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極上のぷりぷり感と丹念に仕上げた上品な辛味。まちがいなくごはんが進む!「辛子明太子『金印』」「明太子のたまり漬」

2022/05/19

みんなが好きなご飯のお供といえば、すぐ思い浮かぶのが辛子明太子。日本におけるパイオニアであり、明太子人気に火をつけたといわれるのが、山口県下関市の前田海産株式会社です。長年培ってきた厳しい眼と技で作り上げた辛子明太子『金印』、明太子のたまり漬は、いま味の最高峰として全国の明太子「通」をうならせています。代表取締役会長・前田登さんに、編集長のアッキーこと坂口明子がおいしさへのこだわりを伺いました。

社長
前田海産株式会社 代表取締役会長 前田登氏

―日本で初めての辛子明太子専門店としてお父様が創業されたんですよね。先駆者としてずっと大切にされていることは何ですか。

前田 同じ辛子明太子であっても、うちは常に良いものを作りたいという思いがありますから、トップランクの原料を選ぶことを心がけています。辛子明太子の原料であるスケトウダラの卵は、品質の良くないものを選んでしまうと、あとからどんなに手を加えても良いものにならない。ですから、父の時代からいわゆる「目利き」に力を入れています。

―良質な明太子を選ぶ際のポイントを教えてください。

前田 まずは触れた時の手ざわり。ぷりぷり感があるかどうかが大事ですね。それから、サイズは小さいものよりも大きいもの。卵の粒々の大きさも重要で、粒が大きいとそれだけ熟していると言えます。熟している度合いは表面の皮の色でもわかります。ただ、数値化するのは非常に難しく、経験を土台にした職人のような眼が必要になってきます。

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表面はつやつや、身はぷりぷり。上質な素材を厳選し加工。

―仕入れはどのように行われるのですか。

前田 スケトウダラはかつては北海道近海で獲れていましたが、近年はベーリング海やオホーツク海で獲れたものを入札で仕入れます。チャンスは1年に1回きり。ベーリング海であればシアトルまで行きます。毎年1月から3月の時期なのですが、その年によって海流や海水温が異なりますし、畑のように作柄を見られるわけでもありませんから、いろいろなところからたくさん情報を集めて、良い時期の良いものをピンポイントで選び出すわけです。気に入った原料がなければ入札しないまま終わったり、反対に仕入れすぎたり、リスクも伴っていて、ギャンブル的要素がありますね。ただし、欲しい原料が手に入らなかったからといって、水準に達しないものを代わりに使用することは決してしません。品質を守るために、常に先のことを考えてバランスを取りながら、原料を確保しているんです。

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辛子明太子の原料はスケトウダラの卵。

―創業は1961年。辛子明太子があまり知られていない時代ですから、ご苦労も多かったでしょう。

前田 自宅の裏に作った4坪ほどの工場で、少人数で一所懸命作っていて、当時中学生だった私も時々手伝っていました。当初は「こんな辛そうなものは売れない」とよく言われたそうですが、辛子明太子の辛さというのは刺激ですから、必ずこれがないとだめだという人が出てくると父は自信を持っていました。売れない時も安かろう悪かろうというものを作ってはだめだとか、商売は辛抱強くやらないといけないということをよく言っていましたね。

―そんな辛子明太子を広く知ってもらうために、どんなことをなさったのですか。

前田 私が入社したのは25歳の時。午前中は営業、午後は製造という毎日の中で、お得意様の意見を聞きながら唐辛子の量を調節するなど味を改良して、お客様に受け入れられるように工夫をしました。冷凍技術が発達していないなかでもおいしいものを届けるということを常に目指していました。九州で販売を始め、その後濃い味が好まれる名古屋で人気を集めて勢いがつき、東京へ、全国へと広がっていきました。北海道近海で原料が獲れていた時代には、港で一次漬けをする「浜漬」の商品がよく売れました。

良いものだけを選び、辛子明太子を全国に普及させた前田海産。
2代目の前田会長は12月12日「明太子の日」も制定。

―事業がうまく進み始めてからも困難やご苦労はありましたか。

前田 1977年頃に各国の漁業水域を設定する「200海里問題」が生じ、ロシア沿岸で日本の漁業ができなくなって、漁獲量が激減し原料が高騰したことがありました。他社が質を問わず量の確保に走るなかで、父は「お客様の目線になって商品を作らないといけない」とその年は仕入れを一切やめ、1年間は態勢を立て直すことだけを考えました。しばらくして、在庫過多になって多くの会社が倒産しましたが、父には、何があっても質のよいものしか売らないという思いとリーダーシップがありましたから、私たちはなんとか危機を免れたと思います。そんな父の背中を私は見てきましたし、今も父の教えや姿勢を常に思い返しています。

