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話題のクッキー缶をベストマッチの紅茶と楽しみたい「RÉGAL DE CHIHIRO(レガル・ド・チヒロ)」の「シュクレ缶」と「テ・スーペリュール」

2023/01/23

サクサク、ザックリ、ガリガリ、ホロリ……シンプルな材料から作られるクッキーで、食感や素材の感じ方がこれほど違うのかと驚かされます。缶のデザイン性はもとより、こだわりの素材で手作りされるクッキー缶、発売後瞬く間に売り切れるという人気にも納得。

今回編集長アッキーこと坂口明子が気になった株式会社タナカ 代表取締役&グランシェフの田中千尋氏に、取材陣が伺いました。

株式会社タナカ 代表取締役&グランシェフの田中千尋氏
株式会社タナカ 代表取締役&グランシェフの田中千尋氏

「カフェタナカ」創業からのあゆみをお聞かせください。

田中 名古屋で父が創業しました。当時は珍しかった自家焙煎コーヒー専門の喫茶店。愛知は「モーニング」文化が豊かで、決まった時間に決まった喫茶店で毎朝コーヒーを飲む人が多かったのですが、うちの店も多分に漏れず常連客でにぎわっていました。朝は7時から営業していて、私も学生時代は手伝ったりしていました。

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当時名古屋では珍しい自家焙煎コーヒー専門店。
毎朝常連客でにぎわう喫茶店だった。

そんな店を開いた父ですから、わが家はティータイムが1日に2回も3回もあって、私はお茶時間の幸せを肌で感じて育ちました。いつしか父のコーヒーに合う洋菓子を作りたいと思うようになり、フランス・パリに本拠地を置く料理菓子専門学校に通うことに。今度は本場の文化や素材に触れたくなり、パリに渡りました。その経験をもって「コーヒータナカ」を「カフェタナカ」にリニューアルしました。

フランスではどのような経験を?

田中 フランス菓子の歴史も伝統も進化もすべてが刺激的で、感動の連続でした。例えば、マルシェに並ぶ旬のフルーツたっぷりのタルトは、しっかりと焼き込まれ、その香り、旨味が凝縮された最高の味わいでした。

実は私は、当時日本で主流だった栗の甘露煮をペーストにした黄色いモンブランが苦手なのですが、フランスで味わったそれは全くの別物。センターに軽いメレンゲ、甘みを抑えたシャンティクリームに、バニラ風味のマロンクリームが絞ってあり、初めてモンブランをおいしいと感じました。パリのマダム達はそれにショコラショー(ホットチョコレート)を合わせてしまうのですから、もうびっくりです。

カフェタナカへのリニューアルでは、古くからのお客様を大切にしつつ、そんなフランスのカフェ文化を提案したいという想いを込めました。

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喫茶店の面影を残しながらパリの香り感じるカフェに。

具体的には?

田中 大きなところでは、まずテラス席を作りました。店内で煙草をふかしながらコーヒーを飲む常連のお客様が多い喫茶店でしたので、テラス席なんて誰が座ってくれるのかしら?と不安もありました。ですが、新聞片手にナチュラルにテラス席を利用してくださるようになり、次はご家族を連れて来てくれるようになったんですよね。

もちろん、洋菓子も。最初は私1人ですべて焼いていたので、幅120cmのとてもコンパクトなショーケースに、タルトを中心にわずか5種類からのスタートでした。

創業者である先代の意見は?

田中 反対はされませんでしたが、「自分が本当においしいと思うものを出しなさい。それも毎日。今日はあるけど明日はないというのではお客様に信用していただけない」という教えを受け、今でも大切に心に留めています。

クッキー缶誕生の背景をお聞かせください。

田中 1995年にカフェタナカへとリニューアルし洋菓子の提供を始めてから、自分の挑戦を楽しみながらお客様と一緒に成長してこられたと感じています。日本の洋菓子にも様々なブームが起こり、ある程度時代に求められるものを作る時期もありました。私は街の皆さまの「おやつ担当係」というスタンスで、いつもどんな時も、お菓子づくりに取り組み続けてきました。

そうする中で、しだいに素材に目が向くようになったのです。何気なく使っていたバニラは?フルーツは?カカオは?1度気になると、いてもたってもいられなくなる性質で(苦笑)、生産現場に足を運ぶようになりました。生産のプロセスや苦労、その素材を取り巻く環境や歴史まで学んでいく中で、パティシエとして地球の恵みと命を頂いていることを実感するようになり、自身の素材との向き合い方やものづくりへの考え方が変わっていきました。

素材をリスペクトすると、引き算になるんですよね。それまで、素材や技法を足したり掛けたりして作ってきたお菓子ですが、いかにそぎ落して素材をおいしくいただくか、それがパティシエとしての技術ではないかと。

そんな頃、職人さんの作る手作りのとても素敵な缶に出会いました。「RÉAL DE CHIHIRO(レガル・ド・チヒロ)」は「千尋のお気に入り」という意味。月に400缶しか作れない職人さん手作りの缶に、何を入れようかとずっと考えていました。

クッキーって、お菓子作りで最初に挑戦するものではありませんか?シンプルな材料でできるけど、実はただ混ぜればいいのではなく、とても奥が深いお菓子なんですよね。そこで、本当に良いと思う素材だけを使って自分が美味しいと思えるクッキーを作り、皆さんのティータイムのお菓子にしていただければ、との想いで作りました。

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職人さんが引退し、今はゴールドのロゴや文字が浮かび上がるレリーフ缶に。

