第13回 シドニー編 その1 ~シドニーで夢をかなえた日本人オーナーシェフのお店「Cafe Kentaro」~

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季節は日本と逆になる、南半球オーストラリアの最大の都市、シドニー。日本から多くの観光客がやってきます。北と南が逆さになっている世界地図が売っていたりします。
その、シドニーのサリーヒルズ地区はお洒落で人気のカフェやレストランが多い賑やかな場所ですが、今回ご紹介する「Cafe Kentaro」は街路樹のトンネルがあるバーク・ストリートの落ち着いた一角にあります。
オーナーシェフのケニー・タカヤマさんは2001年にワーキングホリデーで渡豪。その時が初パスポート、初海外、初飛行機で英語もまったく出来なかったそうです。2010年から大人気カフェ、Billsのヘッドシェフを3年間経験した後に独立。2015年に1軒目、翌2016年に2軒目のカフェを立て続けにオープンされました。中学生の頃からの夢「美味しい食事ができる喫茶店を開店する」をカフェの激戦区シドニーでかなえることになったのです。

1軒目の店名は長年の構想で本名Kentaroの逆綴りで「Oratnek (オラトネック)」に迷わず決まりました。2軒目はスタッフの意見を取り入れて「Cafe Kentaro」にしましたが、自分の名前をそのまま店名にすることにもともと抵抗があったので「Oratnekの逆綴り」とお店のウェブサイトでも説明しています。
外には店名はなく緑色のフォークの看板が目印。店内はレトログリーンと木のブラウンで温かみのある雰囲気です。「ラスティック(素朴)でシンプル、居心地の良い店で美味しい料理を食べてもらう」ことがお店のモットーだそうです。

料理で一番大切にしていることは、寝かして味を良くするもの以外は、その日に作ってその日に提供する。冷凍庫もアイスクリーム、フローズンフルーツ、氷ぐらいで、料理を冷凍保存はしません。だから電子レンジも必要なし。自家製にもこだわり、ジャム、ソース、カスタードなど作れるものは極力自分で作られているそうです。フレッシュでナチュラルで美味しいものだけを提供するのが「Cafe Kentaro」の一番の魅力です。料理の盛り付けも素朴でかっこよくでもどこかに可愛さがないとダメという「かっこかわいい」のがケニー・スタイル。

1軒目の「Oratnek」の看板メニューとなったカツサンドは常連客の希望もあり、このカフェでも提供しています。200gの厚切り豚ロースを肉汁が滴るくらいジューシーに揚げたカツサンドはボリューム満点。メニューにも明記してあるように「15分待つ価値あり」です。最初から看板メニューを狙ったわけではなく、「まずは自分が食べたいものを作る。そのほうが愛情が注げるから」と語るケニーさん。その正直な思い入れが地元オーストラリア人のお客さん達にも伝わって看板メニューになりました。
次に人気があるのが程よくぱらっと仕上がったトマトライスに卵3個と生クリームでふんわり仕上げたオムレツと濃厚なドミグラスソースが乗ったオムライス。ソースの隠し味は八丁味噌。個性の強い味噌が主張しすぎず、たっぷりのマッシュルームに絡んでまろやかな味わいです。

コーヒーの味にも一切妥協無し。こだわり抜いた「Cafe Kentaro」だけのオリジナルブレンド&焙煎を使っています。店内のオーダーとテイクアウトのコーヒーをバリスタのベンさんが手際よく淹れていきます。オーストラリアではまだあまり知られていない水出しコーヒーもここで飲むことが出来ます。4~6時間かけてドリップし一人前ずつボトルに入れて冷やしたものを、大き目の球状氷を入れたグラスと一緒に提供しています。

抹茶ラテと抹茶のスイーツを目当てに来店するお客さんもたくさんいます。オーストラリアでもここ数年抹茶が大ブーム。静岡から直接仕入れている高品質の抹茶をドリンクにもスイーツにも惜しみなく使い抹茶本来の苦みとまろやかさをしっかりと味わうことが出来ます。
抹茶シュークリームはシンプルな生地の上に抹茶のクッキー生地を乗せて焼き上げたシューの中に、抹茶のパティシエール(カスタード)とホイップクリームがこぼれんばかりに入っています。シューは毎日焼いてオーダーが入ってから半分に切り2種類のクリームを詰めています。
チョコレートのコーティングにココナッツをまぶしたとても甘いオーストラリアの国民的なお菓子ラミントンも、ここでは抹茶の苦みとほんのりしたスポンジの甘さが絶妙な抹茶ラミントンとしてアレンジされています。スポンジはベーキングパウダーを入れずに卵の力だけでふんわりと焼き上げています。

オーストラリアのカフェの定番メニュー、バナナ・ブレッドも毎日焼き上げ、一晩寝かせて味をなじませませから翌日トーストして自家製黒蜜を練りこんだバターを添えます。

他にもメニューには焼きそばソーセージパン、から揚げバーガー、軟骨入りつくね、納豆パスタなどがあります。これだけ和のテイストのメニューだと日本人のお客さんばかりなのかと思えば、地元のお客さんの数が圧倒的に多いそうです。特に平日朝7時のオープンから昼前までは、常連客が毎日同じ時間に来るので時計を見なくても時間が分かるようになったとケニーさんは笑っていました。
お寿司、天ぷらのような日本食の王道ではなく、洋食やB級グルメの味をカフェという形で提供し大成功している「Cafe Kentaro」は、新しい日本文化発信スポットと言えるような気がします。

CafeKentaro
616 Bourke Street, Surry Hills, Sydney
https://www.cafekentaro.com.au/

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