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大隅半島の恵み、豊かさが詰まった SDGsなスピリッツ

2022/12/20

鹿児島県の大隅半島に本社を置く若潮酒造株式会社は、1968年に、5つの焼酎の蔵元が協業して誕生した会社です。以来、「志燦蔵(しさんぐら)」と「千刻蔵(せんごくぐら)」という2つの蔵で、それぞれ「究極の日常酒」「伝統の継承」をテーマに焼酎造りを続けてきました。

さらに2018年からは、「焼酎の楽しさを伝える」をコンセプトとした新ライン「Playful Line」を立ち上げ、注目を集めています。

今回は、社の代表である上村雅彦氏(以下上村雅)、経営戦略室室長の上村曜介氏(以下、上村曜)、企画・デザイン責任者の吉井健一氏(以下、吉井)に、同社の数々の挑戦について伺いました。

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若潮酒造株式会社 代表取締役社長の上村雅彦氏

―上村社長は2016年に就任されたのですね。

上村雅 弊社は父の代に、5社が協業して創業した会社で、役員が5人おり、父もその中のひとりでした。一方、私は百貨店で子供服部門に在籍し、天職だと思っていたのですが(笑)、諸事情があって会社を継ぐことになったのです。

その時、自分自身で大切にしようと決めたのは、社長がトップダウンで色々な事を決めるのではなく、「プロレスリング型」と自分で名付けたのですが、4つのポストに営業、製造、総務、詰口と、4つの部署の長がいて、私はリングの真ん中にいながら、みんなの意見を聞く、ということ。

もちろん自分も意見を出しますが、それは1社員の意見として受け取ってもらう、ということです。

ここ1、2年はコロナの影響で、厳しさを感じることもありましたが、そんな中、優秀な若い社員も育ち、皆で新しいことにチャレンジできた6年間だったと思います。

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「究極の日常酒」作りを目指す「志燦蔵」。
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「伝統の継承」をテーマに焼酎造りを行なっている「千刻蔵」。

―「新しいこと」とは、具体的にどんなことだったのでしょうか。

上村雅 これまでは焼酎は文化として、地元に根付いていればいい、という考えがありましたが、それだけではいけないと。もっと外に向けて、例えば伝統的な酒造りにも、何かしら新しい方法を取り入れたり、企画部を作って、若い人たちが商品開発に取り組みやすい環境を作ったり…。

そうして生まれたのが「Playful Line」という遊び心いっぱいのラインでした。

―「Playful Line」から誕生したハイボール用焼酎「歩く一日」は、商品自体にもネーミングにも、遊びがいっぱいですよね。

上村雅 そうですね。ではここからは、作った本人に聞いてもらいましょう(笑)。

吉井 「歩く一日」は熟成させた焼酎なのですが、このネーミングは、熟成をすることで、「一日一日、一歩一歩進んでいく」、というイメージから思い浮かびました。

ただし、パッと聞くだけでは想像しづらいので、アイコンになるようなキャラクターが欲しいなと。それで、一歩一歩、ゆっくり進む亀を自分で描きました。スピードの時代、少しホッとできる気持ちも感じていただけたらとも思っています。

―どういう経緯で生まれたのですか?

吉井 もともとOEMで作っていた焼酎なのですが、樽も原酒もあるので、うちでもオリジナルを作ってみようと。

イメージは、乾杯から楽しめる焼酎。そして焼酎は、炭酸で割るともっと飲みやすい、ということをお伝えしたいと思いました。

―芋焼酎なのですか?

吉井 芋と麦のブレンドです。芋はオーク樽、麦はシェリーの樽で仕込んでいます。ブレンドの割合は、試飲をしながら決めていったのですが、炭酸で割ってみて1番バランスがいい味、というところを目指しました。

なので、単体で飲むより、ぜひハイボールで飲んでいただけたら。麦焼酎はウイスキーに味わいが近いのですが、そこに芋焼酎の甘みを加えたのがポイントですね。

焼酎の魅力を伝えたい、焼酎メーカーが作ったハイボールです。うちの蔵で35年、ずっと焼酎を作り続けてきたブレンダーが挑戦したもので、自信作です。

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やや琥珀色がかっているのは、樽で熟成させたから。

―どんなふうに楽しむのがおすすめですか?

吉井 焼酎のアルコール度数は、一般的には25度ですが、「歩く一日」は33度。炭酸で割っても味が薄くならないようにしています。

「歩く一日」1に対し、3〜4の炭酸で飲むのがおすすめです。ちなみに私たちは、これを「カメハイ(カメハイボール)」と呼んで親しんでいます。カメハイには、唐揚げなどの居酒屋料理が抜群に合いますよ。

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ジューシーな唐揚げに、シュワっとサッパリ、味わいは深い「カメハイ」が合う!

―次に、「f spirits」についても教えてください。

上村曜 もともと、弊社がある志布志市に、SDGsに向けて何かやろうという動きがあったのですが、ある日の社内の雑談で、「捨てられてしまう農産物でお酒が作れないだろうか」という話が出て、地元・志布志のイチゴ農家さんに連絡したところ、規格外のいちごの行き場がなくて困っていると。そこから開発が始まりました。

また私たちは50年以上、焼酎業界でやってきた中で、焼酎が好きな方に売る方法は得てきましたが、親しみのない方に売る方法には課題がありました。

そこで今回、クラウドファンディングにも挑戦してみよう、と。その結果、若い方や女性など、これまで焼酎のメイン層ではない、たくさんの方からのメッセージや応援のコメントをいただき、興味を持っていただくことができました。

