今回、スタッフがお話を伺ったのは、ライクイット株式会社の代表取締役社長の吉川和希氏。人気商品の「米とぎにも使えるザルとボウル」「オーブンで使える鉄フライパン」を紹介します。
使いやすさをデザインした調理道具。「米とぎにも使えるザルとボウル」「オーブンで使える鉄フライパン」
2023/08/09
ライクイット株式会社 代表取締役社長の吉川和希氏(写真右)
グループ会社である 株式会社吉川国工業所 代表取締役社長の吉川利幸氏(写真左)
―ライクイット株式会社の創業の経緯は?
吉川 ライクイット株式会社は、グループ会社である株式会社吉川国工業所が製造する生活用品の、企画と販売を主事業とした販売会社です。株式会社吉川国工業所は、私の曹祖父の吉川国太郎が1932年に吉川セルロイド工業所として創業しました。その後、プラスチック製品を製造販売するようになり、1951年に社名を吉川国工業所に変更しました。今年で創業91周年になります。
ライクイットは、最初はブランド名でした。現在、吉川国工業所3代目の社長である父の吉川利幸がブランドを立ち上げ、「世界中の人に覚えてもらいたい」とライクイットと名づけました。
40年ほど前に、父がデザインしたライクイットの製品第一号であるラウンドバスケットがとてもよく売れました。さらに、そのデザイン性の高さが認められてグッドデザイン賞を受賞しました。その当時は、プラスチック製の日用品は市場で非常に安い価格で取引されておりましたが、ラウンドバスケットは、デザイン性や使いやすさにこだわって作り、適正な価格で販売し、大きな転換点になりました。そして、1986年にライクイット株式会社を創業しました。
―入社されて、すぐにデザインした商品が、グッドデザイン賞を受賞されました。
吉川 今でも販売している「水が切れるスタンドマグ」という、うがいをするときに使うコップをデザインしました。賞を受賞した時はうれしかったですが、最初からうまくいったわけではありません。最初は、紙に鉛筆でひたすらコップの絵を描く日々でした。ようやく「できた!これはいける」と思うデザインができたのですが、すでによく似た製品が商品化されており、すごくがっかりしたのと同時に、コンセプトを考えずにデザインをすると、既視感のあるものができてしまうことを痛感しました。それからは、洗いやすい、収納も兼ねられるもの、見た目が美しいなど、コップのコンセプトを徹底的に考えてデザインを構築しなおしたのです。私自身がとても勉強になった経験でした。
吉川社長がデザインし、グッドデザイン賞を受賞した
「水が切れるスタンドマグ」。
―吉川社長のもの作りの原点は?
吉川 小さい頃から、家の隣に工場がありました。また、弊社の商品がずっと身近にあったので、自然にデザインに興味が持てる環境で育ちました。デザインは、見た目だけ整えればいいわけではありません。ものには、必ず「こうあるべきだ」という核心があります。その核になる機能を作り手がきちんと理解していないと、デザインすることはできないと思っています。
例えば、今回ご紹介する「オーブンで使える鉄フライパン」は持ち手が取れるものです。でも、使っている時に、持ち手が外れてしまっては危険だしフライパンとしての機能を果たしません。通常は外れにくく、オーブン調理などの必要なときに楽に外れるにはどうしたらいいのか。ものの核心に立ち返って考えられるのは、小さい頃から、色々なデザインに触れてきたからだと思っています。
「オーブンで使える鉄フライパン」は、持ち手が取り外せるデザイン。
商品開発に1年ほどかかった、自信作です。
―「米とぎにも使えるザルとボウル」を商品開発したきっかけは?
吉川 商品開発のきっかけは、料理家の松田美智子先生より、「天然素材で編んだようなやわらかいザルをプラスチックで作れませんか?」とご相談を受けたことです。天然素材のザルはやわらかく食材を傷つけにくく使い勝手はいいのですが、カビが生えたり、傷みが早いなどの欠点があります。松田先生はやわらかく耐熱性があり、軽くて丈夫で長く使えるものを希望されました。
「米とぎにも使えるザルとボウル」はホワイト、グリーン、グレーの全3色。
キッチンに置きたくなるデザインです。
1年半ほど商品開発に費やし、やわらかさと耐熱性を再現するために、独自の樹脂の開発までしました。そして、長く使いたくなるような、シンプルで機能的なデザインのものが完成しました。
商品名にもなっているザルとボウルは、お米をとぐことを第一に考えました。お米をとぐ手の動きがしやすい直径で作業がしやすく、細長い縦スリットによって効率的に水が切れます。
お米がとぎやすいサイズは、直径23cm。
最大4カップ(800CC)のお米をとぐことができます。
―6点セットとは、どのようなものですか?
