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蛤の専門店が「本気」で作った 旨味たっぷり!10年ものの蛤ラーメン

2022/11/21

江戸時代、蛤の産地として名を馳せた三重県桑名市。希少となった天然の蛤漁が現在も行われているほか、蓄養業も盛んです。そんな中、「お客様の、『おいしい』という声を直接聞いてみたい」と、蓄養・卸業から飲食業にも参入し、さらに近年は、お取り寄せ事業も好調という、はまぐり屋(株式会社ITfoods)代表取締役社長の古川智一氏にお話を伺いました。

社長
株式会社 ITfoods 代表取締役社長の古川智一氏

―古川社長は、東京で大学を卒業された後、地元・三重に戻り、水産卸業社に入られたのですね。

古川 そうですね。入社後は、主に食品の流通ルートについて学ばせていただきました。水産の流通と言えば、卸業・市場・仲買人・小売店・お客様という流れが一般的なのですが、ある時、こう思いました。「私たちがどんなにこだわって蛤を育てても、お客様から直接声を聞くことはできないのだなぁ」と。そこに歯痒さを感じて、2005年に楽天市場でインターネット販売を始めたんです。当時はまだ楽天市場を使っている会社が少なく、ここでは貝ジャンルで1位を獲得しました。お客様からお褒めの言葉もいただけるようになり、さらに「直接、お客様と対面しながら、蛤の魅力をお伝えしたい」という思いから、2008年に独立し、蛤の専門店「はまぐり屋 錦店」を開業したんです。その後、名古屋にもう1店、さらに東京にも出店することができ、それぞれでご好評をいただきました。その結果、蛤の安定的な供給が課題となったのですが、卸の同業者と提携することで解決できるのではないかと思い、そのタイミングで株式会社ITfoodsを設立したんです。現在は卸業、飲食事業、ふるさと納税返礼品や土産品などの商品開発、飲食店のメニュー開発、コンサルタントなどを行なっています。

―そもそもなぜ桑名は、蛤の名産地となったのでしょうか。

古川 桑名には、山のミネラルと海のミネラルが混ざる汽水域があり、それが貝類にとって良い環境だったことから、産業が発達したようです。今も、ナガシマスパーランドという遊園地の沖の方には、木曽川と長良川からの淡水、そして海水が混ざる汽水域があり、良質なプランクトンが生息するので蛤が育ちます。また弊社では、その環境に近い状態を作った上で、蛤の蓄養を行なっています。

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地下海水で満たされている中、蛤がスクスクと育つ蓄養場。

―蛤の蓄養について、どのような点にこだわっていらっしゃいますか?

古川 年間を通して18℃ほどをキープできる地下海水を使用することでしょうか。ポンプを掘る場所が1m違うだけで、海水の塩分濃度と水温が異なるので、非常に気を遣っています。

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注文が入ったらその都度水揚げ。新鮮な蛤が提供できる。

―そんな中、御社の「はまぐりらーめん」の売れ行きが非常に好調だとか。どんなきっかけで誕生したのですか?

古川 飲食店に来られたお客様が、「締めはラーメンだ」と。それまでうちは、締めをうどんでやっていたんです。ラーメンはちょっとポップで、若者が好むイメージなので、お店の客層にはどうかなとその時は思いました。ですが、リクエストに応えて提供してみたところ、非常に反響が良かったのです。さらには「家族にも食べさせたい」というお声をいただき、お土産ラーメンを作ることになりました。

―苦労した点はありましたか?

古川 スープですね。やっぱりどうしても、店の味からちょっとずつズレてくるんです。店のように、濃厚な蛤出汁を実現するにはどうしたらいいかを考えて、結果、蛤を酵素分解することで、蛤が丸ごと入った、濃厚なスープを作ることができました。試作には約1年を要しました。

―そうして完成した「はまぐりらーめん」に続き、今回ご紹介する「桑名はまぐりらーめん10年もの」が登場しましたが、まずは真空パックの蛤の大きさに驚きました!

古川 「はまぐりらーめん」が軌道に乗り、次にチャレンジするなら「これぞ桑名だ」というものを作りたいと思いました。最初は、5年ものの蛤で作ろうと考えていたのですが、価格が上がるのに5年ものって…と。いっそ大きいものでドーンとやって、高くてもこだわったものを作ろうと考えたのですが、今度は蛤が大きすぎて「箱に入らない!」という問題が起きてしまって(笑)。そこで、現在は90〜120gと幅を持たせつつ、箱に入る大きな蛤をお楽しみいただけるようにしています。こちらのラーメンは1杯2,000円ほどの商品ですが、その原価のほとんどを蛤が占めています(笑)。

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ゴールドのパッケージもリッチな「桑名はまぐりらーめん10年もの」。
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蛤の大きさに注目を!

―10年ものの蛤、とは、つまり10歳ということなのですか?

古川 証明はできないのですが、大きさから言って10歳くらいだろうと見ています。蛤の通販をスタートさせた時、最初はS・M・Lの表記で販売していたのですが、飲食店でお客様から、「この蛤、どのくらい生きてたの?」と聞かれ、「10年くらいですかね」と答えたら、「え!10年!?」とものすごく驚かれたことがありました。ウイスキーなどにも年が記載されていて、それで人は貴重なものだと感じますよね。ならば弊社でも蛤を「10年もの」、「8年もの」と表現しようと考えたんです。お客様と触れ合える飲食店では、やはり色んなことを教えていただけますね。

―ラーメンを作ってみましたら、蛤の出汁が濃厚でした!