―そうして最初に生まれたのが「f spirits(イチゴ&カルダモン)」だったのですね。

上村曜 そうですね。ただ、このイチゴ&カルダモンに関しては、去年と今年のもので、若干色味が違います。

それは作り方を変えたためで、去年は、芋焼酎にいちごを漬けて、色と香り、エキスを抽出して製造していたところ、今年は、1度焼酎に漬けた上で蒸留し、香りやアルコール分を抽出する方法で製造してみました。

後者だと糖分が含まれないため、よりヘルシーになり、さらに長期間保存できるのです。透明なのにイチゴの香りがするのにも喜んでいただいています。

おすすめは、スピリッツ1に対し、ソーダを4の割合で加えて飲んでいただくこと。レモンを絞っても美味しいですよ。ちなみにこちらのラベルも吉井さんが描いたもので、大隅半島の地図も入っています。

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ラベルもおしゃれな「f spirits(イチゴ&カルダモン)」。
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レモンを絞ると、甘い香りにキリッとした酸味のコントラストが楽しめる。

―今年は「f spirits(キュウリ&ラベンダー)」も発売されました。

上村曜 キュウリは形によってさまざまなランクがあり、形が悪いものの行方が農家さんにとって、悩みの種でした。私たちの場合は、香りを抽出するためにキュウリを使うので、形に関係なく、しかも安く手に入れることができます。それがお互いにとってメリットでした。

「え、キュウリ?」と言われることもあるのですが、もともとカッパ割りと言って、焼酎のお湯割りにキュウリを入れて飲む文化があるのですよ。ちょっとメロン風味が楽しめるのです。

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2022年に登場したばかりの「f spirits(キュウリ&ラベンダー)」。

―そうなのですね。そして今回は、キュウリにラベンダー、イチゴにカルダモンと、ハーブやスパイスを加えて、新しい香りも楽しめるようになりましたね。

上村曜 香りには音と同じように高さがあって、その段階が異なる香りを組み合わせると、ハーモニーが生まれると聞き、その法則を取り入れました。

イチゴは一見、高い香りのようですが、お酒にすると実は重たくて低い香り。なので、柑橘みたいに軽い香りのカルダモンと相性が良いのです。

一方、キュウリは強くて低い香りで、ラベンダーは高い香り。アクセントとして加えることで、キュウリにエレガントさが加わります。ちなみにキュウリは思った以上に香りが出て、なかなか面白いものになりました。

―どんなふうに楽しむのがおすすめですか?

上村曜 まずはソーダ割りで。ライムなどを絞るとさらにスイスイいただけますよ。

キュウリが好きな方にはお湯割りもおすすめ。お湯割りは香りが広がるので、グラスをアロマキャンドルのように傍らに置いて、読書なんかするのもいいかもしれません(笑)

―相性の良い料理はどうでしょう。

上村曜 香りの近いものが合うかなと思います。例えば「キュウリ&ラベンダー」はバンバンジーや冷やし中華など。

「イチゴ&カルダモン」は、スパイスカレーにも合いますし、鹿児島の名物で白熊というかき氷にかけても美味しかったです。紅茶に入れて楽しんでも。

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スタッフは、ミント、ライム2個、砂糖小さじ2、炭酸水、氷を入れ、モヒート風にして楽しんでみました。

―今後の展望について聞かせてください。

上村曜 「f spirits」は、これから大隅半島のニンジン、ピーマン、パッションフルーツ、青柚子と4種類の農作物を新しく取り入れ、計6種類になる予定です。

皆さんに1番ビックリされるのはピーマンですが、実はチョコレートやコーヒーのような香りがするので、柑橘のような香りと合わせてみようかと思っています。

また青柚子は、主に柚子胡椒を作るため、皮だけが使われてきた経緯があるのですが、弊社ではその果汁を活躍させていきたいと。

このプロジェクトを始めてから農家さんによく足を運ぶようになったのですが、話の中で新しい発見がたくさんあり、本当に楽しいです。

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地元の農家様と連携をとりながら。

上村雅 伝統的な焼酎文化は守りつつ、それらを進化させ、焼酎が好きな方だけでなく、まだ試したことがないという方にも、焼酎の良さをお伝えできるような商品作りをどんどん進めていきたいですね。

SDGsの考えのもと、これからはますます地域一体となって、挑戦していきたいと思います。

―伝統と革新、その両方を社員の皆さまで楽しみながら進められている様子が伝わりました。お話、ありがとうございました!

若潮酒造_商品1

「歩く一日」(720ml)
価格:¥1,400(税込)
店名:若潮酒造株式会社
電話:099-472-1185(9:00〜17:00)
定休日:日曜・祝日ほか不定休あり、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://wakashio.shop-pro.jp/?pid=168664467
オンラインショップ: https://wakashio.shop-pro.jp

若潮酒造_商品2

「f spirits(イチゴ&カルダモン、キュウリ&ラベンダー)」
価格:¥2,200(税込)
店名:若潮酒造株式会社
電話:099-472-1185(9:00〜17:00)
定休日:日曜・祝日ほか不定休あり、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
イチゴ&カルダモン
https://wakashio.shop-pro.jp/?pid=171989379
キュウリ&ラベンダー
https://wakashio.shop-pro.jp/?pid=171989555

オンラインショップ: https://wakashio.shop-pro.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
上村雅彦(若潮酒造株式会社 代表取締役社長)
1961年、鹿児島県生まれ。大学卒業後、地域百貨店に入社し、子供服の販売を担当。1994年に若潮酒造に入社。2016年に同社代表取締役社長に就任。趣味はゴルフとギター。

<文・撮影/鹿田吏子 MC・撮影/石井みなみ 画像協力/若潮酒造>

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