吉川 ボウルとザル、プレートは別々に購入することもできますが、ザル2種、ボウル2種、プレート2枚の6点をセットにしました。ザルとボウルで野菜を洗い、ボウルに野菜を入れてプレートをのせて使うことでそのまま冷蔵庫に保管することができます。また電子レンジで蒸し野菜を作ることも可能です。調理の時短にもなり、ラップいらずで便利です。6点はスタッキングできるので、収納に場所をとりません。忙しい方たちのごはん作りに、お役に立てると思います。
直径約23cmのザル、ボウル、プレートの6点セット。
使わない時はスタッキングできるので、コンパクトに収納できます。
ボウルに食材を入れ、プレートでフタをして冷蔵庫保管も可能。
プレートの上にものも置けます。
―「オーブンで使える鉄フライパン」を商品開発したきっかけは?
吉川 弊社は欧米など海外でも商品を販売しておりますが、日本の素晴らしい技術を世界にもっと広めたいと思うようになりました。そんな技術をお持ちの藤田金属さんと一緒に作ったのが、熱伝導性と蓄熱性に優れ、独自の焼き付け加工によって使い始めでも油馴染みが良い鉄製のフライパンです。
「オーブンで使える鉄フライパン」は、鉄の特性を活かし、
持ち手のデザインに工夫をしました。
―「オーブンで使える鉄フライパン」のこだわりは?
吉川 デザインのこだわりは、持ち手の形状や素材です。包丁などで採用される持ちやすい楕円形にし、着脱できるようにしてオーブン調理も可能に。さらに、調理中に熱くないよう木製にしました。
実は持ち手を、3Dプリンターを利用して20本くらい試作をしました。実際に握ってみて、一番握りやすいものを選んだのです。形が決まってからも、それを木で再現するのが難航。いくつもの難題を乗り越えてようやく完成しました。
持ち手が取れて、オーブンにそのまま入れることができます。
付属のスタンドで、コンロ脇に立てて収納することができます。また、スタンドの側面についている穴で、持ち手の先端のボルトをはめて回すと、ドライバーがなくても簡単に持ち手を着脱できます。
付属のスタンドを使えば、立てて収納できます。
コンロ脇のスペースを有効活用。
付属スタンドの穴に、ドライバー代わりに。
持ち手の着脱がラクにできます。
―今後のビジョンは?
吉川 今、世の中にものがあふれています。今まで通りに、ものを使い捨てしていたら、地球環境に負荷をかけることになります。吉川国工業所の社長である父は、石油由来のプラスチックを使い続けていいのかと考え、ナノサイズの植物繊維をプラスチックと複合した丈夫で軽量な新素材、セルロースナノファイバーの研究をいち早く着手しました。
私も商品開発をする上で、常に「資源循環型の社会の構築を推進していこう」と考えています。新素材の開発のほか、役目が終わった廃棄物から、素材を取り出して新しい商品を生み出すようなリサイクル事業を、今後はもっと力を入れていきたいです。
また、使う人を第一に考えたもの作りは、今後も続けていきます。「長く使える=環境にやさしい」ことになるからです。循環型社会への推進に貢献し、人々の幸せをつくりたいと思います。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました。
「米とぎにも使えるザルとボウル【6点セット】」
(ホワイト・グリーン・グレー)
価格:¥4,400(税込)
店名:ライクイット
電話:03-5812-4194(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://likestore.like-it.jp/shopdetail/000000000982
オンラインショップ:https://likestore.like-it.jp
「オーブンで使える鉄フライパン」
(26cm・スタンド付き)
価格:¥8,800(税込)
店名:ライクイット
電話:03-5812-4194(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://likestore.like-it.jp/shopdetail/000000001013
オンラインショップ:https://likestore.like-it.jp
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
吉川和希(ライクイット株式会社 代表取締役社長)
1988年奈良県葛城市生まれ。幼少期より工作が得意で入社後は製品開発を担当し、グッドデザイン賞をはじめ、国内外のデザイン賞を多数受賞。2018年に同社代表取締役社長に就任。環境に配慮した製品開発や新素材の開発など資源循環技術の研究にも注力している。
<文/大橋史子(ペンギン企画室) MC/橋本小波 画像協力/ライクイット>