
山形を代表する味覚“さくらんぼ”がスイーツに!まろやかな黄身餡をチョコレートで包んだ「さくらんぼのたまご」
2025/05/15
今回編集長アッキーが注目したのは、山形県の特産品「さくらんぼ」をモチーフにしたお菓子「さくらんぼのたまご」。まろやかな黄身餡をさくらんぼチョコレートで包んだ、見た目も愛らしい逸品です。手がけたのは、道の駅やアンテナショップなどを運営する株式会社チェリーランドさがえ。代表取締役社長の本間安信氏に、スタッフがお話を伺いました。

株式会社チェリーランドさがえ 代表取締役社長の本間安信氏
―まず社長のご経歴を教えてください。
本間 大学卒業後、東京で起業し、自分の道を歩んでいました。まさか自分が“道の駅”の運営に携わることになるなんて、当時は想像もしていなかったんです。
山形に戻ってきたのは、35歳のとき。まったくの異業種からの転身でした。今では、寒河江市の道の駅でもある「チェリーランドさがえ」を中心に、さがえサービスエリア、東京のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」、別会社では山形駅ビル最上階の「中国料理 紅花樓」や戸沢村「白糸の滝ドライブイン」など、5つの拠点を運営していますが、ここにたどり着くまでには、まるでドラマのような展開があったんです。
もともと私は、家業を継ぐ予定はありませんでした。父からは「お前は自分の道を生きていけ」と背中を押され、東京で自分の事業に打ち込んでいました。というのも、この会社を創業したのは父の兄、つまり私の伯父なんです。伯父は立ち上げからわずか数年で急逝し、その後を父が継いだという経緯がありました。父には「いつかは伯父の息子(=私のいとこ)に戻すつもりだ」という強い思いがあったようです。
そんなある日、父から一本の電話が入りました。「体調が良くない。戻ってきてほしい」。その言葉に応える形で、私は山形に帰ることを決意しました。まさか、それがすべての始まりになるとは思ってもいませんでした。
戻って1年ほど経ったある日、弁護士、ファンド、金融機関の方々が集まる会議に呼ばれ、突然、告げられたのです。「借入金7億7,700万円」。その場にいた私は、しばらく言葉を失いました。いとこは継承を辞退しており、私に残されたのは「会社をたたんで東京に戻る」か、「借金を引き継いで、経営者として立つ」かという二択。

山形県のほぼ中央、寒河江市にある道の駅「チェリーランドさがえ」。
山形の風土が育んだ食や地酒、伝統工芸などの魅力を発信している。
―その時のご決断は難しかったのではないですか?
本間 人生でこれほど重い決断をしたのは初めてでした。2週間、眠れない夜が続きました。弁護士さんからは「倒産したほうが賢明」と助言もありましたが、私の中には、どうしても割り切れないものがあったんです。
父が築いたもの、支えてくれる従業員の存在、そして何より地域の未来を支えているこの会社の役割。そのすべてが、私の背中を押しました。会社を継ぐ――その決断を、私は選びました。
実は、当社には2つの法人があり、取材を受けている「株式会社チェリーランドさがえ」は寒河江市や県、JAなどが出資する第3セクター。一方、借入金を抱えていたのは民間主体の別会社でした。そちらは特別清算の手続きをとり、父からチェリーランドさがえの株式をすべて買い取る形で、2019年3月、正式に代表取締役に就任しました。
就任後は、すぐに株主や関係者への説明に奔走する日々が始まりました。「いきなり経験のない息子に任せて大丈夫なのか」という声も少なくありませんでした。でも、ひとつずつ丁寧に、経営計画と将来ビジョンを説明してまわり、約1年かけてようやく信頼を得られるかというところ、ようやく体制を整え、「さあ、これから!」というタイミングで、コロナ禍が世界を襲ったのです。