古川 真空パック化した蛤は、出汁も一緒に蓄えており、一緒に鍋に加えていただくと、濃厚な出汁が完成します。「スープまでごくごく飲んだよ!」というお声もよく伺うのですが、カロリー少なめなので安心してください(笑)。

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濃厚な出汁も一緒に詰まった10年ものの真空蛤。
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濃厚かつ、さっぱりとしたスープ。インストタントは思えないクオリティ。

―売れ行きも好調のようですね。

古川 今は飲食店の「はまぐり屋」各店とお土産店、そしてインターネットの「はまぐり屋」にて販売していますが、おかげ様で好調です。三重県の麺ランキングでは、このエリアの絶対的王者である冷麦、伊勢うどんと並ぶまでになったんですよ。また、これまで三重県のお土産には、お饅頭など、甘いものが多かったのですが。塩系で若者向け、という枠にもちょうど入ることができました。夏の売れ行きが伸び悩んだ時はどうしようと思ったのですが、冷麦を参考に「冷やし」でも楽しめるメニューを提案すると、よく手に取っていただけるようになり、安心しています。

―そして今回はもう1つ、「しじみの味噌汁」もご紹介いただきました。

古川 桑名ではしじみも採れるので、飲食店でもしじみの味噌汁を出していました。締めの時、ラーメンにするか、しじみの味噌汁と天むすにするか悩まれる方が多い人気メニューだったので、こちらも商品化を考えました。ただ、大きなロットで作らなければいけなかったので、まずは来店して下さった方にお土産としてプレゼントしつつ、物販も同時に始めたんです。そうすると、1度味見した方が、「おいしかったから買うよ」と言って下さって、プレゼントは無駄ではなかったです(笑)。

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1袋に10個入り。インターネットではまとめ買いする人も。

―こちらも“しじみ感”が!

古川 三重ではしじみの身を食べる習慣がないのですが、身にも栄養がたっぷり詰まっています。そこで、こちらも蛤と同じように、酵素分解をして、しじみまるごとを感じられるようにしました。貝屋が作るからには、これでもか!としじみを感じていただかないと。しじみに含まれるアミノ酸であるオルニチンももちろん天然由来で、「お酒を飲んだ翌朝にピッタリだよ」と喜んでいただけています。ただ1点、お詫びではないのですが、商品の写真にしじみを入れてしまったために誤解されることが多いのですが、実際はスープのみの商品なんです。ご自身で好きな具を入れつつ、アレンジしながら楽しんでいただけたらと思います。

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トッピングにしじみを加えると、さらに濃厚なしじみ味噌汁に

―今後の展望について聞かせてください。

古川 飲食事業の展開、海産物以外の卸、飲食店企業様とのコラボや商品開発、行政との商品開発や商品提案、海外への輸出などに加え、自社商品の開発にもさらに力を入れていきたいですね。まずは時代のニーズに合わせ、グルテンフリーの麺を使ったラーメンを作ろうとしています。弊社では米油も卸しているのですが、米農家さんによると、最近はあまりお米が売れないそうです。そこで米粉麺を作り、少しでも貢献できたらと思うのと、小麦アレルギーの方も増えてきたように思うので、その方々にもラーメンを楽しんでいただきたいと思います。おかげさまで麺は、もちもちとした美味しいものが完成しました。スープはまだ試行錯誤中です。ベースは鶏白湯でいこうと考えており、納得できたら発売しようと思っています。名前は「はまぐりラーメン 極」です!

―「学生時代までは、自分らしさがあまりない若者でした」とおっしゃった古川社長でしたが、地元の名産品である貝と関わることで、「こうしたい」という夢がどんどん湧き出てきました、と嬉しそうにお話いただきました。来年発売予定の「極」も楽しみです。ありがとうございました!

商品1

「桑名はまぐりらーめん 10年もの」(2個入り)
価格:¥4,536円(税込、送料込)
店名:はまぐり屋(株式会社 ITfoods)
電話:050-1396-0300(平日10:00〜18:00)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.hamaguriya.com/shopping/kuwana-hamaguriramen10nen-2/
オンラインショップ: http://www.hamaguriya.com

商品2

「三重県産しじみの味噌汁」(20g×10袋)
価格:¥1,000円(税込、送料込)
店名:はまぐり屋(株式会社 ITfoods)
電話:050-1396-0300(平日10:00〜18:00)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.hamaguriya.com/shopping/sijimi-misosoup/
オンラインショップ: http://www.hamaguriya.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
古川智一(株式会社 ITfoods 代表取締役社長)

1978年、三重県生まれ。東京で大学を卒業後、三重県の水産卸会社に入社し、2008年に独立。飲食店「はまぐり屋 錦店」をオープン。2016年に株式会社ITfoodsを設立してからは、飲食業、こだわり食材の卸売、商品企画販売、人材育成、コンサルティングなど幅広い分野で活動している。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/柴田阿実 画像協力/ITfoods>

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