水産業界の未来を変える 可能性を秘めたシーフードデリが話題!

水産業界の未来を変える 可能性を秘めたシーフードデリが話題!

2022/11/24

太平洋に面した茨城県ひたちなか市は、古くから漁業が盛んな場所。明治時代には海産物の販売業、その後は加工業も発展し、市内には海に関わる多くの企業が存在しています。その中の1社「株式会社あ印」は、「世界の人々に『おいしい』の感動を届けたい」という想いのもと、主要食材である蛸、いか、海老の加工、また時代のニーズにマッチした商品開発などにも積極的に取り組み、業界内でも一目置かれる存在です。今回は、そんな同社を力強く牽引する代表取締役社長の鯉沼勝久氏に、同社の強み、そして今後の展望について伺いました。

株式会社あ印 代表取締役社長の鯉沼勝久氏
株式会社あ印 代表取締役社長の鯉沼勝久氏

―「あ印」というお名前、とても潔くて素敵ですね。

鯉沼 弊社は1887年ごろに、祖父が伝馬船の「あ印丸」を母船に海産物の販売を始め、1957年に、父が「あ印水産株式会社」として創業したのですが、昔は屋号に「〜印」と付けるのが流行ってみたいですね。それに「あ」は、50音の1番目。「業界で1番になる」という思いも込めたのだと思います。

―なぜ、蛸をメインに扱うようになったのですか?

鯉沼 創業時はマグロを買い付けて販売していたのですが、徐々にマグロが揚がらなくなり、代わりに蛸が揚がり始めるようになったそうです。蛸は冬場になると、三陸沖から産卵のため南の海に下ってくるのですが、それがちょうど千葉県沖くらい。そこで、弊社も蛸を扱うようになり、加工して販売するようになりました。ところが1950年代後半になると、今度は蛸も取れなくなってきた。当時社長だった父が、どうしようかと思いあぐねていたとき、母の従兄弟から「海外の蛸を買わないか」と提案があったそうです。その従兄弟は大手漁業会社のトロール事業部で本部長をしていたのですが、北大西洋の海域で網を引いたところ、蛸がたくさん入ってきたと。漁業会社の目当てはレンコダイなので、蛸は安く卸すことができるがどうだろうか、ということで、まさに絶妙なタイミングでした。

―加工する際にご苦労などはあったのでしょうか?

鯉沼 茨城県沖で獲れた蛸も、モーリタニアで獲れた蛸も、種類は同じなのですが、弊社では冷凍された蛸を加工するのが初めてだったので、かなり試行錯誤したそうです。蛸は、ビア樽のようなものに水と塩と一緒に入れて、ぐるぐる回しながら揉んでいくのですが、通常ならここで丸まっていくところ、冷凍物は丸まらない。再びどうしたものかと考えていたところ、ある日、機械のスイッチを切り忘れてしまい、いつもより長時間揉んでしまった結果、うまく丸まるようになったとか。弊社はいつも、運に恵まれているんです(笑)。

むっちりと蒸し上がった「あ印」自慢の蛸
むっちりと蒸し上がった「あ印」自慢の蛸。

―そこから、御社の大ヒット商品「味一番 中華風味たこ」が生まれたのですね。

鯉沼 蛸の加工が軌道に乗り、まずは東北や信州で需要のある酢蛸の製造を始めました。ところが昔ながらの習慣で、酢蛸は蛸の足だけを使っていたもので、いつも頭が残ることになり、処理に困っていたんです。そこで、今で言うフードロス対策として、頭を刻み、中華調味液とごま油で和えた「中華風味たこ」を開発しました。これが非常に好評で、類似品もなかったことから全国で販売することになりました。
その後、蛸以外の素材でも作れないかということで生まれたのが、「中華いか山菜」です。彩りがきれいになるので、山菜を加えました。面白いことに、「中華いか山菜」は沖縄で非常に売れ行きが良く、理由を探ってみると、さとうきび農家の方が1日の収穫を終え、皆で泡盛を飲む際のつまみにピッタリだというところから火がついたそうで、嬉しい想定外でした(笑)。その後、蛸バージョンの「中華たこ山菜」を作りました。

そのままいただいても、混ぜご飯にしても美味
そのままいただいても、混ぜご飯にしても美味。
いかの食感がしっかり味わえる「いか山菜」
いかの食感がしっかり味わえる「いか山菜」。