産直コーナーに並ぶのは、フルーツ王国・山形を代表する季節の果物たち。
地元の銘柄牛やブランド米、山菜などの旬の野菜も購入できる。
―コロナ禍中は、休業されていたのですか?
本間 はい、2020年5月のゴールデンウィークには県の要請により休業しました。通常なら観光のピーク時期ですから、当然ながら経営的には厳しい判断でした。
でも、不思議とこの時間が私にとって転機となりました。この期間を、施設の未来を見つめ直す絶好のタイミングだと捉え、リニューアル構想に着手したんです。
―リニューアルではどのような変化がありましたか?
本間 思い切って、“チェリーランド”という名前にふさわしい施設へと生まれ変わらせました。山形といえばさくらんぼ。その象徴を、館内のあらゆる場所に散りばめました。壁にはイラストやパネル、そしてコンセプトカラーとして大胆に「黒」を採用しました。
「道の駅で黒なんて前代未聞」と反対の声もありましたが、黒地に赤いさくらんぼがとにかく映えるんです。結果的に、印象的なビジュアルが話題となり、「ここは写真を撮りたくなる道の駅だ」とSNSでも取り上げられるようになりました。

道の駅には、パフェやソフトクリーム、フルーツサンドなど、
1年を通してさくらんぼメニューを提供するカフェも併設。
―チェリーランド内のショップでは、どれくらいの商品を取り扱っているのでしょうか?
本間 全部で約3,000種類、そのうち700種類がさくらんぼ関連商品です。その中のひとつが「さくらんぼのたまご」。これは、私が入社する前、2011年の東日本大震災をきっかけに誕生しました。山形からも何かできることはないかと考え、岩手県のメーカーさんとコラボして、売上の一部を震災復興に寄付する取り組みとしてスタートしたんです。

コラボしたのは、「かもめの玉子」で有名なさいとう製菓。
まろやかな黄身餡をさくらんぼ風味のチョコレートで包んだお菓子で、
ひと口食べればやさしい風味が広がる。
―今回ご紹介する「さくらんぼのたまご」には特別な仕掛けもあるとか。
本間 はい。商品の中には「やまがた舞子プレミアムカード」が封入されています。単なる土産販売に留まらず、山形市のお座敷文化、伝統芸能文化を伝え広めることで地域貢献ができればという思いで始めました。カードは12種類あり、キラキラのレアカードが当たると、チェリーランドでタンブラーと交換できるんですよ。

商品の売り上げの一部はやまがた舞子の活動費に充てているそう。
「ただ物を売るだけではなく、山形の文化や魅力を伝える付加価値を提供したい」という本間社長。
―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
本間 道の駅、サービスエリア、アンテナショップという枠を超えて、観光の核になりたいと考えています。そこで掲げたのが「旅前・旅中・旅後」という考え方です。たとえば、東京にあるアンテナショップは「旅前」。山形に行く前に、わくわくした気持ちを育んでもらう場所です。道の駅は「旅中」。旅の途中で、その土地ならではの魅力を五感で感じてもらう役割を担っています。そして、サービスエリアは「旅後」。帰り道に立ち寄り、山形での思い出をもう一度かみしめてもらえる場所です。この「旅前・旅中・旅後」というストーリーを体現しながら、単なる商業施設ではなく、観光の核となる存在を目指していきたいと思います。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!

「さくらんぼのたまご やまがた舞子プレミアムカード入り」(8ヶ入)
価格:¥1,080(税込)
店名:チェリーランドさがえ ONLINE SHOP
電話:0237-86-3111(9:00~17:30 季節により変更あり)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://cherrylandec.shop29.makeshop.jp/shopdetail/000000000074/ct100/page1/order/
オンラインショップ:http://cherrylandec.shop29.makeshop.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
本間安信(株式会社チェリーランドさがえ 代表取締役社長)
山形県出身。1981年生まれ。法政大学卒業後、都内で起業したのち2016年株式会社チェリーランドさがえに入社。取締役、常務取締役を経て2019年より代表取締役社長就任。株式会社白糸の滝代表取締役、公益社団法人山形県観光物産協会副会長、山形観光アカデミー副理事長も務める。
<文/野村枝里奈 MC/田中香花 画像協力/チェリーランドさがえ>