聖護院八ッ橋_top

ニッキが上品に香る京都伝統の味。焼菓子、生菓子、あん入りが揃う聖護院八ッ橋総本店の「八ッ橋」

2022/11/25

京みやげの定番というだけでなく、伝統を守り継ぐお菓子として知られる「八ッ橋」。なかでも今回、編集長アッキーが注目したのは、八ッ橋の製造・販売を始めて330年余という老舗、株式会社聖護院八ッ橋総本店。代表取締役社長の鈴鹿且久氏に、お店の歴史や八ッ橋の魅力など、お話を伺いました。

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株式会社聖護院八ッ橋総本店 代表取締役社長の鈴鹿且久氏

―創業330年余、想像もつかない長さですね。

鈴鹿 
1689年に八ッ橋の販売を始め、その年を会社の始まりとしています。そもそも八ッ橋は、箏の名手であった八橋検校様のお名前を拝して名付けられたお菓子です。検校様亡き後、黒谷の金戒光明寺にお墓が立てられたのですが、お参りの方が絶えず、その方々のために黒谷参道の茶店で売り出したのが、箏の形に似せた干菓子の八ッ橋だったんです。それ以前から茶店はありましたが、八ッ橋を作ったのは、亡くなられてから4年後の1689年でした。

―今の八ッ橋は当時のものと似ているのですか?

鈴鹿 形は少し違ったようです。今は少しアールのついた形ですが、当時はあまり曲がっていなかったようです。というのも今の砂糖ではなく、国産の和三盆などを使っていましたから、曲がり具合が違っていたみたいですね。

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箏の名手の名前に由来する八ッ橋。作られた当時とは形が少し異なるとか。

ー社長ご就任はいつでしたか?

鈴鹿 42年前、私が31歳の時です。父の急逝によりまして急遽社長となりましたが、古い番頭さん達が立派な方で、若い私を守っていただきました。そのおかげで社長としてやってこられたんです。番頭さんに支えてもらうというのも、京都独特かなと思いますね。

―「味は伝統」ということを掲げておられます。京都だけに重みがあります。

鈴鹿 京都では伝統を重んじます。拡大路線をとるよりも、あくまでも続けていくことが大事。会社がなくなってしまったら何にもならないのですから、いかに長く続けるか、それを常に考えています。良い時悪い時どちらもありますから、私は「ちょうちん経営」と呼んでいるのですが、時代によって大きくなれる時は大きくなり、いつでも小さくなれるようにしておく。そう心がけています。

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八橋検校の墓参に訪れる人々のために販売されたのが始まり。

―300年余、様々な困難を超えてこられたのでしょうね。

鈴鹿 いろいろあったと思います。太平洋戦争の時には原材料もなく、おみやげというものもなくなり、苦労したときいております 。当時の記録によりますと、パンを作って軍隊に納めていました。それでなんとか乗り越えて、戦後八ッ橋作りに戻りました。家業を続けたわけですね。

―伝統を守られたのですね。その後、あん入りの生八ッ橋も誕生して…。

鈴鹿 焼いた八ッ橋のほかに、生の八ッ橋も昔からありまして、日持ちの関係でご近所の方々に店頭販売していました。1960年に、祇園祭前日に開かれる表千家のお茶会用に作ったのが、生八ッ橋にあんこを包んだお菓子、現在の「聖(ひじり)」の前型です。今ではあん入りが当たり前のようになっていますが、あんこはあくまでもトッピングという感覚で、メインは生八ッ橋です。それ以前は八ッ橋といえば干菓子の八ッ橋。新しい商品を発売しても、以前のものをなくしません。なくすと繋がっていかないんですよ。

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あん入りの生八ッ橋は、60年ほど前、表千家のお茶会のお菓子として注文を受け考案したという。

―シンプルなのに、印象に残るおいしさです。どんな工夫があるのですか?

鈴鹿 材料は普通のうるち米の米粉と砂糖、味付けのニッキとケシの実だけで、作り方も単純です。もち米ではなくうるち米を使っているので、食感もよく、サクサクッとした噛みごたえ。材料がシンプルなだけにごまかしがきかないのが、難しいところですね。蒸し時間や温度は計らずに、職人のその時の感覚を大事に作っています。その時々の原材料の状態を見て対応しながら、変わらず一定の味に仕上げていきます。

―干菓子も生菓子も、食感にも魅力が。

鈴鹿 干菓子の「聖護院八ッ橋」はパリッとしながらバリバリじゃない。割れ口を見ますと砂糖がきれいにまじわってきらっと光っています。昔はもっと厚かったのですが、今はお客様の歯の状態に合わせて少し薄くしています。生菓子は、以前はすぐに硬くなっていたものを、いかにやわらかく保つかを研究開発してから販売しました。

―干菓子のパッケージもおしゃれです。

鈴鹿 昔ながらのもので、橋に杜若ですね。京都の呉服も昔のものは柄も生地もなんとも言えずきれいですし、作る方がよく勉強されていました。包装の意匠も同じですね。古くても幅広い方に受けるデザインです。

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「聖護院八ッ橋」の味わいのあるパッケージ。橋とカキツバタが描かれている。
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 あんを生八ッ橋で包んだ「聖」。

―あん入り生八ッ橋は「聖」というお名前で。

鈴鹿 聖護院の「聖」ですし、聖護院さんはお寺なので、お坊さんを意味する「聖」でもあるんです。

―八ッ橋はどんな飲み物と合わせるとよいでしょうか。

鈴鹿 うるち米だからでしょうか、お茶、抹茶、何にでも合います。そう甘くないので、お酒やビールにも合うんです。干菓子としてようかん等と組み合わせてもよいと思います。

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「聖護院八ッ橋」はアイスクリームとも相性抜群。おうちでアイスを食べる時には必ず添えたい。

―今後の展望を教えていただけますか?

鈴鹿 八ッ橋をご存知の方でも、お口に入れていただく機会が少なくなっているかと思います。娘(鈴鹿可奈子専務取締役)は、ゆくゆくは海外にも京都の味として出していきたいと考えています。何年、何十年とかけても広げていきたいと思います。短期間だけ売れてすぐになくなるものではなく、時間をかけて完成していくもの。なだらかに山を登って行って、急に下ったりはしない。それが伝統産品のあり方だろうと思っています。

―勉強になります。ありがとうございました。

聖護院八ッ橋_商品1

「生八ッ橋抹茶詰合」
価格:¥594(税込)
店名:聖護院八ッ橋総本店
電話:075-761-5151(8:00~16:30 元日は除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.shogoin.co.jp/p/item-detail/detail/i56.html
オンラインショップ:https://shop.shogoin.co.jp

聖護院八ッ橋_商品2

「聖・抹茶詰合せ」(10個入)
価格:¥594(税込)
店名:聖護院八ッ橋総本店
電話:075-761-5151(8:00~16:30 元日は除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.shogoin.co.jp/p/item-detail/detail/i33.html
オンラインショップ:https://shop.shogoin.co.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s Profile>
鈴鹿且久(株式会社聖護院八ッ橋総本店 代表取締役社長)
1949年京都市生まれ。京都産業大学経営学部卒業。大学卒業後、家業である聖護院八ッ橋総本店に入社。31歳の時に、社長就任。

<文・撮影/大喜多明子 MC/隅倉さくら 画像協力/聖護院八ッ橋総本店>

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