小鳥の形で遠くまで音が届く 「ことりん」 ドアの開閉時にやさしい音が響く 「どありん」

小鳥の形で遠くまで音が届く 「ことりん」 ドアの開閉時にやさしい音が響く 「どありん」

2022/11/18

今回、編集長アッキーが気になったのは、スタイリッシュなおりんを販売する「久乗おりん」。株式会社山口久乗・代表取締役社長の山口康多郎氏に、商品の特徴を取材陣がうかがいました。

株式会社山口久乗 代表取締役社長の山口康多郎氏
株式会社山口久乗 代表取締役社長の山口康多郎氏

―創業の経緯を教えてください。

山口 富山県高岡市で創業し、今年で115年になります。もともとは高岡銅器の仏具をつくる卸屋でした。その後、1987年に株式会社山口久乗に法人成りします。バブルの時代までは右肩上がりで仏具が売れていましたが、だんだんそうではなくなってきて、高付加価値なオリジナル商品も作るようになったんです。その後、1995年には阪神淡路大震災があり、揺れて倒れたときに危険な形の従来の仏具を見直すことになりました。仮設住宅に移られた方が新たに仏壇を求めるならコンパクトなものだろうということもあり、方向性を変える大きなターニングポイントとなりました。

―社長になられたきっかけを教えてください。

山口 もともと私は銀行員で1998年に山口久乗の担当になりました。そのとき社長からおりんを含めた仏具の新しい方向性の話を聞き、面白いなと思ったんです。また、出入りをするうちに社長の娘であった妻と知り合いました。結婚して婿養子になり、山口久乗に入社しました。2000年頃におりんで楽器を作り始めると、著名な方が次々に演奏してくださるようになり、鼓童という太鼓のユニットや坂東玉三郎さん、瀬戸内寂聴さん、さだまさしさんなどとのご縁が出来ました。
2005年には、JR高岡駅の電車の発車音にも採用されました。2008年に高岡市立の小学校、中学校のチャイムにおりんの音が使われるようになりました。2015年には、北陸新幹線の発車音に採用されています。

―楽器としてのおりんが広まっていったのですね。

山口 はい。その後はインテリアとしてのおりんを制作し、2010年にギフトショーに出品すると、アクティヴデザイン&クラフト大賞をいただくことができました。2020年に富山県推奨の富山ブランドに認定されています。

くちばしがスリットになっていて手紙が挟めます。
くちばしがスリットになっていて手紙が挟めます。

―インテリアとしてのおりんを開発したのは理由があるのでしょうか。

山口 おりんのいい音は、仏壇の前でチンと鳴らすだけではもったいないので、どうしたらその音を日常で聞いていただけるかを考えました。ただ、我々が考えるとかっこいいものができなくて、 富山県総合デザインセンターにご紹介いただいたプロダクトデザイナーさんに相談したんです。おしゃれなおりんを考えてくださり、「久乗おりん」の 基になるブランドが出来ました。 ギフトショーに出したら、いきなり大きな賞をいただけたので、この方向でいけるという自信になりました。

―おりんを使ったヨガの講座も始められたそうですね。

山口 おりんの音色は、小川のせせらぎなど人が聞いてリラックスできる音色に見られるの1/fゆらぎという定義と同様の音色で、瞑想と親和性が高いんです。リラックスした脳波の状態になれる音で、ヨガの合図の音などとしてぴったりなので講座が始まりました。

―「ことりん」はどういった特徴がありますか。

山口 おりんを叩くと仏壇を想起させるので、叩かずに音を鳴らすものを考えました。模索している中で、揺らすといいのではという話になり、鳥のしっぽに触れると、音がなるデザインに決まったのです。鳥が鳴くというイメージもぴったりでした。「ことりん」は遠くまでしっかり音が聞こえるので、受付の呼び鈴などにも使っていただけます。スリットが入っていて、手紙が挟めるのも特徴です。高岡の地場産業にアルミの技術があり、フレームはアルミにしました。

(左から)素と墨の2色から選べます。

―「どありん」についても教えてください。

山口 従来、ドアチャイムは部屋の奥にいる人に、誰かが来たことを音で知らせるものでしたが、昨今では、大きい音が響くとご近所から苦情が来る可能性もあります。ドアにはインターホンもあるので、開けた本人が聞こえる程度の小さな音でいいということになり、サイズも小さくしています。ドアの開閉のたびにいい音が鳴って、癒されます。

優しくさわやかな音が響きます。
優しくさわやかな音が響きます。

―海外でも販売されているのでしょうか。

山口 はい。海外では単純に楽器やインテリアとして購入される方が多いです。おりんを聞いた時に、風鈴の文化がある日本人は風を連想して体温が下がりますが、ヨーロッパの方たちはリラックスして、毛細血管が広がり、体温は上がるそうです。癒されるという点では同じですが、体の反応が真逆なのは面白いですね。

左奥から)墨、燻、素の3色。
(左奥から)墨、燻、素の3色。

―最後に今後の展望やビジョンを教えてください。

山口 日常でおりんの音が役に立つ場面を増やしたいと思います。会社に置いてあると、おりんを聞くことで、気持ちが落ち着いてプレゼンや商談などが上手くいく、といったこともあるかもしれません。おりんの音で平常心を取り戻し、余計なケンカが減るかもしれません。そんなおりんの音色で 人生が豊かになる手助けができればと思っています。また、実際に使っていらっしゃる方々との繋がりみたいなものも、今後は深めていきたいと考えております。

―貴重なお話をありがとうございました。

「ことりん」(素・墨)
価格:¥14,300(税込)
店名:久乗おりん
電話:0766₋22₋0993(8:30~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kyujo-orin.com/products/detail/kotorin.html
オンラインショップ:https://shop.kyujo-orin.com/

「どありん」(素、墨、燻)
価格:¥8,800(税込)
店名:久乗おりん
電話:0766₋22₋0993(8:30~17:30 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kyujo-orin.com/products/detail/doarin.html
オンラインショップ:https://shop.kyujo-orin.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
山口康多郎(株式会社山口久乗 代表取締役社長)

1973年神奈川県生まれ。石川県金沢市育ち。慶應義塾大学卒業後、北國銀行に入行。2004年、初任地高岡で担当先であった山口久乗に入社。2020年に同社代表取締役社長に就任。伝統工芸高岡銅器の技術を活かした仏具や音のプロダクトなど、人の心に寄り添うものづくりを行っている。

<取材/垣内栄 MC/橋本小波 撮影/坂口明子 画像協力/山口久乗>

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