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ここにしかない染色技術で世界へ。若者たちが熱狂する、”持ち運べるアート”「yuhaku」のレザーグッズ

2023/01/18

2020年のコロナ禍、ブランドショップが立ち並ぶ銀座に、画廊と見紛うシックなショップが現れました。今回ご紹介する手染めレザーブランド「yuhaku(ユハク)」の旗艦店です。アッキーこと坂口明子も、そのアートのような美しい革製品に興味津々。早速、創業社長の仲垣友博氏にお話をお伺いしました。

株式会社ユハク 代表取締役 仲垣友博氏
株式会社ユハク 代表取締役 仲垣友博氏

―創業13年で銀座に進出されました。社長の出発点は?

仲垣 僕の出発点は大学を中退したときですね。建築を学んでいたのですが、絵画の道で生きていきたくて大学を辞めました。ただ、いきなり絵で食べていけるはずもなく、アルバイトをすることに。アパレルの仕事なら自分の興味関心に多少近しいかなと思ったのですが、着るものが限られてしまうのは嫌だったので、洋服ではなく靴のブランドに入りました。

半年ほど販売員をした頃、絵を描いていると知った当時の上司から、「靴のデザインを描いてみたら?」と言われて、初めてデザイン画を描きました。それが大きなきっかけです。

―どんな靴のデザインだったのでしょうか?

仲垣 今でこそ同じブランドのアイテムでトータルコーディネートできるアパレルも増えていますが、当時のアパレルブランドは靴までデザインしているところがなく、洋服に対して靴が浮いている気がしていました。それで、その当時流行っていたブーツカットや個性的な洋服に合うシューズデザインを考えました。

すぐに採用されて商品化。つま先の尖ったヒールのあるデザインが、当時“お兄系“と呼ばれたファッションを好む男性の間で大ヒットしました。有名ブランドにも真似されるほどでしたが、知名度の差で逆にこちらが「パクリだ」と言われてしまって。今は真似されるくらいがブランドなんだと思っていますが、当時はちょっと悔しい気持ちもありましたね。

―そこから独立を?

仲垣 革に携わるうちに自分で作りたくてしょうがなくなってしまったんです。友人と共同でガレージを借りて独学で靴を作っていたのですが、その頃にはもう絵を描くよりも靴を作る時間が欲しくなってしまって。

ただ、会社ではデザインから営業・出荷までの全てを担当し、自分だけで前年比2.5倍の売上を作っていたこともあり、なかなか辞められませんでした。その時友人に「お前はどうせ独立できない」と言われてしまい、それに触発されて、入社から9年で独立に至りました。そこからが僕の第2の人生です。

―独立してからは順調に成長を?

仲垣 出発時はオーダーメード中心だったのですが、素人同然だったので、すごく苦労しました。ただ、最初の3年は人の倍働けば結果は出ると思って寝ずに仕事をしました。でも、そこからはただがむしゃらにやっても芽が出ない。「なぜモノ作りをやっているのか?」を改めて自分に問い続けて、「絵画」というものに立ち戻り、革の染色に行き着いたんです。

今のグラデーションは、何度も色を重ねる絵画技法をアレンジすることでたどり着きました。知り合いの革の職人には常識外と言われましたが、だからこそ今までに見たことのない革製品が出来上がったと感じています。

今では、染色だけでなく縫製に関しても自社で職人を育成し、革小物のほとんどが自社で生産できるようになっています。デザインは真似されるけど、技術は真似されない。そこを極めることにしました。

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東京銀座「yuhaku Ginza Gallery」。
《色から広がる新たなアート体験》がテーマ。

―銀座に店舗を出されました。

仲垣 百貨店にも卸していましたし、ECも7〜8年前から開設しているのですが、コロナ禍にあって、デパートはクローズしたり、ECも激戦になったりと厳しい日々が続きました。このままではいけないと、今やれることを全部やろうと決意。ブランドとしての世界観をもっと見てもらいたい、というのはずっと思ってきたので、yuhakuの世界観を表現できるような不動産を、それはもうオタクのように調査しまくっていました。

ところが、今のお店の物件は、「yuhakuに良いのでは?」とある日突然、不動産屋さんの方から持ちかけてくださって。びっくりしましたけど、確かにブランドイメージにピッタリの物件で、思い描いた通りの店舗になりました。

―実際に店舗をお持ちになっていかがですか?

