今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、「うどん県」香川の有名すぎる名物と、知られざるご当地グルメがセットになったコラボ商品です。株式会社紀州屋 代表取締役社長の中上裕喜氏に、取材陣がお話を伺いました。

株式会社紀州屋 代表取締役社長の中上裕喜氏

―創業からの歩みをお聞かせください。

中上　弊社は1911年に創業。製麺業と、小麦粉や砂糖など食品原料の卸売業を2本柱としてきました。現在も、卸売部門では近隣の食品工場やうどん店・菓子店などに小麦粉、砂糖、油、調味料などを配達しています。製造部門では、自社製麺工場を持ち、さぬきうどんの製造販売をおこなっています。

―うどんづくりへの想いやこだわりは？

中上　食品問屋として多くの小麦粉を扱っていますので、取扱している小麦粉から数種類をブレンドし、香り高く味に深みが出るような配合にしています。

―そのうどんのコラボ商品誕生の背景は？

中上　数あるさぬきうどんメーカーの中で差別化を図るのは非常に難しいと常々感じていました。材料は小麦粉と塩のみですから。しかも、うどんは比較的単価が安いので、贈答用の価格帯に合わせると、結構なボリュームになることも気になっていました。そこで、付加価値のある他メーカーの商品とコラボすれば、ギフトとして差別化でき、お客様にも喜ばれるのではないかと考えたのです。

香川県といえば讃岐うどんが有名で、自ら「うどん県」を名乗るほどですが、実は、骨付鳥も隠れた名物料理です。スパイシーに焼き上げた骨付きチキンなのですが、地元民は、昼にうどん、夜は骨付鳥を片手にビールを飲むのが定番スタイル。そうはいっても全国的な知名度はまだ低いことを、「さぬき、もう一つの名物」をキーワードに「さぬき骨付鶏」を展開する有限会社さぬき鳥本舗の豊嶋紀雄社長は悩まれていました。

我々は利害が一致。冷蔵商品である「さぬき骨付鶏」に、弊社の冷蔵商品「さぬき純生うどん」を合わせて「香川名物ワンツーセット」として売り出すことにしたのです。

香川県の2大名物を組み合わせたギフト商品。

「これぞさぬきうどん！」といえる強いコシがあるので、
なべ焼きにしても食べ応えあり。

―お客様の反応は？

中上　うどんのリピーターさんが、初めて骨付鳥を食べてそのおいしさに驚いたという声がありました。おかげさまで、当初目標としていた数をクリアして、オリジナルのパッケージを作ることができました。

香川県内の方が県外の方へ贈るギフトとしての需要が多いので、受取られた方が香川を感じられるパッケージにしました。外箱は捨てられてしまうので、リサイクル可能な段ボールを採用。弊社のある観音寺市を象徴する銭形砂絵と、さぬき鶏本舗さんのある三豊市で有名な紫雲出山（しうでやま）の桜をモチーフにイラストを描き起こしてもらい、フルカラーで印刷しています。

蓋を開けると右側にうどん、左側にさぬき骨付鶏が入っていて、蓋の裏に銭形砂絵と紫雲出山の桜の説明書きがあって、左右呼応して見ていただけるようになっています。実は、商品を取り出した底面には、三豊と観音寺以外の香川の観光スポットも紹介しています。

瀬戸内の穏やかな雰囲気が伝わるオリジナルのパッケージ。
段ボールにつきがちな「段」の跡が目立たないよう、
全体に薄く青海波が描かれている。

―今後の展望をお聞かせください。

中上　香川県は「うどん県」を名乗るだけあって本当に讃岐うどんの店がたくさんあります。他の店と何が違うの？と聞かれても、明確に答えるのは難しい……。ですが、おかげさまで弊社のうどんはリピーターがかなり高い確率でいらっしゃいます。一度食べれば評価いただけるならば、まずは食べてもらうことが課題ではないかと思っています。おいしいうどんを作っている自信はありますから、少しずつ広がっていけばありがたいですね。

―素晴らしいお話をありがとうございました！

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞

中上裕喜（株式会社紀州屋 代表取締役社長）
1982年大阪府生まれ。転勤で香川に赴任し、結婚を機に2016年紀州屋に入社。2022年代表取締役社長に就任。

＜文／植松由紀子　MC／田中香花　画像協力／紀州屋＞