料理が最高においしくなる!富山の炭専門店の国産おが炭「炉山人(ろさんじん)」

2025/02/10

今回、編集長アッキーが気になったのは、炭火焼き料理に使う高級炭です。商品を販売している有限会社朝内燃料・代表取締役の朝内拓雄氏に商品の魅力を取材陣が伺いました。

有限会社朝内燃料 代表取締役 朝内拓雄氏

―創業の経緯を教えてください。

朝内 創業は明治初年です。富山の中心部、今木町はかつて川から丸太を水揚げする水運の要所でした。丸太は四角く製材すると副産物の薪ができるためそれを扱いだしたのが、薪炭問屋(しんたんどんや)としての朝内燃料の始まりです。大正・昭和の時代になって、燃料は薪や木炭だけでなく、練炭や豆炭といったものも加わり、石油も取り扱うようになりました。平成に入って、ガスや電気が家庭の燃料の中心となる中、飲食店では特別な料理として炭火焼きが提供されるようになり、当社は飲食店に合わせた炭をご提供することで、全国的にも珍しい炭専門店として現在に至っています。

料理の味を左右する「炭」は食材の一つ。

―社長の経歴を教えてください。

朝内 富山で生まれ育ち、高校卒業と同時に日本大学芸術学部写真学科に入学。卒業後は教職員として大学で3年間働きました。その後、富山に戻り家業に入りましたが、1年ほどした頃に父の胃がんが見つかり、術後1カ月程度で他界してしまいました。心の準備がないまま私が代表にならざるをえなかったのですが、約1年半、父と一緒に働くことができたのはとても楽しく、同時に良い経験となりました。

―小さい頃から家業を継がれるおつもりでしたか。

朝内 料理炭は、燃やしてなくなってしまって形に残るものではありません。一見ちょっと寂しい部分もあるのですが、父が「誰かにとって『おいしかったね』という時間があればいいじゃないか。それを支えていることが幸せ」と語りながら、炭に情熱を持って仕事をしていた姿を子供の頃から見ていて、かっこいいなという憧れみたいな気持ちがありました。ただ、家業を継ぐことが甘いものではないことも分かっていたため、他で働いた経験がないまま家業に入るのは違うんじゃないかと思い、大学卒業後はいったん就職したという経緯があります。

一見、大学で学んだ芸術と炭はつながりのないものにも思えますが、美食という文化も芸術も心を耕す点では共通していて、炭へのこだわりと、私が大学で学んだ芸術はつながっていると思っています。芸術に触れた時の感動も、人がとびきりおいしいものを口に入れた時の感動も似ているなと思います。いい炭には人の心を動かす力があると思うのです。

―2019年にショールームをオープンされています。

朝内 炭は産地によって燃え方が違い、料理の味も変わってきます。私自身、自分で好きな炭を取ってきて七輪で火を起こして、火加減が最高の状態にならないと納得しないような変わった小学生だったのですが、料理人の方にも実際に様々な炭を手に取っていただける場をご提供したいと思いました。また、リアルな空間から感じられる朝内燃料の世界観をウェブ上に落とし込み、全世界へ届けるファーストステップとしても、ショールームを整える必要がありました。

本店にある全国的にも珍しい炭・炭火道具専門のショールーム。

―ショールームへはどんな方が来られますか。

朝内 炭火焼きのお店をされている方が来られることが多いです。お店で使う炭の種類とサイズが一旦決まった場合でも、季節や焼く食材によって、より最適な炭を求められるケースも多々あります。もっと良い焼きあがりはないのかと常に研究されていて、ご相談に来られ、こちらも勉強させていただきながらご提案しています。

―今回ご紹介する「炉山人(ろさんじん)」の特徴を教えてください。

朝内 構想から3年、着手から2年ほどかけて実現した商品です。【炉】=製炭するための炭窯炉、料理をするときの焼き台である炉。【山】=炭の原料となる山の恵み、木。豊かな山の幸と山がもたらす海の幸。【人】=炭を焼く人、料理を極める人、味わい食す人。という意味を込め、美食家・芸術家である北大路魯山人への敬意から命名しました。この商品は国産おが炭の中でも最高峰と自負しており、燃焼効率の高さや持続性、灰が舞いにくい点、食材の風味を引き立てる点が特徴です。

おが炭は原木を製材する際の副産物(おが粉)を原料とし、無添加のまま高温・高圧で成形した後、高温で炭化する方法で製炭されます。天然の木をそのままの形で焼いている黒炭や備長炭は、水分や空気が閉じ込められて破裂してしまうことがありますが、おが炭は品質が安定していて、使いやすく、 火持ちも良い(量販店の炭の倍以上)です。

海外産のおが炭は安価ですが、純度が低いので灰が出てきてしまって火力があまりありません。国産おが炭をこれまで長く使っておられた方でも「炉山人が良い」とおっしゃってくださいます。料理人さんはもとより、こだわりをお持ちの個人のお客様にも多くご愛用いただいています。

無添加のおが粉を、高温・高圧でプレスし棒状にした「オガライト」を窯で焼き上げた炭。

―炭の保管方法を教えてください。

朝内 炭は周りの空気、臭い、湿気を吸ったり吐いたりっていうのをずっと続けているので、臭いの強いところに置いたり、軒先とかは避けていただいて、できれば箱ごと大きめのビニール袋に包んで保管し、なるべく早く使い切っていただくっていうのが一番おいしく食材を焼き上げていただくポイントです。

今後のご展望をお聞かせください。

朝内 とある大学の先生が、私のことを「目の前のことに真摯に向き合いながら先を見て、かつ、見るだけじゃなくて、そこで自分が何をしたいかを考えていて、格好良いと思う」「軽やかなアバンギャルドだ」と言ってくださいました。

一説には炭は30万年くらい前から人々の暮らしに使われてきましたが、2025年の現在では、世界中の美食を探求する方に、インターネットを通して知っていただきたい、魅力を感じていただきたい、実際に使って体感いただきたいと思っています。昔から続く伝統的な分野に、今を生きる我々なりの向き合い方をしたいと思っているところが、軽やかなアバンギャルドとおっしゃっていただける理由なのかもしれません。

私にとっては幼いころから親しみのある炭というものに対して、「どうして?もっとこうじゃないか?」 と、これからも問い続けていくことは、芸術家が、何かを探究していくことに少しだけ通ずる感覚かもしれません。真摯に炭の本質的な良さと向き合いながら、次世代にも受け継がれる商品とサービスを確立したいです。  

―貴重なお話をありがとうございました。

「炉山人A(国産)10㎏」
価格:¥5,610(税込)~
店名: 朝内燃料
電話:076-432-6995(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://www.store.asauchi.co.jp/view/item/000000000061
オンラインショップ: https://www.store.asauchi.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

朝内拓雄(有限会社朝内燃料 代表取締役)
1990年富山県生まれ。日本大学芸術学部卒業後、同大学での3年の勤務を経て、朝内燃料に入社。2017年に同社代表取締役に就任。

<文/垣内栄 MC/田中香花 画像協力/朝内燃料>

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