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酒どころ“備中”の味を飲みきりサイズで! 伝統の手技で醸す最上級のお酒「喜平 純米大吟醸 180ml」

2024/02/06

今回、編集長アッキーが気になったのは、岡山県浅口市で100年近くにわたって酒造りを続ける平喜酒造。時代とともに変化してきた酒造りの在り方や、代表銘柄「喜平」に込めた想いを代表取締役社長の戸塚堅二郎氏に伺いました。

平喜酒造株式会社 代表取締役社長 戸塚堅二郎氏
平喜酒造株式会社 代表取締役社長の戸塚堅二郎氏

―御社の歴史をお聞かせください。

戸塚 弊社は岡山の酒造会社ですけれど、結構変わった歴史を持っていて、はじまりの地は静岡なんです。明治初頭、我々の先祖は静岡県掛川市で「平島屋」の屋号を掲げ、米穀商を営んでいました。酒造りへと事業を拡げていくなかで岡山にも酒造場を設けることになったのが、今から100年ほど前です。

我々の酒造場がある備中エリアは古くから酒どころとして知られる地域で、米の産地としても申し分ありません。一方、年間を通して温暖な静岡での酒造りは難しく、やがて酒造業は岡山に集約されることに。のちに「平喜酒造」として独立し、岡山の地酒を造るようになりました。今は科学の進歩によって環境に左右されない醸造が可能となりましたので、静岡でも「静岡平喜酒造」として酒造りを再開していますけどね。

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岡山で100年近く酒造りを続ける老舗だけあって、地元でも多くの人に親しまれている。

―酒造りにおいて大切にされていることは?

戸塚 今は全国各地で地酒が造られていますが、平喜酒造では古くから「地元の素材を使った“いいお酒”をこの地に暮らす人々へ届ける」ということをかなり意識してきました。その想いは今も受け継がれています。岡山には「雄町(おまち)」という県原産の酒米があって、これは山田錦や五百万石など知名度の高い酒米のルーツとなった品種です。この雄町や「あけぼの」といった地元産の酒米と、酒蔵の背後にそびえる遥照山の花崗岩質に磨かれた水。これらの原料を使い、この土地に慣れ親しんだお酒を造るための研究を続けています。

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「酒蔵参観日」と題して酒蔵を開放したり、ジャズコンサートを開催したりと、日本酒と人をつなぐ場も積極的に設けている。

―岡山の酒造りといえば「備中杜氏」が有名ですね。

戸塚 我々が蔵を構える浅口市鴨方町にはかつてたくさんの酒造場があって、酒蔵街道と言われていました。今では2場だけになってしまいましたけれど。この近辺で生まれたのが備中杜氏と言われる集団で、今でも伝統的な酒造りの技法を保持する職人さんたちがいらっしゃいます。酒造りをしている地域には古くからそういった杜氏集団があり、備中のほかにも南部(岩手)や丹波(兵庫)など各地に残存しています。

酒造りの技術というのは、職人さんたちの口伝による部分が大きいんです。蔵ごとに受け継がれるのではなく、杜氏集団のなかで共有され、伝承される。全国的に共有されている技術も多いですが、やっぱりその地域ならではの酒造りの傾向というのは、各地の集団のなかで培われてきた歴史や文化によって生まれるのだと思います。

―御社では最新の技術や設備も積極的に導入されているとか。

戸塚 弊社には備中杜氏組合の会長を務める職人がおりまして、伝統的な酒造りに精通しています。そういった職人が持つ技術や創業当初からの伝統へのリスペクトを持ちながら、コンピューター制御による管理をはじめとする近代的な技術も取り入れています。

今では珍しいことではなくなりましたが、私の父も祖父も代々考え方が前衛的で、昭和の終わり頃という結構早い時期から伝統と革新が融合した酒造りに取り組んできました。温度などの管理ができるシステムを構築したり、技術そのものを社内で共有しやすいようにデータ化したり。伝統的な酒造りのノウハウを基に、必要な情報・データを集めてシステムを立ち上げました。とはいえ、やはり職人さんの経験と勘、感覚的な部分も絶対必要なので、それらをいかにミックスしていくかというのが我々のテーマです。

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代表銘柄は創業者の名を冠した「喜平」。“より良いものをより良い価格で”という創業者の想いに恥じることのない酒造りを目指して命名された。

―代表銘柄「喜平」はどんなお酒なんですか?