仲垣 ものを売ることは想いを売ること。自分たちの言葉で伝えられる場所が必要だと感じています。僕らがここまで美しい財布を作っている理由は、牛への敬意を示すことだし、牛への恩返しなんですね。革というのはもともと、食肉用の牛の副産物なんです。つまりそれは、命あるものをいただいているということ。

だから、1つ1つ丁寧にきれいに美しく加工して、大切にお使いいただきたい。そんな想いをお伝えする場にしたいと考えています。

想いの少ないものづくりは大切にされないんですよね。うちのお客様はものすごく大切に使ってくださるんです。大量生産大量消費の時代だけど、その中でも物って絶対に作ってくれている人がいて、その先に素材を作っている人がいるので、ありがとうございます、いただきます、っていう想いを持ってもらえると嬉しい。だからこそこちらも手間を惜しまずにやっていきたいです。

―アーティストの支援もしています。

仲垣 銀座店は「yuhaku Ginza Gallery」として、アートと触れ合える空間を提供しているため、アーティストの皆さんに無償で場所貸しもしています。通常、ギャラリーでの個展にはかなり費用がかかるので、アーティストに活躍の場を提供したいんです。

また、彼らにはアウトレット商品にカスタムペイントを施し、一点ものとして復活させるプロジェクトにも参加してもらっています。傷のついた商品がペイントによって再生され、アーティスト、製品、お客様、みんながウィンウィンになる取り組みになっています。

また、革はロットの余りというのが出てしまうことがあるので、その革にペイントして完全一点もののバッグも作っています。そうすると付加価値がついて、行き場のなかった素材が商品になるんです。こういった取り組みを通して、アーティストと一緒にSDGsを加速させていきたいです。

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アーティスト・矢野竜輝氏とのコラボグッズ。
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仲垣社長自らがレザーにペイントを施す。
革の廃棄を減らしている。

―お財布を拝見しました。美しいのはもちろん、軽くて薄いですね。

仲垣 裏側を見ていただくとわかるのですが、全て革を使用しています。それでいて厚ぼったくならないように仕上げるには、高度な革漉きの技術が必要です。また、芯材は一切使わずに、全面を貼り合わせることで強度を持たせ、屈曲する部分はしなやかになるように、糊の使い方を変え製作しています。

製品になってからも、改良できる点はどんどんマイナーチェンジしています。職人さんにとっては、変更が多いのは嫌みたいですが(笑)。

―購入者はどのような方が多いですか?

仲垣 意外かもしれませんが、20〜30代の方が多いです。お値段は決して安価ではないのですが、若い方が想いに共感して購入してくださっています。

中には「こんなに美しいものをありがとうございます」というお手紙までくださる方も。意を決して買ってくださるので、大切に使ってくださるんですよね。

高校生の時に買って7年使っているという方もいらっしゃいました。それがまだピカピカなんです。長くしっかり愛してくれる人に届けたいですね。円安で全ての価格が高騰していますが、今のところ値上げはしていません。そういう若いお客様を裏切りたくないので。僕たちの決意です。

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内側の色も芸術的。
シャープな印象なのに、手触りはソフトで使いやすい。

―シューホーンは手に取りやすい商品ですね。

仲垣 yuhaku入門として入りやすいアイテムかと思います。グラデーションの美しさがしっかり伝わる、ブランドらしいグッズです。

シンプルながら、金具までこだわりyuhakuらしいデザインをあしらいました。キーホルダーのようなコンパクトさですが、もちろん靴べらにもなります。靴を痛めないで済みますし、ちょっと人に貸してあげたりするのもスマートですよね。もともとシューズデザイナーだった僕の想いというのもあります。

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カラーバリエーションも豊富。男女問わず、プレゼントにも喜ばれそう。

―今後の展望をお聞かせください。

仲垣 台湾にはすでに進出していますが、今後も海外展開は必須だと考えています。

もともとヨーロッパのブランドに憧れがあるのですが、コムデギャルソンやヨージヤマモトのような世界的デザイナーはいても、エルメスのように”品質”で世界に勝負している日本のブランドは少ない。yuhakuでその立ち位置を取りにいきたいです。

―若い価値観で世界へ向かう日本発のブランドに、勇気と元気をもらいました。貴重なお話をありがとうございました。

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「YVE110 長財布」
価格:¥72,600(税込)
店名:yuhaku
電話: 045-624-9328(営業時間 10:00~18:00 土曜・日曜・祝日・一部連休を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yuhaku.co.jp/c/Category_2/item_220_yve110
オンラインショップ:https://yuhaku.co.jp

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「YFP282 シューホーン」
価格:¥9,900(税込)
店名:yuhaku
電話: 045-624-9328(営業時間 10:00~18:00 土曜・日曜・祝日・一部連休を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://yuhaku.co.jp/c/leathergoodsranking/item_239_yfp282
オンラインショップ:https://yuhaku.co.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
仲垣友博(株式会社ユハク 代表取締役)

1976年福井県出身。関東学院大学中退。同時期に雅号「ユウハク」にて絵画を中心としたアート活動をスタート。シューズブランドでのデザイン業務をきっかけに、独学で革製品作りを始める。2006年オーダーメイドアトリエ『ameno spazio』を横浜に開設し、独自の染色技術を研究・開発。
2009年『yuhaku』を始動。2022年現在 横浜、大阪、東京、愛知に直営店を展開する。

<文・撮影/尾崎真佐子 MC/根井理紗子 画像協力/yuhaku>

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