―その後発売された「海の食堂シリーズ」も好評のようですね。こちらが生まれたきっかけについても教えてください。

鯉沼 ちょっと保守的な水産業のイメージを変えたい、そして、若い方々にも水産物というジャンルへ門戸を開きたい、という思いが募ったのがきっかけです。小ぶりサイズのパックに、親しみやすいデザインを取り入れた商品を作りました。デザインは、クリエイティブ関係の仕事に就いている長女に依頼し、ネーミングもそのチームで考えてもらったのですが、「海の食堂」って、なかなか良い名前でしょう(笑)。人気の「中華たこ山菜」「中華いか山菜」もラインナップに加えました。

いつもストックしておきたくなる、「海の食堂」シリーズ
いつもストックしておきたくなる、「海の食堂」シリーズ。

―他にも「ひとくち梅酢たこ」や「やりいかやわらか煮」、「エビのマヨサラダ」など、蛸、いか、海老をおいしくいただけそうなものが揃っていますね。

鯉沼 「あと1品欲しい時に助かっています」や、「お酒のおつまみに楽しんでいます」といったお声をずいぶんいただくようになりました。アレンジもしやすく作っているので、野菜など素材を1つ加えて、ボリュームのある1品にできるところも魅力です。弊社のHPでは、「海の食堂」シリーズをアレンジしたレシピもたくさん掲載しているので、こちらもぜひ参考にしていただきたいですね。

「海の食堂」シリーズレシピページ:https://www.ajirushi.com/feature/

「海の食堂」より、「やりいかやわらか煮」(手前)と、「ひとくち梅酢たこ」
「海の食堂」より、「やりいかやわらか煮」(手前)と、「ひとくち梅酢たこ」。
「ひとくち梅酢たこ」を炊き込みご飯にアレンジ
「ひとくち梅酢たこ」を炊き込みご飯にアレンジ。
プリプリのエビが入った「エビのマヨサラダ」は、サンドイッチのフィリングにも
プリプリのエビが入った「エビのマヨサラダ」は、サンドイッチのフィリングにも。

―今後の展望についても聞かせてください。

鯉沼 蛸という素材は、日本ではまだまだサブ的な存在だと思うんです。これを、メインディッシュにまで持っていくのが弊社の目標です。たとえば、スペインには柔らかく煮た蛸に、パプリカとオリーブオイルをかけたガリシア風という料理がありますが、それとワインを用意すれば十分、1食として成り立ちます。他にも、煮蛸のトマト煮がドーンと出てくるなど、日本よりも蛸の楽しみ方が幅広いと感じています。また蛸は、高タンパク、低カロリーでヘルシー。だからこそもっと、蛸を味わうバリエーションをお伝えできる商品を作って行きたいですね。これまでにない新商品の開発や、“量”ではなく“質”に価値を見出してくれる方々とタッグを組んで新たな販売ルートを開拓するなど、様々な挑戦が必要になってくると思いますが、水産業界にイノベーションを起こすべく、積極的に進んで行きたいと思っています。

―今いる場所から、もっと高くて楽しい場所へ。水産業界から、日本の食卓をもっと豊かにしたいという思いが伝わりました。お話、ありがとうございました!

「海の食堂 魚介の選べる惣菜 おつまみセット」

「海の食堂 魚介の選べる惣菜 おつまみセット」(8品から6品選択可能)
価格:¥3,680(税込、送料込)
店名:株式会社あ印
電話:029-263-2111(平日 9:00〜17:00 水・日祝日除く)
定休日:水、日曜・祝祭日。インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/ajirushi/002-040/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/ajirushi/

「味一番 中華いか山菜 × 中華たこ山菜」(各150g×3パック)

「味一番 中華いか山菜 × 中華たこ山菜」(各150g×3パック)
価格:¥3,150(税込、送料込)
店名:株式会社あ印
電話:029-263-2111(平日 9:00〜17:00 水・日祝日除く)
定休日:水、日曜・祝祭日。インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/ajirushi/ikastakos150-2/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/ajirushi/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
鯉沼勝久(株式会社あ印 代表取締役社長)

1957年茨城県生まれ。1979年に株式会社あ印へ入社。2000年に同社代表取締役社長に就任。世界の人々に「おいしい」の感動を届ける食品メーカーを目指し、挑戦しつづけます。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/和田英利 画像協力/あ印>

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