―その後発売されたのが看板商品の「金印」ですね。明太子のおいしさはもちろん、柚子の香りも絶妙です。

前田 原料の獲れる海域が変わり、浜漬ができなくなる一方で、冷凍技術の向上があり、浜漬はなくとも今こそ我が社の最高品質のもの、ゴールド印を作りたいということで生まれたのがこの商品です。隠し味はさまざまな候補の中から、試行錯誤の末に柚子に決まりました。原料はすべて良質のものを使うと考えていましたから、柚子も既製の材料ではなく、宮崎産の柚子そのものをこの商品のためにすりつぶしてもらっています。香りを大事にしたいので、コスト度外視なんです。

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「辛子明太子『金印』」(500g入)。
解凍中もこの色、この艶。瑞々しさが伝わってくる。

―「明太子のたまり漬」も2代目の時代に開発された商品ですね。

前田 辛子明太子が苦手な方、たらこでは物足りないという方、どちらもいらっしゃるのでそういう方に向けたものとして、醤油味のたまり漬を開発しました。醤油が強すぎてはダメなので研究し、その時にヒントにしたのが名古屋のたまり醤油です。1年ほどかけて、卵に浸透しやすいようアレンジしたたまり醤油を完成させ、北海道産の昆布を合わせました。昆布はそれだけでもおいしく食べられる上質のもので、冗談で「漬けたこの昆布だけ売ってくれ」という声もあるほどです。

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アレンジしたたまり醤油を使った「たまり漬」。
唐辛子が苦手な子供にも人気。

―まさにすべての原料にこだわっておられるんですね。

前田 もちろん安心安全もそうですし、原料と同様に熟成期間というのも大事にしています。明太子はまず漬け込んで味を浸透させて、冷蔵保管庫で寝かせてから仕上げます。寝かせることで風味が変わってくるんです。

―ひと口食べるだけでごはんがどんどん進んでしまって(笑)。 温かいごはんとの相性がぴったりですね。

前田 ほかにもパスタやバタートーストと合わせるなど、最近はいろいろな食べ方をされていて、和洋中全部に合うと思いますね。明太子が無名だった頃と比べると、辛味も塩分も変わってきて現代の食に合わせやすくなっています。明太フランスという商品も販売しているんですよ。また現代性という点では、金印やたまり漬とは別のカテゴリー商品ながら、我が社では10年ほど前から、食品ロスを減らそうと「食の大切さを意識する」をテーマに、4年ほどかけて冷凍冷蔵技術や安全な添加物、酸化を防ぐ包装資材の研究を重ね、賞味期限の長い商品を作り出すことに成功しました。以前から取り組んでいたことが、結果的にSDGsなど今の時代に合っていたわけです。そして、ものを作る上で品質管理と商品開発には投資の必要性を感じ、品質管理部を独立させました。この部署は基準を守る強い権限を持っていますから、社内のトップでもゴリ押しは通りません(笑)

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徹底した品質管理のもと、
商品は風味を損なわない状態で冷凍し届けられる。

―時代の先端を行かれています。今後のビジョンをお聞かせください。

前田 食の大切さを考えることや味へのこだわりは続けていきながら、父と私の代で明太子を日本全国に広めたように、今後は海外にも広めたいと取り組みを始めています。7年ほど前にはアメリカの「ディスカバリーチャンネル」でも紹介されました。海外で展開するには厳しい規制がありますが、対アメリカの衛生基準であるFDA HACCP、EU向けのHACCPも取得し、基準に合った工場、商品を作っています。いまはコロナ禍で動けない部分もありますが、EUには一番乗りで出店できればと思って準備を進めています。現在は明太子ソースの「MAEDA SAUCE」を海外に出していて、まずは明太子の味を知ってもらえたらと思っています。日本の有名な食材と同じように、「MAEDA SAUCE」が明太子の代名詞となって覚えていただくのが夢ですね。

―貴重なお話をありがとうございました。

金印_商品1

「辛子明太子『金印』」
▶価格 ¥5,400(税込)
▶店名 辛子明太子 前田海産
▶電話 083-267-5151
▶内容 辛子明太子500g
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶お店のURL https://www.maeda.ne.jp
▶商品URL https://www.maeda.ne.jp/item.html

たまり漬420g_商品2

「明太子のたまり漬」
▶価格 ¥4,860(税込)
▶店名 辛子明太子 前田海産
▶電話 083-267-5151
▶内容 明太子たまり漬420g
▶定休日 インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶お店のURL https://www.maeda.ne.jp
▶商品URL https://www.maeda.ne.jp/item.html

<Guest’s profile>
前田登氏(前田海産株式会社 代表取締役会長)

1947年山口県下関市生まれ。中央大学卒業後、㈱辻野に入社し2年の修行期間を経て1971年前田海産㈱に入社。1987年代表取締役社長に就任。現在は同社会長として経営陣への助言、とりまとめ役として活躍。

<文・撮影/大喜多明子 MC/中田紗也夏 画像協力/前田海産>

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