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目からウロコのおいしさ。鯨肉を愛知らしく仕上げた「自家製 くじらどて煮」

2022/05/09

鮮魚の卸売や小売、そして飲食店を名古屋圏で展開する元気な鮮魚店。魚屋さんながら、味わいや栄養価に魅せられ、力を入れるのが、日本が古くから食してきた鯨だそう。今回編集長アッキーこと坂口明子が気になった株式会社寿商店 代表取締役社長の森嶢至(たかし)氏に、取材陣が伺いました。

社長
株式会社寿商店 代表取締役社長の森嶢至氏

―寿商店は、森社長が1980年に創業され、一代でこれほど注目度の高い企業にされたのですね。

 実家が鮮魚の卸売りをしており、魚が身近な環境で育ってきました。1980年にスーパーの一角で小売りするところからのスタートでした。1人でも多くの人においしい魚を届けたいという一心で、卸売や飲食業、そして通販と事業を拡げてきました。今は、2人の娘も入社し、SNSや動画配信など新しいPRツールも使いながら、魚の魅力を発信しています。その根底にある、日本の伝統的な食文化である魚や海洋資源を守り、継いでいきたいという思いは変わりません。

―魚一筋の森社長が、鯨料理に注力されたきっかけは?

 実は、昔に鯨ベーコンを食べた時、好みじゃなかった上に蕁麻疹が出て、それ以来敬遠していたのです。しかし魚屋なので、捕鯨の是非が社会的に問われるようになったころ、お客さんに聞かれることが増えました。そこで自分なりに捕鯨問題をリサーチしつつ、まずは食べてみようと、人気店を探して再度挑戦。ハリハリ鍋だったのですが、愕然としました。こんなにおいしい物を今まで放っておいたのか、やらなくちゃ! と。

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お客さんからの問いをきっかけに生まれた商品。

―鯨の認識が変わったんですね。

 そこからは、仕入れルートの確立や、コミュニティへの参加、鯨料理の研究など、いろいろ試しました。鯨は12~13の部位に分けられるんですが、頭から尾の先まで無駄なところがありません。弊社の飲食店でも、刺身やステーキ、竜田揚げ、ハリハリ鍋などたくさんのメニューを出しています。

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頭から尾の先まで無駄なくおいしくいただける鯨。

―「くじらどて煮」はどのような商品でしょうか?

 いろいろな部位を試食した中で、すじの部分がとてもおいしかったのです。特に、調理中に出る脂が、牛すじとは比べられないほどおいしくて、これは煮込み料理に向く、と思いました。そして、地元愛知の郷土食である豆味噌で煮る「どて煮」にしよう、と。始めからどて煮をつくろうと思ったわけではなく、最初に素材があって、それに合う料理を追及した結果できた料理です。

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じっくり煮込まれてとろとろの食感に。

―鯨になじみのない人にも食べやすく、白ご飯にとっても合いますね!

 ありがとうございます。鯨や魚に限らず、初めて口にする物のクオリティは大事だと思うんですよね。冷凍の魚を食べていた魚嫌いの人が、初めて旬の生魚を食べたときに認識が変わるというような……。料理を提供する我々が、調味料などでごまかすのではなく、良い素材を選び、生かす調理をしてお出ししなくては、と思っています。どて煮は、ネギや七味はもちろん、卵との相性もいいですよ。カレーやコロッケにするのもお勧めです。

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半熟卵と絡まって濃厚に。白いご飯が進む味。

―捕鯨問題についてもお聞かせいただけますか?

 鯨との付き合い方が、日本は食文化ですが、一部の国は「ホエールウォッチング」のような観光や鑑賞であるという根本的な考えの違いがあります。鯨が保護されすぎて増えると、鯨のエサであるイワシが減るなど、海の生態系に影響があるという報告もあり、実は捕鯨容認国が増えているんですよ。

鯨の生態調査について、日本はトップレベル。鯨をむやみに獲るのではなく、日本の伝統的な食文化を守りながら生態系を保とうとしていると考えています。

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袋のまま熱湯で5分温めるだけ。

―おいしいのもそうですが、鯨は栄養的にも優れているんですよね?

 海にいますが、鯨は魚ではなく哺乳類。しかも家畜と違って野生、いわばジビエですよね。特に赤身は畜肉に比べて高たんぱくで低脂肪です。うちの店で扱うのは南極海のミンククジラなのですが、1年の半分は高緯度の冷たい海でエサを食べ続け、繁殖のために数千キロ離れた暖かい海に移動。残りの半年はほとんどエサを取らずに子育てに専念し、そのまま冷たい海に戻るそうです。その驚異的な体力の源が、「バレニン」というアミノ酸だといわれています。疲労回復効果に優れ、アスリートも注目の成分とか。おいしくてヘルシーな鯨という日本の食文化を、これからも守っていきたいと思っています。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

IMG_4463_商品

「くじらどて煮」
価格:¥580(税込)
店名:寿商店Online shop
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品ページ:http://s-kotobuki.shop-pro.jp/?pid=137650914
オンラインショップ:http://s-kotobuki.shop-pro.jp/

<Guest‘s profile>
森嶢至氏(株式会社寿商店 代表取締役社長)

1960年1月1日愛知県生まれ。名古屋唯一の漁港・下之一色魚市場で魚屋を営む両親の背中を見て育ち、22歳でスーパーの1テナントで「寿商店」を開業。魚のおいしさを伝えるために飲食店を展開するだけでなく、SNSやYouTubeなど、魚食文化を広めるための活動に心血を注いでいる。
故郷への想いから2022年4月に下の一色魚市場をオープンし、下之一色魚市場の復活を狙う。モットーは「損得より善悪」。

<文・撮影/植松由紀子  MC/鯨井綾乃 画像協力/寿商店>

羽田甚商店

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