戸塚 誕生は平成元年(1989年)。最新技術をいかした酒造りを展開していくなか、「より上質なお酒をお客様に届けたい」という想いから生まれた銘柄です。日常的にはもちろん、特別な日にも飲んでいただけるような酒質本位の酒造りを目指しています。本醸造から純米大吟醸まで幅広く展開していますが、いずれも職人の丁寧な手仕事により醸される雑味のないクリーンな味わいが特徴。ランクが上がれば上がるほど、フルーツのように華やかな吟醸香もお楽しみいただけます。2023年8月には、ブランド最上級のお酒「純米大吟醸」の飲みきりサイズも発売しました。いいお酒を飲んでみたいけれど、大きなサイズは手に取りづらいという人にもお試しいただきやすいよう、180mlの小瓶でご用意しています。

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伝統的な技術のなかでも最高峰の技で醸した「純米大吟醸」。先入観なく香りと味わいを楽しめるよう、日本酒度や酸度はあえて非公開。

―おすすめの飲み方は?

戸塚 「純米大吟醸」で言うと、香りの良さを楽しんでいただきたいので10度程度の冷酒~常温で。冷たい状態から飲みはじめて、温度の変化とともに少しずつ変わっていく香りや味わいを感じていただくとより良いかなと思います。料理とあわせるなら、魚を酢漬けにした岡山の郷土料理「ままかり」がおすすめですね。酸味と純米大吟醸の甘さやフルーティな香りがよく合うんです。

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華やかな香りとスッキリとした飲み口が特徴の純米大吟醸は、魚のお刺身など素材の味をいかした料理とも好相性。

―最後に今後のビジョンや展望をお聞かせください。

戸塚 我々は本当に頭が固いというか、古い企業ですので、地元の方たちに喜んでもらいたいという想いが非常に強いんです。東京にも一部商品を出してはいますが、岡山と静岡でほとんど完結していて、県外に向けた取り組みは強化できていないのが現状です。これからも地元で必要とされるお酒を造り続けていきたい気持ちは変わりませんが、岡山の地酒を多くの人に飲んでもらいたいという想いも確かにあって。お酒の味わいは風土や文化によっても変わってくるものだと思いますので、岡山ならではの味とともにこの土地の素晴らしさを県外に向けて発信していきたいと考えるようになりました。そして、ゆくゆくは海外に向けてメイド・イン・ジャパンの魅力を伝えるところまで発展できれば嬉しいなと思っています。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

「喜平 純米大吟醸」(180ml)

「喜平 純米大吟醸」(180ml)
価格:¥550(税込)
店名:平喜酒造株式会社
電話:0865-44-2122
定休日:土日、祝日
商品URL:http://www.hirakishuzo.co.jp/kuradayori/jyunmaidaiginjyo180/jyunmaidaiginjyo180_2023.html
オンラインショップ:岡山県内の酒販店での取り扱いほか、電話での問い合わせにより購入可
※お届けの際には別途発送料がかかります

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
戸塚堅二郎(平喜酒造株式会社 代表取締役社長)

1987年6月23日生まれ。東京農業大学応用生物科学部醸造科学科にて醸造学を専攻。在学中は全国の酒蔵で使用される清酒酵母を培養、提供する日本醸造協会にて「醪中の酵母の活性」をテーマに研究を行い、論文を作成する。2013年に家業である平喜酒造へと戻り、製造業務を中心に携わる。2020年に平喜酒造の代表取締役に就任。現在経営の立場をとりながら、小規模管理のみを行う新設酒蔵工場にて杜氏を兼任している。

<文・撮影/野村枝里奈 MC/髙橋美羽 画像協力/平喜酒造>

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