オーガニックレストラン「アルゴ・アシ(Algo Así)」

「スペイン農村ベストレストランTOP10」 週末だけの営業 オーガニックレストラン「アルゴ・アシ(Algo Así)」

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ぜひ、現地に行ってお試しください。

スペイン編 第2弾

食通の知人や様々な評価サイトで高評価を受け、いつか行きたいと思っていたレストランがありました。そのレストランは田舎にぽつりとあり、完全予約制で週末のみオープン、メニューもおまかせという一風変わったスタイルの店。今回は、そのレストラン「アルゴ・アシ(Algo Así =「そのようなもの」という意)」に行って来ました。

まず、完全予約制なので電話で予約。予約時にアレルギーなど食べられないものがないか聞かれ、値段は一人33ユーロ(現金または銀行振り込みのみ)。事前に分かっているのは「オーガニック食材を使った5品の料理、ワイン、コーヒー&ハーブティー」がでてくるということのみで、それ以外は行ってからのサプライズ。

場所は、ポルトガルに隣接するエストレマドゥーラ州カセレス県カニャメロ村。世界遺産「サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院」があるグアダルーペから近い。レストランがあるのはその村の中心から田舎道を5分ほど車で走らせたところにあり、周りはオリーブの樹が広がるばかり。「こんな田舎にレストランがあるのだろうか」と心配になりかけたところで、レストランの看板が現れ一安心。敷地内に入っていくと作業中の男性が、オリーブの樹々の間を指差しながら「そこらへんに駐車して」と合図。予約時間より早めに着いたため、その人がレストランまわりの畑やオープンテラスを案内してくれました。

周りはオリーブの樹が広がるばかり
レストランまわりの畑やオープンテラスを案内してくれました

そうこうしているうちに予約時間が近づき、その男性は「そろそろ料理の準備をしないと」とキッチンに消えていきました。そう、その人こそがスイス人オーナー・シェフのフランク・ジンツィッヒさん本人だったのです。

20年以上前、シェフの卵だったフランクさんは妻のスザンナさんと地中海を目指してレンタカーで旅をしていました。道路が二股道に分かれるとコイントスの裏表で進む方向を決めたという。そんなあてのない旅の途中で宿泊することになったのが、このカニャメロ村。当時は村にバルが一軒しかなく、空腹を満たそうと入ったところ、中では大勢が一台のテレビに向かいサッカー観戦に熱中で、バルのオーナーでさえもフランクさんたちに「今、食事は作れないから後で」と塩対応。仕方なくサッカーが終わるまでビールを飲み「凄いところに来てしまった・・・」と思ったという。しかし、試合が終わり殆どの客が帰ったところで、オーナーのペドロさんの対応が一変し、「さあ、何を食べたい? 今日は俺のおごりだ!」と神対応。フランクさんたちは、その厚遇に感動し、その後ペドロさんをはじめとする村人たちに何日も引き止められ、気が付いたら何と住み着き、レストランをオープンしていたのだとか。

スイス人オーナー・シェフのフランク・ジンツィッヒさん本人

そんなのどかな田園風景が広がるレストラン「アルゴ・アシ」は、口コミで評判が広がり、今では早めの予約を入れないと席が確保できないくらい大人気。2017年にはイギリス大手新聞「The Guardian」から「スペイン農村のベストレストランTop10」にも選ばれたほど。

レストランの装飾は村のご近所さんであるアーティスト、アントニオ・マルティンさんによるもの。外壁はどこかアフリカ美術を思わせるようなモザイクタイルアートが広がり、エキゾチックさを感じさせます。内装も、絵画や照明など、すべて友人のアーティストたちによるもの。さらに陶器製のお皿やピッチャーなど食事で出される食器類までアントニオさん作で、すべてに手作り感満載。

レストランの装飾は村のご近所さんであるアーティスト、アントニオ・マルティンさんによるもの
絵画や照明など、すべて友人のアーティストたちによるもの

席に着くとまず、このレストランだけのためにボトリングされたオーガニック・ロゼ・ワインと、その横にはパッションフルーツ、オレンジ、セイヨウスモモ、ブドウを混ぜたフレッシュジュース、有機素材のみを調合して焼いた自家製パンが置かれていて、どれもお代わり自由。ウェイターが「お酒があまり強くない方はワインとジュースを好きな分量で混ぜると美味しいサングリアになりますよ」と教えてくれ、その通りに飲むと爽やかで飲みやすく、どんどん飲めてしまいそう。