こだわった点を教えてください。

田中 クッキーは、小麦粉とバターと砂糖をベースにナッツやスパイスを加えて作るシンプルなものですが、素材の持ち味を生かすため、状態や温度、空気のまとわせ方や焼き方など、工程の1つ1つを丁寧に大切にすることで、様々な風味や食感を出すことができるのです。どのタイミングで舌の上に華を咲かせるかをイメージしながら、1枚1枚手作りしています。

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粉のふるい方から混ぜるスピード、タイミングなどパティシエとしての技術を集結。

楽しみ方を教えてください。

田中 缶の蓋を開けた時の芳醇なバターの香り、見た目の華やかさ、味のバランス、1つ1つの香り、食感や口溶けの違いはもちろん、どれから食べようか迷う楽しみも感じていただけると思います。

おすすめというほどでもありませんが、バランスよく味わえる順番にご紹介しますね。まずはカフェタナカになった当初から焼いているクロッケ・オ・ザマンド。先代(父)も大好きで、ナッツがたっぷり入った懐かしい味わいです。ブルターニュ伝統のガレット・ブルトンヌやココナッツ生地にオレンジが優しく香るサブレ・ココで上質なバターの風味を楽しみ、カリカリ食感のクロッカン・ノワゼットカフェや、サクサク甘酸っぱいムラング・フランボワーズで小休止。カカオの味を感じるチョコレートにゲランドの塩が効いたディアマン・ショコラや、濃厚な味わいのフロランタンを最後にという流れはいかがでしょうか。

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手前右から時計回りにクロッケ・オ・ザマンド、ディアマン・ショコラ、フロランタン、
クロッカン・ノワゼットカフェ、ムラング・フランボワーズ、サブレ・ココ、ガレット・ブルトンヌ。
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生地の厚み、焼き加減なども計算し尽くされ、ほどけ具合や食感、香りの違いに驚かされる。

紅茶との相性も絶妙です。

田中 実は私は、コーヒーより紅茶派で(笑)、これまでも、紅茶における師匠的な存在でもある、オリビエ・スカラ氏の店の茶葉を自分で選んだり一緒にブレンドしたりして仕入れていました。

特にクッキーの旨みやコクといった持ち味の輪郭を際立たせる紅茶を作りたいと常々思っていて、沖縄のティーブレンダー、内田智子さん協力のもと、理想の紅茶ができたのです。ダージリン、キーマン、アッサムをメインにしたリッチなブレンドで、クッキーの甘みや脂分をリセットしながらも、心地よい余韻が残るような紅茶になったと思います。

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手軽に入れられるティーバッグタイプ。
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互いを邪魔せず、クッキー、紅茶、クッキー、紅茶とエンドレスに繰り返せそうな見事なマッチング。

今後の展望をお聞かせください。

田中 カフェタナカは、おかげさまで2023年に創業60周年を迎えます。この後は100周年を目指して、地域に愛される店として存続していたいと思っています。美味しいティータイムのためにできることを取り組んでゆきたいという想いは一貫しています。

うちのお菓子で幸せな時間を過ごしていただけたら嬉しいですね。

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こだわりの紅茶と丁寧に手作りされたクッキーで、幸せなひと時を。

2019年、アフリカ・サントメ島に「カフェタナカ 希望の有機農園」を開園しました。サントメは理想のカカオを探す中で出会った地で、ブラジルから持ち込まれたカカオを、アフリカで最初に栽培した島国です。少量ながら、原種のままの高品質なカカオが生産されていました。しかし、ポルトガルによる植民地化、奴隷制度、人種差別などの暗い歴史があり、現在も貧富の格差や人種・女性差別などの問題が多々。私たちの農園でサントメ・カカオの原種を守り、現地で働く女性を支援し、おいしいショコラを作ることでお客様に喜んでいただく好循環をつくりたいと思っています。

最近、私の原点であるタルトづくりに再び注力しています。フルーツの最盛期には生産者さんのところへ摘果のお手伝いにも行きます。すると、気候変動の影響を大きく受けていることを実感するんですよね。パティシエ・ショコラティエとして、引き続き素材に感謝し、生産者と、より良い信頼関係を築きながら、持続可能なお菓子づくりを続けていきたいと思っています。

素材や生産者への尊敬の念、お菓子への並々ならぬこだわりと愛情、目の前の問題にまっすぐ向かう姿勢などをたっぷり感じられる素晴らしいお話をありがとうございました!

レガル・ド・チヒロ シュクレ缶

「レガル・ド・チヒロ シュクレ缶」
価格:¥4,995(税込)
店名:CAFÉ TANAKA(カフェタナカ)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付※クッキー缶は月に1~2回の販売で、スケジュールは、SNSで告知。
商品URL:https://cafe-tanaka.cake-cake.net/select_item.phtml?CATE3_ID=4&tag_id=3&search_type=tag_search
オンラインショップ:https://cafe-tanaka.cake-cake.net/

レガル・ド・チヒロ テ・スーペリュール

「レガル・ド・チヒロ  テ・スーペリュール」
価格:¥1,512(税込)
店名:CAFÉ TANAKA (カフェタナカ)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://cafe-tanaka.cake-cake.net/select_item.phtml?CATE3_ID=66
オンラインショップ:https://cafe-tanaka.cake-cake.net/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
田中千尋(株式会社タナカ 代表取締役&グランシェフ)

創業60年を迎える名古屋の喫茶店「タナカコーヒー」に生まれ育つ。20歳で渡仏、本場フランス菓子の技術を習得。帰国後は「カフェタナカ」としてリニューアルオープン。国内外の産地に足を運び、安心・安全で体に優しいお菓子づくりに注力しながら、ティータイム文化を提案し続けている。一般社団法人愛知県洋菓子協会理事、一般社団法人全日本ヴァンドゥーズ協会副会長。

<取材・文・撮影/植松由紀子 MC/和田英利 画像協力/タナカ>

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