このレストランだけのためにボトリングされたオーガニック・ロゼ・ワイン
有機素材のみを調合して焼いた自家製パン

サングリアを飲んでいると、まずアペタイザーとして出てきたのはベジタブルパイ。自家栽培の野菜を素材にクミンのスパイスが効いて、しっとりとした食感。

そしてシェフのフランクさん自らが一皿目、アイルランド風シーフード煮込みを手に登場。ガリシア産ムール貝、カディスの海老、アイルランド産のタラとフランスニシキガイなど、魚介類は全て厳選された現地直送品。海のない田舎でいきなりのシーフードにびっくりしつつ、魚介類と海藻のうま味やスパイスが凝縮されたスープもパンに浸して一滴残さず飲み干しました。

アペタイザーとして出てきたのはベジタブルパイ
アイルランド風シーフード煮込み

二皿目は牛のランプステーキのイベリコベーコン巻き。これは食材が持つ本来の味を楽しめる一品。柔らかなステーキや食欲をそそる香りのイベリコベーコンの旨さはもちろんのこと、ステーキが乗せられているカリッと焼かれたトルティータが美味! 素材を聞くと何とそば粉が使われているのだという。付け合わせにはマスタードとマルメロ(西洋カリン)ジャムで味付けされたコールスローで、肉料理によく合います。

ここで「お口直しに」と出てきたのは、ウチワサボテンの実のシャーベット。サボテンは乾燥地域として知られるエストレマドゥーラ州ではよく見かける植物で、その実を使ったシャーベットは、ほんのり甘くて素朴な味。

牛のランプステーキのイベリコベーコン巻き
ウチワサボテンの実のシャーベット

そして、3皿目に出てきたのが、炭火焼イベリコ豚とラム肉の串焼き。付け合わせには自家菜園で取れた皮付きフライドポテト。イベリコ豚にはじっくり煮込まれたソースがかかっていますが、豚肉が有名な土地だけあって、粗塩だけでも十分なくらいお肉自体がジューシーでイベリコならではの旨味たっぷり。ラム肉も炭火焼きの香りがラムのクセを抑え、濃厚かつシンプルな美味さ。

炭火焼イベリコ豚とラム肉の串焼き

4皿目は7種のチーズとフルーツの盛り合わせ。チーズは自分で好きなものを好きなだけ切って食べることができ、アビラ産山羊チーズ、
サモラ産ヒツジチーズ、バダホス産オーガニックチーズ、スイス産チーズ、ブルーチーズなどなど。チーズの酸味とフルーツの甘みが良くマッチして、食べ尽くしたい気持ちはありつつも、既に胃袋がキャパオーバー寸前!

7種のチーズとフルーツの盛り合わせ

最後の5皿目にスザンナさんが持ってきてくれたのが3種のデザート。杏子とゴマのアイスクリーム、チョコレート・トリュフ、ルバーブとギリシャヨーグルトのプリン。サイズが小さめなのでそれぞれの味を堪能しつつ何とか完食しました。

デザートも終わり満腹感を味わっていると、フランクさんがスペイン蒸留酒のオルホ、ハチミツやリコリスのリキュール類、ハーブティー、自家製コーヒーなど手に持って再登場。特に美味しかったのは甘い特製コーヒー。エスプレッソ、カカオ、シナモンに、消化を助ける働きもあるショウガが混ざっていながら意外とマッチしていて落ち着く味でした。

杏子とゴマのアイスクリーム、チョコレート・トリュフ、ルバーブとギリシャヨーグルトのプリン
フランクさんがスペイン蒸留酒のオルホ、ハチミツやリコリスのリキュール類、ハーブティー、自家製コーヒーなど手に持って再登場

すべてのお皿を下げる時にウェイターが「お代わりはいかがですか」と聞いて来たのにもびっくり(チーズのみリピート不可)。このレストランで満腹感を得ずに帰る人はいないでしょう。テーブル数も少ないため、ウェイトレスの気配りも万全でサービスも満点。

食べ終わって外に出ると、オリーブ畑にスペイン語で「消化散歩道」というサインを発見。さすがにこれだけ食べると、帰路に着く前にちょっとオリーブ畑を散歩して、消化が必要かもしれません。のどかな田園風景を歩きながらこのレストランが高評価な理由が分かりました。

消化散歩道
アルゴ・アシ(Algo Así)
アルゴ・アシ(Algo Así)外観

レストランデータ
住所:10136カニャメロ(カセレス県)
電話:(+34) 927 369 322 / 608 703 673
営業時間:
金〜日、祝日、連休日
ランチ 14:00~16:00、ディナー 21:00~23:00
(夏はディナーのみ。8月は水・木もオープン。12月中旬から1月中旬は冬期休暇)

サイト:無し(フランクさん曰く、十分にお客さんもきてくれているので必要ないとのこと)

※ちなみに「スペイン農村のベストレストランTop10」に選ばれたイギリス大手新聞「The Guardian」のサイトページは:
https://www.theguardian.com/travel/2017/jul/20/10-best-restaurants-rural-spain-andalucia-catalonia-mallorca

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